倉本酒造
代表銘柄:倉本・つげのひむろ
奈良県
NARA
1871年創業
倉本酒造は、奈良県奈良市都祁(つげ)吐山町に位置する1871年創業の酒蔵です。標高約500mに及ぶ大和高原の厳冬地で、地の利を活かした酒造りを行っています。仕込み水には蔵の裏山の地層でろ過された、甘みのあるやわらかな山水を使用し、自家田での酒米(夢山水)栽培といった原料にもこだわりを持っています。創業以来の地元向け銘柄「金嶽(きんがく)」は、2021年時点で県産米を使う設計にリニューアルして販売されていました。
2018年には新ブランド「KURAMOTO」を立ち上げ、奈良の伝統的技法である「菩提酛(ぼだいもと)」を用いた酒造りも手掛けています。7代目の倉本隆司杜氏は、大学で醸造を学び一般企業勤務を経て2017年に杜氏へ就任し、伝統を継承しながら新たな日本酒造りに取り組んでいます。
倉本酒造の歩み
倉本酒造は1871年(明治4年)の創業で、奈良市の北東部、大和高原にある都祁(つげ)の吐山町で酒を造っています。創業の地は、いまの奈良市都祁吐山町にあたる地で、標高は約500mです。冬は氷点下の日が続く奈良県でも寒さの厳しい土地で、かつては氷室が置かれ、都祁の氷が朝廷に献上されていました。蔵のある吐山でも1991年にトノニシ遺跡から氷室跡が発掘されています。蔵は創業当時の建物を使い続けていて、大正・昭和・平成に建て増した建屋も併せて使われています。
長く造り続けてきた銘柄は「金嶽(きんがく)」です。蔵のまわりの山々に雲がたなびき、雲間から光が差すと遠くの峰が金色に輝いて金の岳のように見えることに由来すると蔵は説明しています。もともとは旧都祁村の地元向けの酒造りで、地元以外の酒屋にはほとんど流通せず、先代までは地元の個人の消費者へ直接配達するスタイルでした。白雪酒造に桶売りをしていた時期もあります。2005年以降は蔵元自らが杜氏を務める体制で、隆司さんの父が酒造りを担ってきました。
現在の杜氏は7代目の倉本隆司さんです。1981年に都祁で生まれ、東京農業大学の醸造学科で学んだあと、2004年に森永乳業へ入社しました。菩提酛が乳酸菌で造られると知り、乳酸菌を扱えそうな会社を選びました。会社勤めのさなかに福島県の「寫樂」を飲み、奈良に帰って酒造りをやりたいという思いが湧いて、11年半勤めた会社を2015年に辞めて蔵へ戻りました。帰郷後は広島の酒類総合研究所で研修を受け、2017年に杜氏となり、翌2018年に自身のブランド「KURAMOTO」を立ち上げました。
2021年時点では、製造量は約70石の小規模な蔵で、「金嶽」は県産米と奈良のうるわし酵母を用いる設計にリニューアルして販売されていました。2023年4月からは従業員を1人迎え、隆司さんと従業員が中心となり、親の手伝いを受けながら酒造りをしています。
酒造りの特徴
酒造りの出発点は、代々手入れしてきた蔵の裏山です。蔵のある一帯は流紋岩やデイサイト、火砕流堆積物の地層と考えられていて、雨水がこの山の地層をゆっくり浸透するうちに濾過され、甘みのあるやわらかな山水になります。蔵はこれを「山は水」という言葉で表し、仕込み水に使っています。水は全硬度50mg/L前後の軟水で、カルシウムがマグネシウムより多く、発酵は穏やかでまろやかな味わいになるのが特徴と蔵元は語っています。ただし浅井戸の水量は多くなく、水を守るには山を大切にすることが欠かせないと蔵元は話しています。
米は「酒造りは米作りから」という考えのもと、蔵の前に広がる自家田で夢山水を栽培し、「クランジ」などに使っています。奈良県産の露葉風は苦みが個性の米で、蔵元はその苦みを消さずに活かすことを心がけ、米を磨かない方が個性的な酒が造れると話しています。精米歩合に64%や81%と半端な数字が並ぶのは、8と9の二乗にちなむ蔵元の遊び心です。64には、蔵元がファミコンは8ビットから始まって64まで進んだと語るように、ここから進化していきたいという願いも込められています。
奈良の酒の源流にある菩提酛にも取り組んでいます。菩提酛は、生米を水に浸して乳酸菌を発酵させた酸っぱい「そやし水」で仕込む室町時代以来の酒母の製法で、県内の蔵元有志が研究会をつくり、正暦寺で単離した乳酸菌と酵母を用いて約500年ぶりに復活させました。「つげのひむろ」はこの流れの純米酒で、2021年時点で、県内の蔵元が合同で行う菩提酛造りへの参加は5年目でした。一方、「KURAMOTO64 露葉風 BODAIMOTO Light」は、正暦寺ではなく自社で醸した酛による酒です。
「KURAMOTO」では、蔵が独自に開発したと説明する「FLaP製法」を用い、正暦寺乳酸菌由来のまろやかな酸味を活かしつつ、すっきりした後口に仕上げた「KURAMOTO R1」を造っています。「KURAMOTO SE」は、ライチやマスカット、グレープフルーツを思わせる青く爽やかな香りを特徴とします。蔵元は酒類総合研究所の研究者と半年間の共同研究を行い、この香りの酒造りを進めたと話しています。山田錦の酒に自社の熟成古酒や酒粕を重ねて仕込む変わり種のシリーズもあり、蔵元は酒をより自由に表現することを目指しています。
代表銘柄
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倉本
2018年に隆司さんが立ち上げた「KURAMOTO」と、先代が立ち上げた純米酒「倉本」の銘柄です。「倉本」には自家田栽培の夢山水を使うクランジと、奈良県産露葉風のツゲノワールがあります。KURAMOTO SEはライチやマスカットを思わせる香り、R1は乳酸菌由来のまろやかな酸味が特徴です。
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奈良の菩提酛を使った純米酒で、正暦寺の寺領の米と水、正暦寺酵母・乳酸菌で造られた酛を近代醸造法と組み合わせます。原料米は奈良県産ヒノヒカリ、精米歩合70%で、甘みと酸味のある濃醇旨口の酒として瓶火入れで出荷しています。名は、かつて都祁に氷室が置かれ、氷が朝廷に献上されていた歴史にちなんでいます。
見学・購入
- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 直売所
- 公式オンラインストアで販売。
- 補足
- 蔵見学は事前の相談が必要です。営業時間は8時から17時で、日曜は休みです。近鉄大阪線榛原駅からタクシーで約15分、名阪国道の針インターから約4.5kmです。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 奈良県奈良市都祁吐山町2501
- 創業
- 1871年
- 公式サイト
- kuramoto-sake.com
出典
sakenomy.jp / nara.lg.jp / watobi.jp / sake-times.com / kuramoto-sake.com / city.nara.lg.jp / sakeproject.jp / hands-on-local.com / store.sakejump.com
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