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松浦酒造

代表銘柄:獅子の里

石川県

ISHIKAWA

1772年創業

松浦酒造の建物(山中温泉本町)
松浦酒造の建物(山中温泉本町)(2023年撮影)「Matsuura Shuzo ac (1).jpg」 — 写真:Asturio Cantabrio / CC BY-SA 4.0縮小・WebP変換

石川県加賀市の山中温泉に位置する松浦酒造は、安永元年(1772年)に創業した老舗酒蔵です。代表銘柄「獅子の里」の酒名は、地元民謡「山中節」の歌詞や温泉街の歴史に由来しています。

仕込み水には、山中温泉の医王寺境内から湧き出る超軟水「薬水」を使用しています。自然の力を活かした全量純米仕込みを貫き、華やかな香りを抑えて旬の料理を引き立てる穏やかな食中酒を中心に醸しています。

また、瓶内二次発酵によるスパークリング日本酒「鮮」を手掛け、2013年の第5回アフリカ開発会議(TICAD V)公式晩餐会で乾杯酒として採用されました。全国新酒鑑評会においても平成4・5・7・17・18酒造年度に金賞を受賞した実績を持ちます。

松浦酒造の歩み

松浦酒造は、加賀市山中温泉の中心街で安永元年(1772年)に創業した蔵です。先祖は1600年代に九州の松浦郡、いまの長崎県と佐賀県の海側から北前船で山中温泉へ渡り、酒造りを始めたのは安永元年からです。当代の松浦文昭さんは十四代目の当主で、杜氏も務める蔵元杜氏です。酒名の「獅子の里」は、地元民謡の山中節にある「薬師山から湯座屋を見れば獅子が髪ゆて身をやつす」の一節に由来します。

まだ旅館に内湯が無かった頃、湯治客を中央の湯座屋へ案内した湯女たちが、客の浴衣を頭からかぶって待つ姿が獅子舞の獅子に似ていたことから、温泉街の中心部が「獅子の里」と呼ばれていたそうです。

文昭さんは家業を継ぐつもりがなかったものの、大学卒業後に気持ちが変わり、各地の酒蔵で蔵人として修業しました。修業先の一つが山形県の高木酒造で、今も高木さんを酒造りの心の師匠と慕っています。蔵に戻った当時は杜氏の高齢化が深刻で後継者もおらず、自ら学んでオーナー杜氏になる道を選びました。先代の南部杜氏のもとで約10年学び、平成14年度に創業以来初めての身内の杜氏となっています。その後、酒の風味が変わって取引先を減らす時期が続きます。

8年余りを経て、麹づくりの場にあった塩素系の殺菌剤が原因と突き止められたのは平成17年のことで、以降は酸素系の殺菌剤を使っています。原因が分からず風味が変わっていた時期に、香味の衰えた酒を瓶の中でもう一度発酵させたところ新鮮な香りがよみがえり、泡が立ったことから、スパークリング日本酒「鮮」が生まれました。瓶内二次発酵の酒は1990年代の半ばから造っており、先駆けの一つです。

鮮は、瓶の中で麹と酵母が生きているスパークリング純米吟醸生酒で、きめ細やかな泡とフレッシュな果実を思わせる香りが特徴です。加賀友禅の技法を使ったラベルがあり、500mlは精米歩合60%でクリーミー、375mlは精米歩合50%ですっきりとした味わいです。平成25年(2013年)のアフリカ開発会議(TICAD V)の公式晩餐会では乾杯酒に選ばれました。

東京の六本木ヒルズで開かれる「CRAFT SAKE WEEK」には、2017年から2019年まで3年続けてスパークリングの日に出店し、2025年にも出店しており、県外の催しにも参加しています。

全国新酒鑑評会では平成4・5・7酒造年度と平成17・18酒造年度に金賞を受賞しました。平成21酒造年度と平成22酒造年度も入賞しています。このほか、金沢国税局酒類鑑評会では平成17酒造年度から平成23酒造年度まで7年連続で優等賞を受賞しています。

