丸井合名
代表銘柄:楽の世
愛知県
AICHI
1790年創業
丸井合名会社は、愛知県江南市布袋町に位置する酒蔵です。江戸時代中期の寛政2年(1790年)創業という長い歴史を持ち、仕込み水には地下から汲み上げた木曽川水系の伏流水を使用しています。
酒造りの大きな特徴として、桶売り時代に但馬杜氏から学んだ「山廃仕込み」を、現在は蔵元兼杜氏の村瀬幹男氏が軸として続けており、米の旨みをしっかり引き出す熱掛四段仕込みや無濾過での出荷を行っています。仕上がりは力強い酸味と芳醇濃厚な米の旨みを備えた味わいが特徴です。
かつては「剣菱」への桶売り(他社への清酒の供給)を主力とし、2020年にその生産を終えました。2016年に復活を決めた自社銘柄である「楽の世(らくのよ)」の製造・再興に注力し、唯一無二の個性で愛好家から注目を集めています。
丸井合名の歩み
丸井合名会社は、愛知県江南市布袋町にある酒蔵です。創業は寛政2年(1790年)で、戦国期に織田信長が整備し、江戸時代には酒屋のほか味噌・醤油などの醸造業や紺屋が並んだ岩倉街道(現在の柳街道)沿いにあります。当初は「阿ら玉」、昭和期からは「楽の世」という銘柄で酒を醸してきました。2022年時点でも、蔵には堂々とした町屋造りの建物が残っています。
この蔵は長く、兵庫県の剣菱酒造への「桶売り」を中心に酒を造ってきました。桶売りとは、造った酒を自社で売らず、別の蔵に納める仕組みです。2024年時点で蔵元兼杜氏を務める村瀬幹男さんは、子どもの頃から丸井合名が剣菱の桶売りの蔵だったと振り返っています。父の代までは、蔵の主人が酒造りに口を出さないのが普通で、冬になると杜氏の一団が来て造り、タンクローリーが酒を積んでいくという光景だったそうです。村瀬さんは地元の高校を出て海洋大学に進み、剣菱酒造で1年働いたのち、後継として実家に戻りました。
毎年冬には兵庫県北部を拠点とする但馬杜氏の一団が蔵に入り、村瀬さんも彼らから酒造りを学びました。年に1、2回は剣菱酒造の先生が酒質の指導に訪れたそうです。
桶売りには、売り先が決まっているため売れ残りが出ず、造りに集中できるという利点がありました。一方で自社銘柄の「楽の世」は生産量が減り、村瀬さんによると、桶売りの時代には酒の99.9%が剣菱酒造に出ており、「楽の世」は限りなくゼロに近いごく少量でした。剣菱への発注量も年々少しずつ減っていき、廃業か自社ブランドの強化かの選択を迫られる中で、村瀬さんは眠っていた「楽の世」を復活させる道を選びました。復活を決めたのは2016年です。
売り込みには慣れず苦戦しましたが、当時の造りに加わっていた蔵人が東京の酒販店に紹介してくれたこともあり、複数の酒販店が取り扱うようになりました。
剣菱酒造への桶売りは令和元年度まで続き、2020年に生産を終えました。2022年時点の蔵には、熟成中の「これから剣菱になる酒」の最後のタンクが残っていました。「楽の世」は少量の造りで大きなタンクは要らず、昔の設備はもう使われることはないだろうと村瀬さんは話しています。現在の「楽の世」は、剣菱酒造の桶売り時代と造りの考え方を変えずに仕込まれています。村瀬さんは、剣菱は複数の酒をブレンドして作る商品であり、蔵が納めていたのは「剣菱になる前の、剣菱ではないうちの酒」だったと説明しています。
酒質が似ている点は認めつつ、造る人も水も違うことから、「楽の世」は自分たちの蔵と蔵人の酒だと語っています。
流行に左右されない造りを続けてきたことが、結果として唯一無二の個性として評価され、口コミで愛好家が増えてきました。2022年には東京で、愛好家による「楽の世の会」も開かれています。ラインナップをむやみに増やさず、ずっと飲んでもらえる酒を造りたいというのが蔵元の考えです。
酒造りの特徴
「楽の世」の最大の特徴は、山廃造りに統一し、「熱掛四段仕込み」を行う点です。一般的な日本酒は、水・米麹・蒸米を3回に分けてタンクに加える三段仕込みで造られます。「楽の世」はこれを4回に分け、蒸したての熱い米を加えます。こうすると麹の酵素がよく働き、甘味の強い重厚な酒になります。さらに四段目にだけ、それまでと別の米を使うことで、個性の違いを生み出しています。
仕込み水は、地下40メートルの井戸から汲み上げる木曽川水系の伏流水です。蔵ではこの井戸水をそのまま仕込み水に使っています。酒米は基本的に兵庫県産の山田錦で、精米歩合は70%に揃えています。搾った酒は濾過をせず、原料由来の味わいをそのまま残します。味の特徴は熱掛けの四段仕込みと、濃い味をだれさせない酸です。
搾りたての酒は黄色みが強く、見た目はおいしそうではないものの、落ち着くと旨味が出てくると村瀬さんは話しています。仕上がりは芳醇で濃厚です。甘味と酸味がともに強く、キャラクターのはっきりした酒です。村瀬さんは、生のまま出す、無濾過にする、貯蔵するなど、さまざまな形で「楽の世」を出荷しています。
代表銘柄
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楽の世
「楽の世」は、丸井合名が剣菱酒造への桶売りを続けた時代を経て、近年復活させた自社銘柄です。山廃造りと熱掛四段仕込みで仕込み、濾過をしない無濾過で仕上げます。仕込み水は蔵の井戸から汲み上げる木曽川水系の伏流水で、酒米は基本的に兵庫県産山田錦の70%精米です。芳醇で濃厚、甘味と酸味がともに強い唯一無二の個性で知られています。
楽天で商品を見る蔵の基本情報
- 所在地
- 愛知県江南市布袋町東202
- 創業
- 1790年
出典
sake-times.com / sakenomy.jp / oishiisake.jp / sakeworld.jp / sakeroman.com / konan-kankou.jp / iseyasaketen.com / tv-aichi.co.jp / akisada.jp / sakurasaketen.com / note.com / saketime.jp / nta.go.jp
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