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出羽鶴酒造

代表銘柄:出羽鶴・やまとしずく

秋田県

AKITA

1865年創業

出羽鶴酒造の建物
出羽鶴酒造の建物(2019年撮影)「Dewatsuru Brewery.jpg」 — 写真:掬茶 / CC BY-SA 4.0縮小・WebP変換

幕末の1865(慶応元)年、地主・庄屋であった伊藤家12代目の伊藤重四郎が「ヤマト酒造店」として創業しました。1913(大正2)年、13代目の恭之助が「鶴のように優美な出羽の国の酒になるように」との願いを込めて「出羽鶴」と命名し、落合酒造株式会社として企業化。戦後に出羽鶴酒造株式会社へと社名を変更し、1972年には刈穂酒造・京野酒造店とともに3社で共同出資し、瓶詰と販売を担う秋田清酒株式会社を設立しました。

造りの方針に「和醸良酒」を掲げ、仕込み水には出羽丘陵に降る雪や雨が浸透した清冽でやわらかな天然の極めてやわらかな水を使用しています。地元農家と連携して自社栽培も含めた原料米を育てる「農醸一体」の酒造りに取り組み、純米酒を中心にキメ細やかでなめらかな酒質を醸しています。受賞歴も豊富で、全国新酒鑑評会で平成14酒造年度以降に15回入賞し、うち金賞が6回あるほか、International Wine Challenge(IWC)やKura Masterなどの国際品評会でも高い評価を獲得しています。

出羽鶴酒造の歩み

出羽鶴酒造の創業は、幕末の1865年(慶応元年)にさかのぼります。出羽国の南楢岡(現在の大仙市)で、伊藤家12代の伊藤重四郎が「ヤマト酒造店」として酒造りを始めました。伊藤家は17世紀に西国から東北へ渡り、秋田の地で地主となって農業を営みながら、代々庄屋を務めてきた家です。重四郎は地元で収穫される良質の米を使い、屋敷の一角に酒蔵を建てて日本酒の醸造に乗り出しました。

12代の跡を継いだ13代の伊藤恭之助は、1913年(大正2年)に家業を企業化し、落合酒造株式会社としました。「落合」は所在地の地名です。このとき酒銘を、「鶴のように優美な出羽の国の酒になるように」との願いを込めて「出羽鶴」と命名しました。恭之助は秋田県酒造組合連合会の会長として県の醸造試験場の設立にあたり、秋田県清酒の父といわれる酒造技術指導者の花岡正庸を招いて、県産清酒の発展に力を注ぎました。馬の育成・改良や農地の開墾にも取り組み、救民開田事業を起こすなど、地元の農業振興にも尽くした人物です。

太平洋戦争中は、米不足や国策の影響で酒造りを中断しましたが、戦後に復活しました。社名は戦後に出羽鶴酒造へ改められています。石高は徐々に増え、昭和40年代には生産量が1万石を超えた時期もありました。平成に入ってからは、純米酒を中心とした付加価値の高い酒造りを進めています。1972年(昭和47年)7月には、出羽鶴酒造・刈穂酒造・京野酒造店の3社が共同出資して秋田清酒を設立しました。酒造りは従来どおり各蔵で続けながら、瓶詰めと販売を一本化する体制です。現在、秋田清酒は出羽鶴酒造と刈穂酒造を関連会社としています。

1994年には、秋田県内の有志の酒販店とともに「やまとしずく」のブランドを立ち上げました。2022年時点の蔵の規模は、製造数量が1,900石、従業員が11名でした。企業化から110年を迎えた2023年には「純米大吟醸 百田」を記念酒として、111年となった2024年には記念醸造の純米大吟醸「UNITED」を発売しています。蔵では酒蔵開放も開いており、2024年3月30日、2025年4月12日、2026年4月11日に開催しました。

全国新酒鑑評会では、昭和55年に出羽鶴と刈穂がそろって金賞を受けています。平成14酒造年度以降では15回入賞しており、うち金賞は平成17、19、20、22、28の各酒造年度と令和6酒造年度の6回です。平成28酒造年度と令和6酒造年度の金賞酒は、どちらも純米大吟醸でした。仙台国税局の東北清酒鑑評会では、平成18年から23年まで6年続けて優等賞に選ばれ、その後も平成27年(純米酒の部)、29年(吟醸酒の部)、令和元年(吟醸酒の部と純米酒の部)、令和2年・4年・5年・7年(いずれも純米酒の部)に優等賞を受けています。

秋田県清酒品評会では、平成27年に吟醸酒の部と純米酒の部の2部門で秋田県知事賞を受けました。令和に入ってからは、令和4年度(秋田県産米の部)、令和5年度(吟醸酒の部)、令和7年度(秋田県産米の部と吟醸酒の部)、令和8年度(秋田県産米の部)に秋田県知事賞を受け、令和6年度は両部門で優等賞でした。国際コンクールでは、フランスのKura Masterで、スパークリング日本酒の「出羽鶴 awa酒 明日へ」が2020年と2024年に金賞、2023年にスパークリング部門のプラチナ賞と審査員賞(部門1位)を受けました。

2020年には純米酒部門で「やまとしずく 山廃純米酒」がプラチナ賞、「やまとしずく 純米吟醸」が金賞でした。純米大吟醸酒部門では、2021年に「出羽鶴 飛翔の舞」がプラチナ賞、2022年に出羽鶴の純米大吟醸が金賞でした。SAKE COMPETITION 2019のスパークリング部門では「出羽鶴 awa酒 明日へ」が第1位(GOLD)に選ばれています。IWC 2016では、純米酒の部で「やまとしずく 山廃純米酒」がゴールドメダルとなり、山廃トロフィーも受賞しました。