令和6年1月の能登半島地震では、石川県内で能登地方の11の酒蔵が大きな被害を受けました。松浦酒造は同年3月に、石川県の蔵元が共同で販売する能登復興応援酒「つなぐ石川の酒」の取り組みに加わりました。1本につき100円ずつを石川県と石川県酒造組合連合会の義援金に寄付する酒です。蔵は同年冬の仕込みも続け、令和8年現在も店舗の営業と醸造を続けています。

酒造りの特徴

獅子の里は、仕込み水の超軟水を生かしたやさしい味わいの食中酒です。仕込み水は、薬師山のふもとで薬師如来を祀る医王寺の境内に湧く「薬水」で、蔵は「薬水不尽」とも呼ばれる超軟水を、ヤシガラ炭、活性炭、メンブレンの3段階でろ過して使っています。香りを強く出す吟醸香の多い酵母は一切使わず、金沢酵母(協会14号)や熊本酵母を用い、穏やかな香りと生き生きとした酸で料理を引き立てる酒を目指しています。全量・全アイテムが純米仕込みで、限定吸水を行っています。

洗米は10〜15kgずつ計量して3分間隔で行い、酒米の品種や精米歩合、水温などの毎日のデータで吸水率を目標値に合わせます。麹は、味に幅を出すために少しハゼを廻した、ふっくらとして捌けの良い乾いた麹に仕上げます。酒母はすべて速醸酒母で、仕込み当日に3回、手で混ぜる手あんまをします。本仕込みは添・仲・留の三段仕込みで、商品によっては純米酒でも四段仕込みにします。仕込みから搾りまでは約30日で、もろみを完熟させてから搾ります。

搾りは袋吊りと連続自動圧搾機(ヤブタ)の併用です。袋吊りの酒はおり引きだけで無ろ過とし、ヤブタで搾った酒は酒質に応じて必要最低限のろ過をします。純米大吟醸や純米吟醸など多くの商品は、生のまま瓶詰めし、瓶ごと65℃まで加熱してすぐ20℃以下に急冷する瓶燗火入れで、生酒に近い味わいを保ちます。純米酒と超辛純米は蛇管火入れで火入れをします。純米吟醸クラス(精米歩合60%以下)は、発酵で生まれた炭酸ガスを自然の酸化防止剤として瓶内に残し、若くフレッシュに仕上げます。年間の製造量は約280石(約50kL)の小さな蔵です。

原料米は商品ごとに選びます。純米大吟醸には兵庫県吉川特A地区産の愛山と山田錦を使い、酒未来は山形県の高木酒造から分けてもらった酒米で、夏の純米酒は年ごとに酒米や酵母を変えて仕込みます。石川県が育成した百万石乃白は、令和4年に金沢産を純米酒の掛米に使って試験醸造し、令和5年からは栽培も農家に依頼しています。夏の限定酒「Oryzae(オリゼー)」は麹菌の学名にちなんだ純米酒で、令和3年には八反錦と石川門で仕込み、酸の生き生きとした味わいでした。秋には熟成させた秋あがりも出しています。

代表銘柄

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獅子の里

獅子の里は、超軟水の仕込み水を生かした、穏やかな香りと生き生きとした酸が持ち味の純米酒ブランドです。全量純米仕込みで、料理の繊細な味と香りを隠さないよう、吟醸香の強い酵母は使いません。純米大吟醸の愛山や山田錦、純米吟醸の旬や鮮、純米酒の超辛純米などがあり、瓶燗火入れの無ろ過の酒もあります。夏のオリゼーや秋あがりなど季節限定酒もあります。

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見学・購入

直売所
山中温泉本町2丁目に直営店があり、試飲や購入ができます。営業時間は9時から18時、定休日は毎週水曜日です。酒粕を使った自家製の酒粕ソフトクリームも販売しています。
補足
月ごとの営業日と臨時休業は蔵の案内に掲載されています。蔵と直営店は別の場所にあります。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
石川県加賀市山中温泉富士見町オ50
創業
1772年
公式サイト
shishinosato.com

出典

sakenomy.jp / shishinosato.com / isico.or.jp / tabimati.net / maff.go.jp / kaga-teiju.jp / kotobank.jp / hokuriku-sake.com / nrib.go.jp

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