松波酒造
代表銘柄:大江山・松波・双心
石川県
ISHIKAWA
1868年創業
石川県鳳珠郡能登町松波に所在する松波酒造は、明治元(1868)年に創業した酒蔵です。能登杜氏発祥の地とされる奥能登の風土のもと、代表銘柄「大江山」をはじめとする地酒を醸しています。被災前は、昔ながらの製法や道具を大切にし、和釜での米蒸しや木製の「槽(ふね)」で搾る伝統的な「槽搾り」を行うなど、真冬の寒仕込みによる手造りの酒造りを守ってきました。また、日本酒のみならず、自家農園などで栽培された柚子や梅、柿といった地元・能登産の果実を活かしたリキュール類も造っていました。
2024年1月の能登半島地震で酒蔵や社屋は全壊し、これらの設備も失われましたが、倒壊した蔵から酒米を救出し、現在は小松市の酒蔵加越や県外の酒蔵との協力醸造で「大江山」を造っています。2025年9月には元の地番にトレーラーハウスの店舗を開き、試飲販売と角打ちを再開しました。
松波酒造の歩み
松波酒造は、明治元年(1868年)に創業し、明治36年(1903年)に法人化した酒蔵です。所在地は現在の石川県鳳珠郡能登町松波で、能登杜氏発祥の地と言われる奥能登にあります。代表銘柄は「大江山」で、能登杜氏による極寒仕込みの酒造りを長く続けてきました。社長は六代目の金七政彦さんで、七代目にあたる若女将の金七聖子さんが販路の開拓やイベントの企画、情報発信を担うなど、家族を中心に営まれています。
2024年1月1日の能登半島地震で、築100年以上の木造の酒蔵と自宅、会社が全壊しました。蔵には仕込み中のもろみや約3トンの酒米、長期熟成酒「双心」が残されていました。災害支援のNGOの協力を得て、倒壊しかけた蔵から酒米や貯蔵酒を数か月かけて運び出し、救出した酒には「Alive」と記したラベルを貼って販売しました。全国から集まったボランティアが瓶を洗いラベルを貼る作業を支え、3日間でおよそ400件の注文が寄せられました。
酒造りは、救出した酒米「百万石乃白」を石川県小松市の酒蔵加越に運び込むことで再開しました。製造経過簿を持参して社長や杜氏に伝えられることをすべて伝え、2024年2月中旬から仕込みが始まり、4月には初めての協力醸造酒「大江山 GO 純米大吟醸」が完成しました。
被災した蔵と全国の蔵を結ぶ「能登の酒を止めるな」プロジェクトでも、群馬県の土田酒造(2024年2月)、愛知県半田市の伊東株式会社(同年6月)、東京都浅草の木花之醸造所(同年11月)、滋賀県の浪乃音酒造(2025年冬)、丸石醸造(第5弾)と、協力醸造を重ねています。
2024年6月24日から公費解体が始まり、9月半ばには松波酒造のあった場所は更地になりました。蔵の再建はまだ先になるため、2024年11月に受けた助言をきっかけに、トレーラーハウスの店舗で営業を再開する計画を立て、2025年8月からはクラウドファンディングで支援を募りました。蔵は、酒類の製造販売にまつわる免許が地番に紐づくため、松波に拠点が必要だと考えました。
2025年9月14日、被災から1年9か月ぶりに、元の地番にトレーラーハウスの店舗が開店し、試飲販売と角打ちが始まりました。2026年3月には、敷地の一角に日本サッカー協会と作ったミニフットサルコートのキッズピッチを設けています。現在も冬から春にかけては酒蔵加越で酒造りを続けながら、松波の町に人が集まる場づくりに取り組んでいます。
酒造りの特徴
被災前の松波酒造は、能登杜氏による極寒仕込みを続けてきました。煉瓦仕立ての竈に甑を乗せて酒米を蒸し、醪は木製の槽でじっくりと搾っていました。木製の槽は製作も管理も難しく非常に希少で、蔵は、本醸造から大吟醸、純米吟醸まで全量を槽で搾る蔵はほぼないと、自らの特徴として挙げていました。蔵は、槽で搾った酒は柔らかく仕上がると説明していました。これらの設備は、2024年1月の地震で蔵とともに失われました。
