蔵本屋本店
代表銘柄:行光・蔵本屋市兵衛・藤平
愛媛県
EHIME
1855年創業
愛媛県西条市に蔵を構える1855年(安政2年)創業の酒蔵です。水の豊かな西条市に位置し、蔵のすぐ側に噴出する湧水「芝井加持水」を仕込み水に使用しています。酒造りにおいては昔ながらの手造り製法を守り続けており、ロープと滑車を使うなど、昔からの道具や工程を大切に継承しているのが特徴です。昭和中期には大手への桶売りなども行っていましたが、2023年時点では四代目蔵元杜氏である田坂幾市朗(幾一郎)氏が一人で酒造りを行っています。代表的な銘柄には「行光(ゆきみつ)」をはじめ、「蔵本屋市兵衛」「蔵本屋藤平」などがあります。
また、全国新酒鑑評会では平成19〜23酒造年度の5年連続を含め、平成14酒造年度以降で計6回金賞を受賞しています。
蔵本屋本店の歩み
蔵本屋本店は、愛媛県西条市氷見にある酒蔵です。安政2年(1855年)、江戸時代末期の創業で、2023年2月の時点では4代目の田坂幾市朗さんが蔵を率いていました。江戸時代には地名から「たちばな」と呼ばれていた蔵は、いつの間にか蔵本屋と名を変え、明治時代の初めごろまで小松藩にご用酒を納めていました。
昭和中期の蔵の酒は、現在主流の特定名称酒ではなく普通酒が中心でした。酒蔵ごとに生産量が決められており、杜氏ら4、5人で上限まで造り続け、多い時には一升瓶換算で年に5万本以上を生産していました。大手の酒造会社に売って相手方の商品として扱われる「おけ売り」も行い、いまも蔵の奥には当時使っていた大型のタンクが残っています。
やがて、蔵に寝泊まりする杜氏の世話が難しくなったことなどから、この大量生産の時代は終わりを迎えます。そのころ日本酒の生産量が自由化され、大手にとっては小さな酒蔵から桶で買うより、自社の大型設備で大量に造るほうが効率のよい時代になった、と田坂さんは振り返ります。蔵本屋は設備投資をせず、機械をあまり使わない昔ながらの製法に戻すことを決めました。
2023年2月の時点では、田坂さんが洗米や搾りから瓶詰め、販売まですべて1人で行い、「商業ベースでは日本一小さい」とも言われる酒蔵でした。かつては杜氏による酒造りでしたが、のちに代表自らが造りに携わるようになりました。造る酒は、「行光」「蔵本屋市兵衛」のほか、「藤平」などです。生産量は年を追うごとに減ってきましたが、2023年2月の時点でも、100年以上前に建てられた木造の蔵で仕込みを続けていました。
全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度以降に限っても、平成15・18・19・20・21・22・23・24・29・令和3酒造年度の10回入賞しています。このうち金賞は、平成19酒造年度から平成23酒造年度までの5年連続と、令和3酒造年度の計6回です。平成24酒造年度までは「行光」、平成29酒造年度と令和3酒造年度は「蔵本屋市兵衛」での入賞です。高松国税局の四国清酒鑑評会でも、平成16・17・18・19・21・22・23・24・25・27年に優等賞を受賞しています。
このうち平成21・23・24・25年は、吟醸酒の部と純米酒の部の両方での受賞です。
酒造りの特徴
仕込み水は、蔵のすぐ側に湧き出す「芝井加持水」で、弘法大師ゆかりの伏流水です。昔ながらの手造りで、香り高い日本酒を醸しています。田坂さんは「いつも山の中の自然を思い描きながら酒を造る」と語り、「酒は水が命」とも話します。県外の酒蔵で、米も工程もすべて同じ条件にそろえ、仕込み水だけを全国から集めて7種類の酒を造った際には、自分の蔵の水で造った酒を見事に言い当てました。蔵本屋本店の酒は、きれいで柔らかい味わいに育っています。
仕込みの現場では、蒸し上がった米を台車に下ろして広げ、ひとかたまりを神棚に供えて手を合わせます。外気で米の温度を下げながら麹菌を振り、30度以上に保った麹室へ運んで、一粒一粒に麹菌が付くようにほぐしていきます。作業の相棒はロープと滑車で、蔵には江戸時代から使われているものも残っています。蒸し米の燃料が石炭から重油に、仕込みの容器が樽からタンクに替わった以外は、昔ながらのやり方を守っています。
代表銘柄
行光
蔵本屋本店の代表銘柄で、読みは「ゆきみつ」です。銘柄名には、跡取りが途絶えかけたとき、出家していた僧「行光(ギョウコウ)」が還俗して「行光(ユキミツ)」と名乗ったという言い伝えが重ねられています。全国新酒鑑評会では平成15酒造年度と平成18〜24酒造年度の計8回、「行光」の名で入賞しました。そのうち平成19〜23酒造年度は5年連続の金賞です。
蔵本屋市兵衛
「蔵本屋市兵衛」は、愛媛県酒造協同組合が蔵本屋本店の代表銘柄として挙げる酒です。山田錦と松山三井を使い、精米歩合40%で仕込まれてきた純米大吟醸で、店頭ではなかなか見つからない酒です。全国新酒鑑評会では平成29酒造年度に入賞し、令和3酒造年度には金賞を受賞しています。
藤平
「藤平」は、「蔵本屋市兵衛」と並んで蔵本屋本店がつくる銘柄です。2014年ごろには「蔵本屋 藤平 純米吟醸」として、松山三井を使い精米歩合50%で仕込んだ酒が、仙台の日本酒バーで提供されていました。そのときの規格はアルコール度数16〜17度、日本酒度+4です。ほかの資料には吟醸酒として出ているものもあります。
見学・購入
- 蔵見学
- なし
- 補足
- 蔵の見学は受け付けていません。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 愛媛県西条市氷見乙1785
- 創業
- 1855年
出典
sake-times.com / lovesaijo.com / ehime-syuzou.com / livedoor.jp / ameblo.jp / sakenomy.jp / sakedata.jp / hatenablog.jp / ehime-np.co.jp / nrib.go.jp / nta.go.jp / web.archive.org / sakeyoshi.com
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