板野酒造本店
代表銘柄:二面・鬼ノ城
岡山県
OKAYAMA
1870年創業
岡山県岡山市北区大井に蔵を構える株式会社板野酒造本店は、1870年(明治3年)に創業した酒蔵です。豊臣秀吉の備中高松城の水攻めで水源になったとされる足守川の伏流水と、岡山県産米だけを原料に、創業以来、杜氏は備中杜氏だけが務め、備中流の手造りで酒を仕込んでいます。
代表銘柄の「二面(ふたも)」は、蔵のある地域の旧地名「二面ごおり」や蔵裏の「二面山」に由来します。ほかに、隣接する鬼ノ城や温羅伝説にちなんだ「鬼ノ城」も手がけています。蔵の発表では、岡山県杜氏清酒自醸造品評会で40年連続して優等賞を受け、岡山県初の鳳凰賞を受けたとされます。全国新酒鑑評会では平成21・22・25酒造年度に入賞し、備中杜氏自醸清酒品評会では第92回から第101回まで10年連続で優等賞に入賞しています。
2019年の時点では直売とインターネット通販に力を入れており、2016年にオーストラリアへ、2019年に中国への輸出を始めています。
板野酒造本店の歩み
岡山市北区の足守地区は吉備路に位置し、豊臣秀吉の正室ねねゆかりの木下家の陣屋町として栄えた町です。武家屋敷や土蔵など当時の面影を残す建物が、今も軒を並べています。この足守に江戸時代から続く蔵元「谷口屋」があり、板野酒造本店は、その当主・板野平治郎の次男の鹿之助が分家し、現在の酒蔵を買い受けて、屋号を「三谷屋」として明治3年(1870年)に創業しました。
昭和27年(1952年)に株式会社板野酒造本店を設立し、平成18年(2006年)にリキュールの製造を始め、平成25年(2013年)には蔵に併設する直売所「上之蔵」を開店しました。代表取締役は板野文伸さんで、杜氏も務めています。板野さんは、三代目当主だった父・郁三さんの死去にともない、1989年から高校に通いながら冬場は蔵に入るようになり、精米から蔵の仕事を身につけてきました。
蔵のある大井は、桃太郎伝説とゆかりの深い地です。桃太郎に退治された鬼(温羅)の居城だったと伝わる鬼ノ城に隣接し、鬼が傷を癒やした浮田温泉があって、鬼が山から下りてきていたという伝説が残っています。桃太郎の后とされる百田弓矢比売命や高田媛命の出身地としても知られています。
蔵のある地はかつて「二面ごおり」と呼ばれ、蔵の裏にそびえる山は「二面山」と呼ばれていました。二面山は、豊臣秀吉が毛利氏と戦ったときに陣を置いたと古文書に書かれている山です。銘柄「二面(ふたも)」は、この古い地名にちなんで名づけられました。もう一つの銘柄「鬼ノ城」は、古くから桃太郎伝説の発祥の地と言われてきた古代の山城の名にちなんでいます。
蔵は、岡山県杜氏清酒自醸造品評会で40年連続して優等賞を受賞し、岡山県で初めての鳳凰賞を受けたと発表しています。全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度以降に限っても、平成21酒造年度、平成22酒造年度、平成25酒造年度の3回、商標「二面」が入賞しています。岡山県清酒品評会の吟醸酒部門では、平成19、平成20、平成21、平成24の各酒造年度に「二面」が金賞となり、平成27酒造年度には「二面 金蛍」が岡山県工業技術センター所長賞を受けました。
備中杜氏自醸清酒品評会では、板野文伸杜氏の「二面」が第92回から第101回まで10年続けて優等賞に入賞し、平成30年3月の第101回で杜氏と蔵がそろって優等賞大名誉賞(10年連続入賞)を受けました。令和5年5月の第106回では、15年連続出品の杜氏として顕彰されています。
酒造りの特徴
原料米は、「山田錦」「雄町」「朝日」「アケボノ」など岡山県産の米だけを使います。「朝日」「雄町」「アケボノ」はいずれも生産量の95%以上を岡山県が占める米で、とくに「アケボノ」は生産量の99%が岡山県で栽培されています。仕込み水は、蔵のそばを流れる足守川の伏流水です。足守川は、備中高松城の水攻めで水源となった川として知られ、伏流水は汲み上げると青い色をしています。蔵のすぐ横の川岸には、水のきれいな場所に暮らすカワセミが飛来し、仕込みの時期にはよく見ることができます。