仕込みでは、奥深い味わいと後味の旨みを引き出すために、四段仕込みを行ってきました。一般米やもち米ではなく酒米で四段仕込みをする点が特徴で、杜氏の方に「他では見たことがない」と驚かれるほど、厳選した酒米を惜しみなく使っていました。麹づくりも手作業で繊細に管理していました。
蔵を失った現在は、冬から春にかけて酒蔵加越で酒造りをしています。酒米を購入して加越の杜氏や蔵人とともに仕込み、大江山で造っていた醸造レシピから想いを受け継ぐ新酒や定番酒を少しずつ商品化しています。たとえば大江山 復刻版純米吟醸は、「大江山 復刻版純米酒」のイメージと製造レシピを元に、掛米に五百万石、麹米に百万石乃白を用いて精米歩合60%で仕込みました。
かつては、冬に日本酒を、春から秋には自家農園で育てた柿、柚子、梅を使ったリキュールを造っていました。農園の果実や能登の野菜を活かした酒づくりは、日本酒に親しむきっかけになればという蔵の思いから生まれたものです。
代表銘柄
大江山
松波酒造の代表銘柄です。京都の酒呑童子のように豪快に飲んでほしいという思いから名づけられ、紺色のラベルがトレードマークです。定番の本醸造上撰は、オリジナルと同じ四段仕込みの本醸造酒で、御神酒や晩酌、地元の飲食店などでもよく使われています。2020年には純米大吟醸の百万石乃白が石川県優良観光土産品コンクールの第一位、石川県知事賞を受賞したと蔵が発表しています。被災後は協力醸造の大江山GOなどを造っています。
松波
昭和初期に存在した銘柄を、故郷への想いを込めて復活させたブランドです。ラベルは、辛い出来事が再び起きないよう願う水引の結び切りと、鳳珠郡の「鳳」を升に重ねた意匠で、再起への想いが込められています。現在の特別純米 生原酒は、石川県産の五百万石と百万石乃白を精米歩合60%で仕込み、どっしりとした辛口の原酒です。口当たりはとろりとして、熟したメロンのような味わいがあります。
双心
松波酒造の蔵で熟成させた日本酒の古酒です。2005年と2006年に仕込んだ五百万石の本醸造は約20年、2015年に仕込んだ石川門の純米酒は約10年の熟成を経ています。ヴィンテージや濾過と無濾過の違いで味わいが異なり、蛇、龍、虎、麒麟、鳳凰といった名が付けられています。彫師の参代目彫よしの原画を職人が彫り上げたボトルに収められています。震災でタンクの一部が傾くなか、酒の大部分は救出され、瓶詰めに向けて移送されました。
見学・購入
- 蔵見学
- なし
- 直売所
- トレーラーハウス松波(石川県鳳珠郡能登町松波30-114)で試飲販売と角打ちを行っています。営業は金曜14時から18時、土曜と日曜は10時から18時で、月曜から木曜と年末年始は休みです。大江山をはじめ10種類ほどの酒を扱い、酒粕コスメや酒蔵グッズもあります。駐車場は5台分あります。
- 補足
- 蔵は全壊しているため、酒蔵の見学はできません。営業日は変更になることがあり、最新の情報は松波酒造のSNSの営業カレンダーで案内されています。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 石川県鳳珠郡能登町松波30-114
- 創業
- 1868年
- 公式サイト
- www.o-eyama.com
出典
wkwk.co.jp / furusato-now.jp / kono-shinkin.co.jp / o-eyama.com / sakenomy.jp / corezo-mall-tokusyu.com / ishikawa-sake.jp / notosake.com / hot-ishikawa.jp / colocal.jp / camp-fire.jp / weekend-kanazawa.com / maff.go.jp / japansake.or.jp / creema.jp
本ページは自動収集した情報を編集したものです。公開資料に基づく記事で、現地取材・実飲による評価ではありません。内容に関するご指摘はお問い合わせへお寄せください。