SAKE BREWERY — ISHIKAWA
数馬酒造
紹介
明治2年(1869年)に石川県能登町の宇出津で創業した酒蔵。「能登を醸す」を経営理念に掲げ、原料米の全量能登産化を達成。能登の契約農家が栽培する米や、山間から湧き出る湧水を用い、地元の風土を映した酒造りを行っています。また、地域の耕作放棄地を開墾した水田作りなど、環境保全(SDGs)や地域再生を見据えた取り組みでも知られます。代表銘柄「竹葉(ちくは)」は地元の「あばれ祭」の御神酒としても親しまれており、その他「閃」や「NOTO」などの銘柄も手掛けています。インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)での受賞や、全国新酒鑑評会での金賞受賞、食の祭典「マドリッド・フュージョン」への出品など、国内外で高い評価を獲得しています。
歴史
数馬酒造は石川県鳳珠郡能登町宇出津で、江戸時代より続く醤油製造業を生業としながら、明治2年(1869年)に清酒製造事業へ進出して創業しました。昭和26年(1951年)には株式会社として法人化し、地域に根差した酒蔵として歩みを続けてきました。
転機となったのは2011年、当時24歳だった数馬嘉一郎氏が5代目蔵元・代表取締役に就任したことです。1986年に能登町で生まれた数馬氏は玉川大学卒業後、東京のコンサルティング会社に2年間勤務した後にUターンし、家業を継ぎました。就任と同時に、日本酒造りに使う原料米や仕込み水をすべて能登産でまかなう取り組みを開始し、2015年には大学生と連携して耕作放棄地を開墾し米作りから酒造りに関わる「Nプロジェクト」を始めるなど、地域資源の循環を軸にした経営へと舵を切りました。
2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震では、蔵内の木造建屋が全壊状態となったほか、地割れや津波による浸水、汚泥の流入、壁面の倒壊、もろみタンクの漏れなど甚大な被害を受け、同町内のリキュール蔵・醤油蔵についても被害の全容確認に時間を要しました。従業員と家族に人的被害はなかったものの、断水や避難所生活を強いられた社員もいたといいます。蔵は1月8日まで完全休業したのち、断水の解消と蔵内洗浄を前提に3月末からの酒造り再開を目指して復旧作業を進めました。1月17日から10日間にわたり、県内外の酒蔵の協力で仕込み中のもろみ約1万5000リットルを搬出し、委託醸造で酒として仕上げてもらう支援を受けるなど、業界を挙げた協力にも支えられました。
さらに同年9月の能登豪雨では取水ポンプが被災し、10月に予定していた新酒造りの開始にあたって一時的に沖合の海洋深層水を代替の仕込み水として使う事態にも見舞われましたが、ポンプ復旧後は本来の仕込み水による醸造に戻し、11月には新酒「竹葉 しぼりたて生原酒」の蔵出しにこぎ着けました。地震発生から約2年半が経過した2026年8月時点でも、蔵は瓶詰め工場・貯蔵蔵の建て替え工事と酒造り・出荷作業を並行して進めている状況で、蔵元自身「依然として折り返し地点の手前」と位置づけています。この間、生酛造りの酒は狙い通りの酒質に仕上がらず販売を中止した一方、新卒採用は3年連続で実現し、10代から80代まで幅広い世代の社員が働く体制になっています。
酒造り
仕込み水には、能登町の山間から湧き出る超軟水を用いています。この水源の山は先代杜氏が管理していたもので、酒造りに適した水を求めて厳選を重ねた末に選ばれたと伝えられています。まろやかで口当たりの優しい軟水の性質が、香り高くフルーティーな味わいを支えています。
原料米についても地元産への切り替えを進め、2011年から取り組みを本格化させて2020年に酒米調達の能登産100%を達成しました。県外産米を使っていた竹葉 純米吟醸も2021年の新酒からは能登産米に切り替わり、以後は全銘柄が能登産の米と水のみで醸されています。2014年からは株式会社ゆめうららと連携し、能登の耕作放棄地を開墾して水田に戻す取り組みも継続しており、開墾によって水田に戻した面積は東京ドーム6個分に及びます。世界農業遺産に認定された能登の里山里海の景観維持と、持続可能な原料調達を両立させる取り組みとして知られています。
蔵データ
代表銘柄
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- NOTO
竹葉:能登産の米と仕込み水のみで醸されるブランドで、地元「あばれ祭」の御神酒としても用いられるなど地域に根差した存在です。定番酒「竹葉 能登純米」は、甘味・酸味・渋味・苦味・旨味がほどよく調和した味わいが特長で、しっかりとした旨味を持ちながら軽やかですっきりとした酒質のため、濃厚な日本酒が苦手な人や飲み慣れない人にも親しみやすいと評されています。
閃:数馬嘉一郎氏が24歳で蔵を継いだ際、日本酒になじみのない同世代にも飲んでほしいという思いから自ら立ち上げた第2ブランドです。名前には、どんな暗闇でも一閃の光のように信じた道を進みたいという決意が込められています。石川県オリジナルの酒造好適米「石川門」を用い、力強い味わいとしっかりした旨味が特徴で、流通は全国数社の取扱店に限定されています。
NOTO:日本酒応援団株式会社と数馬酒造が手がける共創型シリーズで、耕作放棄地の開墾から田植え・稲刈り・仕込み作業までを顧客と一貫して行い、能登の地域性を映した酒質を目指しています。ラインナップの一つ「NOTO 純米88 無ろ過生原酒」では精米歩合88%を採用し、低精米ながら雑味の少ない仕上がりで、メロンのような濃厚な香りとキレのある辛口の後味が特徴と評されています。
見学・購入
石川県鳳珠郡能登町宇出津の本社に隣接して直営店があり、定番酒に加えて限定酒やリキュール、オリジナルグッズなどを取り扱っています。港町の風情が残る立地にあり、日本酒に馴染みのない人でも入りやすい明るい雰囲気の店舗です。
直営店の営業時間は平日9時から16時30分、土曜10時から16時30分で、日曜・祝日は定休日です。オンラインショップでの購入にも対応しています。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
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出典
notocho.jp / chikuha.co.jp / hot-ishikawa.jp / ishikawa-sake.jp / nototown.jp / saketime.jp / kinmisake.com / omatsurijapan.com / noto-renaissance.net / kenja-succession.com
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