IWC 2022では、蔵の発表によると、純米大吟醸の部で出羽鶴 純米大吟醸がゴールドメダル、「飛翔の舞」がシルバーメダルでした。国際コンクールの受賞の多くは、販売元である秋田清酒の名義、または出羽鶴酒造との連名です。

酒造りの特徴

蔵があるのは、秋田県南部の山あいです。蔵を取り囲む出羽丘陵の森林に降る雪や雨が地下深くへ浸透し、幾重もの地層を通って湧き出る天然水を仕込み水にしています。水は清冽できわめてやわらかく、なめらかでキメの細かい酒質につながります。蔵の周辺は雄物川とその支流がつくった肥沃な農業地帯で、夏は暑く、秋は昼夜の寒暖差が大きく、冬は寒冷多雪のため、酒米の栽培と酒造りに適した環境がそろっています。

酒造りの理念は、代々受け継がれてきた「和醸良酒」です。米づくりと酒づくりに真摯に向き合う中で蔵人の間に生まれる絆を和とし、飲む人に幸せを運ぶ美味しい酒を醸すという意味です。原料米は、蔵人を中心に地元の農家と酒米栽培会をつくり、秋田酒こまち、美郷錦、百田、一穂積などの酒造好適米を育てています。契約農家との協力のもと自社栽培を含む原料米づくりを行い、創業者の精神を受け継ぐ「農醸一体」の酒造りを目指しています。使う酒米はすべて自社で精米し、玄米の状態を見極めて精米の条件を整えています。

酒造りは純米酒を主体とし、とくに「秋田流生酛仕込み」の純米酒に力を入れています。秋田流生酛では、酒母づくりで米を小分けにして櫂棒で摺りつぶす従来の方法をとらず、酒母タンクの中で電動ドリルを使って攪拌し、摺りつぶします。清潔で均一な酒母の環境をつくれるのが利点です。その後は、もろみで低温長期発酵を行い、キメ細やかで存在感のある酸と、酒米に由来する豊富な旨みをもつ酒に仕上げます。

新しい試みも続けています。大仙市のT-FARMが無農薬で育てたササニシキを使った「カゼノオト」は、精米歩合90%の磨かない米を生酛で醸した純米酒です。2024年2月に発売した「純米酒 花立」は、大仙市花館地区で大正10年に育成された水稲品種・陸羽132号を、地元の人びとと復活栽培して仕込み、きょうかい1号酵母で醸しました。「酔思源」は秋田工業高等専門学校が取り組む再生水を使った米づくりのプロジェクトの米で醸す酒で、2025年からは純米吟醸の精米歩合55%になりました。

北海道・帰山農園の「ゆきさやか」を使う「ましろ」は2019年に始まり、2025年には秋田県産の9種類の米を1本のタンクに仕込んだ「DIAMOND」も発売しています。蔵発祥の地に隣接する蔵元田の米で醸す「楢岡城」では、酒粕を活用した肥料を部分的に使い、米づくりと醸造をつなげています。

代表銘柄

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出羽鶴

出羽鶴は、1913年に13代の伊藤恭之助が「鶴のように優美な出羽の国の酒になるように」と命名した、蔵の主銘柄です。純米酒を主体に、秋田酒こまちを45%まで磨く純米大吟醸「飛翔の舞」、山田錦を使う「MARLIN」や「MAPLE」、秋田流生酛の純米酒などをそろえます。スパークリングの「出羽鶴 awa酒 明日へ」は、SAKE COMPETITION 2019のスパークリング部門で第1位になりました。

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やまとしずく

やまとしずくは、1994年に秋田県内の有志の酒販店とともに立ち上げたブランドで、名は創業家の屋号「ヤマト」に由来します。原料米は主に秋田酒こまち、美山錦、美郷錦で、蔵の地元・大仙市内の田んぼで栽培された米にこだわります。仕込み水は大仙市大和田地区に湧く地下水「大和田の水」です。2016年のIWCでは山廃純米酒が山廃トロフィーを受賞しました。商品は純米大吟醸、純米吟醸、純米酒の純米系で構成されています。

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見学・購入

蔵見学
あり(要事前確認)
直売所
秋田清酒のオンラインショップで購入できます。酒蔵開放の日には、新酒やグッズの販売と、お酒を自分で詰める直詰体験販売があります。
補足
見学は醸造期を除く期間に受け付けており、事前の予約が必要です。問い合わせ先は秋田清酒(0187-63-1224)で、受付は平日の9時から17時です。酒蔵開放は、2026年は4月11日に開かれ、入場料は1,500円(試飲3杯、特製粕汁1杯、酒粕・漬物のお土産付き)、おつまみセット付きは2,000円でした。20歳未満は無料で、大曲駅と神宮寺駅から無料のシャトルバスが出ました。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
秋田県大仙市南外字悪戸野81
創業
1865年
公式サイト
www.igeta.jp

出典

osake.or.jp / sake-times.com / noritjapon.com / tohoku-sakurakaido.jp / igeta.jp / sakagura-press.com / ranmansakabayashi.com / plathome.co.jp / japansake.or.jp / kuramaster.com / sakecompetition.com / nrib.go.jp / nta.go.jp / houjin-bangou.nta.go.jp / web.archive.org / sakigake.jp

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