椎名酒造店
代表銘柄:富久心・鳳凰
茨城県
IBARAKI
1877年創業
茨城県日立市十王町高原に所在する1877年(明治10年)創業の酒蔵です。敷地内から湧き出る澄んだ水と厳選した酒米を使用し、濃醇な味わいとキレの良さを意識した酒造りを行っています。主力銘柄の「富久心(ふくごころ)」は、初代・富蔵の「富」と4代目の母の「久」から名付けられました。また「鳳凰」は、富久心を主銘柄とする前に使っていた名称で、6代目蔵元兼杜氏の椎名健二郎が2021年8月に純米大吟醸「富久心 鳳凰」として発売しました(2023年に一旦休止し、2024年7月に再発売)。
長野県産美山錦を中心に、茨城県の吟醸酵母M-310などを組み合わせた酒造りが特徴で、全国新酒鑑評会では平成14酒造年度以降に9回入賞し、うち平成23・30、令和2酒造年度の3回は金賞を受賞しています。「地元に愛される酒造り」を掲げており、製造された酒の多くは地元・茨城県北地域を中心に親しまれています。
椎名酒造店の歩み
椎名酒造店は、1877年(明治10年)に創業した茨城県北部の酒蔵です。所在地は日立市十王町高原で、十王川の上流の山あいにあります。蔵元は六代目の椎名健二郎さんで、創業から150年近くにわたり酒を造り続けています。主銘柄の「富久心(ふくごころ)」は、初代の富蔵さんと四代目の母の名から一字ずつ取り、四代目の重直さんが名づけました。大切に心を込めて醸した酒を多くの人に味わってほしいという願いが込められています。
創業以来、蔵では何人もの杜氏の力を借りて酒造りを続けてきました。蔵元によると、平成2年からは杜氏を雇わず、祖父の重直さんと父の将人さんが自分たちの手で酒造りを行うようになりました。将人さんは蔵元杜氏として、重直さんとともに試行錯誤を重ねました。現在の富久心の味わいの骨格は、この二人が培ったものだと六代目は語っています。平成18年(2006年)の第77回関東信越国税局酒類鑑評会では燗審査の部で、平成20年(2008年)の第79回では燗酒の部で、それぞれ優秀賞を受賞しています。
六代目の健二郎さんは、日本大学生物資源科学部で微生物について学んだ後、スポーツ用品店に勤めていました。入社から5年ほどたったころ、父の将人さんが病気になったため、家業を継ぐことを決めて蔵へ戻りました。父と一緒に酒造りができたのは2年間で、その後は試行錯誤しながら、できるだけ昔と変わらない受け継いだ味を残したいという思いで酒造りを続けています。2024年時点では、蔵元杜氏として酒造りのすべてを担っています。
2021年8月には、新商品の純米大吟醸「富久心 鳳凰」を発売しました。「鳳凰」は、富久心を主銘柄とする前に蔵が使っていた名称です。新たな10年を歩むにあたり、先人が積み上げてきた歴史に恥じない酒造りをするという決意を込めて、この字を使うことにしたと蔵元は説明しています。2023年7月には、美山錦が確保できないことを理由に、来期以降の鳳凰の製造を行わないと発表しました。その後、令和5酒造年度に長野県産の美山錦を手配できたため、2024年7月に再び発売しました。2026年7月には3造り目となる鳳凰を発売しています。
全国新酒鑑評会では、平成23酒造年度、平成30酒造年度、令和2酒造年度の3回で金賞を受賞しています。このほか平成25酒造年度、平成28酒造年度、令和元酒造年度、令和3酒造年度、令和4酒造年度、令和5酒造年度の6回が入賞で、平成14酒造年度以降では計9回入賞しています。令和元酒造年度は金賞の選定がなく、入賞酒のみが発表された年度です。令和5酒造年度の入賞は、蔵として初めて美山錦の純米大吟醸で出品したものでした。
酒造りの特徴
富久心の酒造りの理念は、先代から受け継いだ「敷地内から湧き出る澄んだ水と、県内、県外より厳選した酒米を用いて、濃醇な味わい且つキレのよいお酒を造り、地元を盛り上げたい」という考え方です。蔵のすぐ横には岩魚が釣れる清流が流れています。2024年には蔵元が、仕込み水は軟らかく、うっすらと甘みを感じる水で、どの酒を飲んでも、この水から造られたことを感じてもらえるのではないかと話しています。蔵には、先々代から使われ続けている醸造タンクもあります。
