那波商店
代表銘柄:銀鱗・竜乃涙
秋田県
AKITA
1871年創業
秋田県秋田市土崎港に蔵を構える那波商店は、文化4年(1807年)に秋田藩主の命により設置された「酒造方御試所」にルーツを持ち、明治4年(1871年)に個人として創業しました。昭和3年(1928年)に完成した酒蔵は、秋田県醸造試験場初代場長の花岡正庸が設計に携わった東北初の鉄筋コンクリート造りの酒蔵であり、現在も現役で使用されています。
酒造りでは、高清水丘陵からの地下水を仕込み水に用い、秋田山内流の伝統や寒冷な気候を生かした醸造を行っています。また、電動ドリルを用いた山卸し(酛摺り)を行う「秋田流生酛仕込」にも力を入れており、穏やかな香りとさわやかな酸味、ふくよかな旨みのある酒質が特徴です。代表銘柄の「銀鱗」はソーラン節の歌詞に由来し、港町の漁師をはじめ地域の人々に長年愛され続けています。
那波商店の歩み
秋田市土崎港は、江戸期には久保田藩(秋田藩)の藩港として栄えた港町です。かつては雄物川の河口にあたる地でしたが、昭和13年(1938年)の放水路完成にともない本流の河口は新屋側へ移り、現在の土崎に面するのは旧雄物川(秋田運河)です。北前船の寄港地でもあり、諸国の廻船が行き交う交易の拠点として古くからにぎわいを見せてきました。那波商店は、この土崎の地で酒造りを営んできた蔵元です。
那波商店の酒造りは、文化4年(1807年)、当時秋田藩御用達の商人であった那波三郎右衛門裕生が藩主佐竹義和の命を受け、藩の禄の少ない家中の内職の道を開くために、山野に自生する桑に着目して養蚕と絹織りの事業を試み、あわせて酒造方御試所(のちの醸造試験場にあたる施設)の設置に携わったことに始まります。明治4年(1871年)には、文政13年(1830年)以来居を構えていた大町に本店と直売所を設けたうえで、土崎の地に酒造業を興し、あわせて味噌・醤油の醸造も始めました。
大正5年(1916年)には資本金10万円をもって株式会社那波商店として法人化し、個人商店から近代的な企業経営へと移行しています。代表は現在も「那波三郎右衛門」の名を継いでおり、味噌・醤油を手がける「山蕗」や呉服商「升屋」など、酒造業とともに歩んできた家業も今日まで続いています。
那波商店最大の財産といえるのが、昭和2年から3年(1927~28年)にかけて建てられた酒蔵です。秋田県醸造試験場の初代場長・花岡正庸が設計監修に携わり、実際の設計・施工は大阪の竹中組(現在の竹中工務店)が担いました。東北地方で初めての鉄筋コンクリート造りの酒蔵で、2階建てながら各階の天井が高く、住宅でいえば4階建てに相当する高さがあります。
米を2階へ運んでから洗米・蒸し・製麹・酛づくり・醪づくりへと進め、熟成した醪を階下へ落として搾り、地階で貯蔵するという重力を利用した仕込みの流れが考えられており、現在も酛場を仕切って造られた槽場で搾ったお酒を、この蔵で貯蔵しています。
那波商店の酒質は全国新酒鑑評会でも高く評価されてきました。平成20酒造年度から平成23酒造年度にかけては4年連続で金賞を受賞し、平成26酒造年度から平成28酒造年度にかけても3年連続で金賞を重ね、平成30酒造年度にも金賞に選ばれています。令和4酒造年度から令和6酒造年度にも3年連続で金賞を受賞しました。全国新酒鑑評会の入賞酒目録が公開されている平成14酒造年度以降でみると、令和7酒造年度までの入賞は20回、うち金賞は11回を数えます。
酒造りの特徴
仕込み水には高清水丘陵から湧き出る地下水を用い、山内杜氏の伝統と、東北有数の豪雪地帯として知られる秋田の冬ならではの寒冷な気候を生かして、長期低温発酵による酒造りを行っています。なかでも力を入れているのが、電動ドリルを使って山卸し(酛摺り)を行う「秋田流生酛仕込」です。蔵に息づく乳酸菌の力を借りて仕込むことで、穏やかな香りとさわやかな酸味を兼ね備えた酒質に仕上げています。
杜氏を務める藤田勝広は、山内杜氏の本場である秋田県平鹿郡山内村(現在の横手市山内)の出身です。家業が畳店であったことから畳の修行のため埼玉県へ渡り、26歳で秋田へ戻り、27歳で銀鱗蔵に入りました。洗米・釜屋を3年、麹屋を6年務めたのち35歳で山内杜氏の試験に合格し、前任の石沢杜氏の引退にともない36歳で杜氏に就任しています。平成24年には杜氏講習会のきき酒コンクールで銀メダルを受賞しました。伝統の技術と味を守りながら、軽やかな飲み口で今の食生活にも合う酒を追求する姿勢を掲げています。
代表銘柄
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銀鱗
銀鱗(ぎんりん)は那波商店の看板銘柄です。民謡ソーラン節の一節にちなんで名付けられ、大漁と安全を願う思いが込められており、港町の漁師たちに長く親しまれてきました。普通酒の精選銀鱗(淡麗な甘口)や辛口銀鱗(すっきりとした辛口)から、純米大吟醸ぎんりん、秋田大吟醸銀鱗(華やかな吟醸香と濃醇な旨味)まで、甘口から大吟醸まで幅広い顔ぶれをそろえ、全国新酒鑑評会で重ねてきた金賞受賞酒もこの系譜にあたります。
楽天で商品を見る竜乃涙
竜乃涙(りゅうのなみだ)は、那波商店が銀鱗と並行して手がける純米吟醸のシリーズです。精米歩合55%、アルコール分16度で仕込む定番として、生貯蔵酒で爽快な酸味の「しろ」、秋田流生酛仕込で爽やかな酸味と米の旨みを引き出した「あお」、秋田酒こまちを原料米とする「くろ」の3種類をそろえています。加えて、精米歩合50%で一穂積を用いた「紅~Rouge~」もあり、昔ながらの銀鱗に対しみずみずしく現代の食卓にも寄り添う味わいを目指しています。
蔵の基本情報
- 所在地
- 秋田県秋田市土崎港中央1丁目16-41
- 創業
- 1871年
- 公式サイト
- jizakemonogatari.net
出典
osake.or.jp / jizakemonogatari.net / japansake.or.jp / sake-times.com / mlit.go.jp / sakenomy.jp / sakenowa.com / kitamae-bune.com / selion-akita.com
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