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伊豆本店

代表銘柄:宗像・亀の尾

福岡県

FUKUOKA

1717年創業

福岡県宗像市に位置する伊豆本店は、1717年(享保2年)に創業した酒蔵です。一度は途絶えていた幻の酒米「亀の尾」を、11代当主がわずか200粒の種もみから7年かけて復活させた歴史を持ち、代表銘柄「亀の尾」を19世紀終わりから醸造してきました。2024年4月に久原本家グループへ参画し、施設全体の全面改築を経て、2026年1月に“魅せる酒蔵”をコンセプトにした「福岡 宗像 酒蔵 伊豆本店」として新生開業しました。

敷地内には醸造蔵の見学スペースや直売所、酒蔵BAR、歴史展示、持ち帰りの甘味コーナーといった5つの体験エリアが設けられています。象徴である茅葺き屋根の建屋や煉瓦造りの煙突を残しながら、福岡県産米を使用した新銘柄「宗像」の展開や、蔵を象徴する「亀の尾」の継続製造を行っています。

伊豆本店の歩み

福岡県宗像市武丸に蔵を構える伊豆本店は、1717年(享保2年)創業の酒蔵です。宗像は、宗像大社や沖ノ島を含む「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群が2017年に世界文化遺産へ登録された土地です。蔵の沿革では、1717年に「油屋」の屋号で荒物屋を開業し、18世紀中頃に酒造りを始めました。一方、1717年に福岡藩主から酒造株を贈られて酒造の事業が始まったとも伝えています。

蔵の代名詞となった銘柄「亀の尾」は、19世紀の終わりに始まります。第8代蔵元の時代に東北から招いた杜氏が酒米「亀の尾」を持ち込み、銘柄「亀の尾」の製造が始まりました。酒米の亀の尾は山形県の阿部亀治が開発した品種で、品質の良さから酒米として広く使われましたが、風や虫害に弱く、やがて姿を消して幻の酒米と呼ばれるようになりました。それとともに伊豆本店の「亀の尾」も姿を消します。

その復活に挑んだのが第11代蔵元の伊豆善也です。新潟県の農業試験場に保存されていた種子200粒を入手し、7年がかりで栽培に成功しました。1989年、大吟醸「亀の尾」としてよみがえらせています。2020年ごろの蔵の紹介文は、亀の尾で酒を仕込む蔵が全国に33社、九州では伊豆本店だけと記していました。2017年に創業300年を迎え、2020年ごろには第12代蔵元の伊豆善之が代表取締役社長を務めていました。

福岡国税局の酒類鑑評会では、平成21年以降に限っても、平成21年、平成27年、平成30年、令和2年の4回、純米酒の部で金賞を受賞しています。受賞したのは、平成21年が「亀の尾 純米吟仕込」、平成27年が「亀の尾 純米 博多物語」、平成30年が「ゆめ宗像 特別純米酒」、令和2年が「亀の尾 純米吟醸 壽限無」です。

2024年4月、伊豆本店は久原本家グループの一員になりました。グループ社主の河邉哲司さんにとって伊豆本店は母方の実家にあたり、グループの茅葺きのレストラン「御料理 茅乃舎」は、河邉さんが伊豆本店の茅葺き屋根の葺き替えを目にしたことがきっかけで生まれました。その後、酒蔵を中心に施設全体を改築し、2026年1月7日に新銘柄「宗像」とともに「福岡 宗像 酒蔵 伊豆本店」として新生開業しました。茅葺きの建屋と煉瓦造りの煙突は残されています。

グループ入り後の現在は、河邉哲司さんが代表取締役、伊豆寛子さんが取締役社長執行役員を務めています。

酒造りの特徴

伊豆本店の酒造りは、米の個性に向き合うことから始まります。水や酵母、麹の働きに寄り添い、米が持つ魅力や地下水、麹の働き方、土地の空気感がおのずとにじみ出る味わいを大切にしています。杜氏の感性と長年の経験に加え、積み重ねたデータを数値で読み取って分析し、その両方を仕込みに生かしています。

現在の日本酒は、原材料が米、米麹、水だけの純米酒です。さまざまな酒米を使い分けて米の味を変えることが昔からの強みで、宗像の米をはじめ、福岡県産米や北海道産米を取り入れています。新銘柄「宗像」では山田錦、夢一献、寿限無といった福岡県産の酒米を使います。仕込み水は、宗像の山々を50年かけて巡った地下水です。宗像の生産者とともに行う米づくりのプロジェクトにも取り組んでいます。

毎年同じ味を再現することは目指していません。米の出来や仕込みの状況に合わせて酒質は毎年繊細に変わりますが、本質は変えず、飲む人が「やっぱり、伊豆本店の味だね」と感じる酒を目指しています。杜氏は、北海道の上川大雪酒造から招いた若山健一郎さんです。

再興にあたって設備も一新し、冬季だけでなく一年を通して醸造できる設備を備えました。以前は発酵を終えたもろみを酒袋に入れて槽に積み重ね、手作業で搾る槽搾りで全量を搾っていました。いまは醸造蔵のガラス越しに蒸米や発酵タンク、圧搾機の様子を見ることができ、槽搾りに使っていた木箱の設備は酒蔵BARのカウンターとして再利用されています。

代表銘柄

宗像

2026年1月の蔵の再興とともに生まれた新銘柄です。福岡県産米と宗像の地下水で醸し、純米 夢一献(精米歩合70%)、特別純米 山田錦(同60%)、特別純米 寿限無(同60%)の3種があります。山田錦は花のような香りと長く続く余韻、寿限無は軽快な甘い香りとキレのいい後味が持ち味です。

亀の尾

19世紀終わりに製造が始まった蔵の代表銘柄です。戦後に姿を消した酒米の亀の尾を第11代蔵元が7年かけて復活させ、1989年に大吟醸として世に出しました。現在は純米酒が酒蔵の直売所限定で販売されています。シャープさとキレのよさが印象的で、柑橘のような香りと力強さも感じる軽快な味わいです。

見学・購入

蔵見学
あり(要事前確認)
直売所
酒蔵内の直売所で「宗像」と、直売所限定の「亀の尾」を販売しています。グループ会社の茅乃舎のだしや椒房庵のめんたいこ、酒粕を使った花酒まんじゅうや宗像ジェラートなどの持ち帰り甘味もあります。
補足
醸造蔵はどなたでもガラス越しに見学できます。酒蔵BARでは「宗像」「亀の尾」などを酒肴とのペアリングとともに立ち飲みで楽しめます。営業時間は10時から17時、定休日は不定休です。お酒を飲む場合は公共交通機関での来場が案内されています。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
福岡県宗像市武丸1060
創業
1717年
公式サイト
www.kubara.jp

出典

fukuoka-sake.org / prtimes.jp / fukuokanosake.com / kubarahonke.com / note.com / kubara.jp / gourmetpress.net / data-max.co.jp / web.archive.org / nta.go.jp

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