看板商品の「富久心 純米吟醸」は、長野県産の美山錦を50%まで精米し、茨城県の吟醸酵母M-310で醸す酒です。祖父と父が試行錯誤の末にたどり着いたこの造り方は、蔵の骨子として変わっていません。ただし原料米は年によって変わっています。2023年7月、蔵は、これまで美山錦だけを使ってきたものの、長野県内で美山錦を作る農家が減ったために必要な量を確保できなくなったと説明しました。前年には茨城県産のひたち錦で純米吟醸を造り、2023年7月からは美山錦の酒とひたち錦の酒を2対1でブレンドして販売しました。
2024年1月出荷分には美山錦のほか茨城県産のふくまるを使い、2025年6月出荷分には主に美山錦と新潟県産の五百万石を使い、わずかに山田錦、雄町、ひたち錦も使っています。
定番品には、山田錦を40%まで磨いた大吟醸、茨城県産ひたち錦を55%まで磨いた特別純米酒、茨城県産米を65%まで磨いた純米酒と本醸造があります。季節の限定酒もあり、11月末から3月上旬にかけては、発酵中のもろみを粗くこして瓶詰めした「もろはく」が地元の風物詩として親しまれています。3月中旬から4月下旬には、ピンク色の和紙ラベルで「さくら吟醸」の名でも親しまれている「純米吟醸 うすにごり」が登場します。
圧力をかけずに布袋から垂れる雫だけで搾る「袋吊り」の酒も造っており、2026年には「特別純米袋吊り しずく」を期間限定酒から数量限定酒に変更しました。
清酒のほかに、酒粕を原料にした本格焼酎「ふくしん」も造っています。大吟醸の酒粕を使ったものや、吟醸焼酎を甕で3年熟成させたものがあります。2016年時点の蔵の紹介では、花崗岩盤からの湧水を仕込み水に使っているとしています。販売は主に日立市周辺で、2024年には蔵元が、蔵の規模から供給量が安定しないことに加え、先代の信念だった「地元に愛される酒造り」を受け継いでいるためだと話しています。
代表銘柄
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富久心
蔵の主銘柄で、「濃醇な味わい且つキレのよいお酒」という蔵の理念を体現する銘柄です。看板の純米吟醸は、長野県産の美山錦を主に使い、年によりほかの米も使って、50%まで磨いてM-310酵母で醸す、蔵を代表する一本です。ほかに山田錦の大吟醸、ひたち錦の特別純米酒、茨城県産米の純米酒や本醸造、季節限定の「もろはく」などがそろいます。燗酒にも向く商品が多いのも特徴です。
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2021年に蔵元が発売した、美山錦の純米大吟醸です。「富久心」を主銘柄とする前に蔵が使っていた名称を復活させた銘柄で、青い和紙のラベルが通常品、赤い和紙のラベルが圧力をかけない袋吊りの720ml限定品です。2024年版は精米歩合が35%から40%になり、2026年版は過去最高に甘い仕上がりだと蔵元は説明しています。
見学・購入
- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 直売所
- 蔵元直売を行っています。営業時間は9:00〜17:00、定休日は第1日曜です。
- 補足
- 酒蔵見学は事前に電話での問い合わせが必要です。通信販売は取扱店から申し込みます。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 茨城県日立市十王町高原411
- 創業
- 1877年
- 公式サイト
- fukugokoro.com
出典
japansake.or.jp / sakemeguri.com / sake-times.com / plamito.com / sakedata.jp / fukugokoro.com / liquor-shop-kinase.co.jp / sakenomy.jp / hitachi.com / saketime.jp / serai.jp / nta.go.jp / nrib.go.jp
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