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元見屋酒店

代表銘柄:開明・田力・富士白菊

愛媛県

EHIME

愛媛県西予市宇和町卯之町に位置する蔵元です。過去の大火によって創業年を示す史料が焼失したため詳細な創業年は不明ですが、前蔵は寛政年間(1789〜1801年)、仕込み蔵は安政年間(1854〜1860年)に建てられた200年以上の歴史を誇る建物で酒造りが行われています。

仕込み水には蔵裏にある雨山(坪ヶ谷)から湧き出る伏流水を使用し、自社栽培した「山田錦」などを原料米として用いています。また、昭和初期に作られた槽(ふね)による搾り(2020年時点)や、熟成酒の醸造にも力を入れています。代表銘柄には「開明」「田力」「富士白菊」などがあります。

受賞歴としては、全国新酒鑑評会で平成15酒造年度の「開明」が入賞したほか、「熟成純米酒 開明」が全国燗酒コンテストの特殊ぬる燗部門で金賞を5回(2018・2020・2022〜2024年)受賞し、「無濾過純米原酒 開明 2001年」がワイングラスでおいしい日本酒アワードの2021年プレミアム純米部門で最高金賞を受賞(2023年・2026年にも別年産で金賞)するなど、高い評価を受けています。

元見屋酒店の歩み

宇和島藩の宿場町として栄えた江戸時代、現在の西予市宇和町卯之町にあたる地の約200mの通りには、天保9年(1838年)に元見屋酒店を含めて5軒の造り酒屋が並んでいました。酒造りの季節には仕込み水に使う湧水汲みが蔵どうしの競争となり、町の風物詩になるほどの賑わいだったと伝えられています。

創業の年は分かっていません。寛政年間(1789〜1801年)に大火で蔵も資料も焼失したためで、現存する前蔵はこのときに新設されたものです。安政年間(1854〜1860年)には仕込蔵が新設され、建物は弐百年を経た今も江戸期の姿をとどめ、その中で酒造りが続いています。九寸柱(27cm角柱)が蔵を支えています。

株式会社元見屋酒店としての設立は1955年7月29日です。1987年に清酒「純米酒 開明」を発売し、2009年には仕込み蔵を新設して醸造設備を移転しました。同じ2009年に、蔵のある卯之町が重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。2018年に「純米大吟醸 田力」、2019年にリキュール「酒精強化熟成酒 誰そ彼」を発売し、2019年6月時点の従業員は6名でした。

杜氏は、親子二代にわたって務めた高橋哲夫さんが技と精神を守り抜き、現在はその酒造りが社員杜氏へ受け継がれています。2026年時点の代表者は本多照昌さんです。

受賞では、全国新酒鑑評会に平成15酒造年度の「開明」が入賞しています。近年は酒文化研究所主催の二つのコンテストでの評価が目立ちます。全国燗酒コンテストでは、2017年に「本醸造 辛口 開明」がお値打ちぬる燗部門で金賞を受賞しました。「熟成純米酒 開明」は特殊ぬる燗部門で2018年、2020年、2022年、2023年、2024年と5回金賞を受賞しています。「上撰 富士白菊」もお値打ち熱燗部門で2020年と2021年に金賞でした。

ワイングラスでおいしい日本酒アワードでは、2021年に「無濾過純米原酒 開明 2001年」がプレミアム純米部門で最高金賞、2023年に「無濾過純米原酒 開明 2003年」が同部門で金賞、2026年に「無濾過純米原酒 開明 2006年」がプレミアム熟成酒部門で金賞を受賞しました。同じ2026年には「純米吟醸酒 開明」もメイン部門 2000で金賞となり、蔵はこのアワードで熟成酒以外の入賞は初めてだと発表しています。

酒造りの特徴

仕込み水には、蔵の裏手にある雨山(坪ヶ谷)から湧き出る伏流水を使います。吟醸酒は、地元の宇和盆地で自社栽培・契約栽培した酒造好適米の山田錦と、伊予の風土が育んだ松山三井を原料米に、愛媛県産の酵母で醸しています。純米吟醸 開明や純米大吟醸 山田錦 開明は自社栽培の山田錦を使い、純米大吟醸 山田錦 開明は3年間の冷蔵熟成である蔵囲いを経て、とろみを持たせています。