酒蔵は江戸時代に建てられた白壁の建物です。天井から床まで壁という壁にすくも(もみがら)が入れられていて、蔵が自然に呼吸するように温度と湿度を整えています。造りは、備中杜氏による備中流の伝統的な三段仕込みで、一年で最も寒い時期に手造りで仕込む寒造りです。二面山から吹き降ろす寒風が、酒をおいしく醸します。創業から現在まで、杜氏は岡山発祥の備中杜氏だけが務めてきました。蔵は、蔵に住みついた菌がおいしい二面の酒を造り守り続けていると考えており、少量しか造れない小さな蔵元だからこそこの伝統の仕込み方ができるとも考えています。
酒は大吟醸、純米大吟醸、純米吟醸、吟醸、純米酒、生酒、普通酒と幅広くそろえています。大吟醸「きんぼたる」は山田錦を100%使い、40%まで精米した酒です。「雄町米 つるし備前焼 純米」は、備前焼をもろみの中に吊し入れて発酵させる珍しい純米酒で、ラベルには備前焼のひだすきをあしらっています。平成8年に仕込んだ普通酒を江戸時代築の蔵で10年以上熟成させた古酒「拾年熟成原酒」も造っています。
平成18年からはリキュールにも取り組み、岡山県産の清水白桃と桃太郎トマトを日本酒と合わせた「猿のお酒」や、足守で育つマスクメロンと大吟醸を合わせたリキュールも造っています。メロンのリキュールは予約販売のみで、原料に使う希少種のメロンは、入荷が未定の状態が続いています。
2019年の時点では、従業員3名の小さな蔵ながら、直売とインターネット通販の小売りに力を入れる一方、日本酒の国内消費が減るなかで輸出が不可欠だと考えていました。2014年ごろに県内の酒蔵、備前焼作家、雄町米の生産者による海外プロモーションの組合へ加盟し、2016年にオーストラリアへ少量を間接的に輸出し始めました。2018年夏には上海で販売代理店を探し、秋には第1回中国国際輸入博覧会に出展しました。2019年2月の上海での商談でリキュールの注文を受け、その後に日本酒の注文も得て、中国への輸出が始まっています。
代表銘柄
二面
「二面(ふたも)」は、蔵のある地の古い呼び名「二面ごおり」と蔵裏の二面山にちなむ、蔵の中心の銘柄です。大吟醸「きんぼたる」は山田錦100%を40%まで精米し、辛口でありながら米の甘みをしっかり感じる上品な酒です。「雄町米 つるし備前焼 純米」は精米歩合65%で、備前焼を醪に吊し入れて発酵させ、酸味と旨味のバランスのよいやや辛口に仕上げています。大吟醸から普通酒まで幅広くそろいます。
鬼ノ城
「鬼ノ城」は、桃太郎伝説の発祥の地と古くから言われる古代の山城にちなむ銘柄で、蔵は足守の地でその山城に隣接しています。純米吟醸は岡山県産のアケボノだけで仕込み、精米歩合60%で、フルーティーな香りと米の旨みを備えた酒です。吟醸酒は精米歩合60%で、鬼たちが飲んだ太古の酒の味を再現した吟醸酒で、すっきりしたのど越しで和洋中のさまざまな食事に合います。純米酒は精米歩合69%で、備中杜氏が米の旨みとコクを引き出すように仕込みます。
見学・購入
- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 直売所
- 蔵に併設の直売所「上之蔵」(岡山市北区大井2272)には、「二面」「鬼ノ城」を中心に40種類以上の酒が並び、岡山県内のワインや調味料も扱っています。営業時間は10時から18時まで、定休日は日曜、祝日、お盆、年末年始です。
- 補足
- 蔵見学は無料で、事前の予約が必要です。アクセスは、JR桃太郎線の足守駅からタクシーで約8分、岡山自動車道の岡山総社インターチェンジから車で約10分です。駐車場があります。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 岡山県岡山市北区大井2272
- 創業
- 1870年
- 公式サイト
- futamo.jp
出典
futamo.jp / sakenomy.jp / okayama-kanko.jp / wonderful-setouchi.jp / okayamanishi.jp / sake-labo.com / westjr.co.jp / jetro.go.jp / okayamastyle.com / tokumori.tv.kct.jp / okasake.com / nrib.go.jp
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