契約農家の酒井さんが、田に合鴨を放して育てた山田錦を使う「自然派」シリーズもあります。栽培期間中は農薬も肥料も使わないものの、周辺の田と水を共用するため有機栽培は名乗れないと蔵は説明しています。「純米大吟醸 田力」は、農家集団の田力本願株式会社がみかんの循環栽培で育てた松山三井を愛媛県産酵母EK-1で仕込んでいます。

「純米酒 開明 伊予のこいごころ さくらひめ」は、酵母を701号から愛媛県産業技術研究所が開発した花酵母さくらひめ(type3)に変えて仕込む酒で、売上の一部が愛媛県酒造組合を通じて子育て支援事業に寄付されます。

蔵の大きな特色は熟成です。純米酒は1年以上の定温熟成を経て出荷し、「熟成純米酒 開明」は5年以上熟成させた複数の純米原酒をブレンドして造ります。「無濾過純米原酒 開明」のVintageシリーズは、各上槽年の酒を720mlで1000本限定とし、安政年間に建てられた本蔵で18度以下の定温熟成を行います。濾過をせずに瓶詰めするため、時を重ねると色は琥珀色に、香りはカラメルのようになり、シェリー酒を思わせる味わいになると蔵は説明しています。

2020年時点では、安政年間に建てた仕込み蔵では仕込みを行わず、昭和初期に作られた槽で搾り作業をしていました。にごり酒は昔ながらの槽でしぼっています。

2026年の仕込みは、酒米の高騰で仕込みタンクが4本に絞られ、1月28日に甑倒しとなりました。例年、ゴールデンウィークのれんげ祭りの「日本一のもちつき」では、蔵で蒸したもち米を甑ごと会場へ運んでいましたが、2026年は市の財政事情でイベントが中止となり、甑は片付けられました。

代表銘柄

開明

蔵の中心となる銘柄です。名前は、明治5年に開校した「開明学校」にちなみます。原料米を自社栽培した「純米大吟醸 山田錦 開明」と、熟成による味の変化にこだわった「熟成純米酒 開明」を柱に、純米吟醸、生原酒、にごり酒、Vintageの無濾過純米原酒まで幅広く造っています。熟成純米酒は全国燗酒コンテストで5回金賞を受賞し、2026年には純米吟醸酒がワイングラスでおいしい日本酒アワードのメイン部門 2000で金賞となりました。

田力

「田」に「力」と書いて「男」と読ませる、2018年発売の「純米大吟醸 田力」の銘柄です。農家集団の田力本願株式会社が、みかんの循環栽培という独自の方法で育てた松山三井を、愛媛県産酵母EK-1で仕込みます。蔵は、米のうま味と酵母の特徴を引き出した、みずみずしく滑らかな喉越しのバランスの良い中辛口と説明しています。精米歩合は50%で、蔵は清涼感のある料理に合う酒と説明しています。2026年春には無濾過の生原酒も予約販売されました。

富士白菊

蔵が「当蔵の歴史である銘柄」と位置づける古くからの銘柄です。「上撰 富士白菊」は本醸造と普通酒をブレンドして少し熟成させた酒で、冷やすと淡麗、燗にすると濃醇になり、まろやかで喉越しがよいのが持ち味です。全国燗酒コンテストのお値打ち熱燗部門で、2020年と2021年に金賞を受賞しました。ほかに「媛 富士白菊」もあります。

見学・購入

直売所
蔵併設の店舗で清酒の小売販売と試飲ができます。営業は平日9:30〜16:30、土曜9:30〜14:00で、日曜・祝日・お盆・年末年始は休みです(2026年3月からの時間)。蔵作業中は営業時間内でも閉まるため、来店前に電話(0894-62-0036)で確認してください。
補足
醸造現場の見学案内はありません。江戸時代の帳場は自由に見学・写真撮影できますが、現在はスタッフ不足のため案内は行っていません。最寄りは予讃線の卯之町駅で、徒歩約7分です。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
愛媛県西予市宇和町卯之町3-88
公式サイト
www.motomiya.jp

出典

seiyojikan.jp / motomiya.jp / securesite.jp / kansake.jp / finesakeawards.jp / nrib.go.jp

本ページは自動収集した情報を編集したものです。公開資料に基づく記事で、現地取材・実飲による評価ではありません。内容に関するご指摘はお問い合わせへお寄せください。