檜物屋酒造店
代表銘柄:千功成
福島県
FUKUSHIMA
1874年創業
福島県二本松市にて明治7年(1874年)に創業した酒蔵。代表銘柄の「千功成(せんこうなり)」は、旧二本松藩主・丹羽公の先の君主である豊臣秀吉の馬印「千成ひょうたん」と「千の功が成る」という言葉にちなんで名付けられた。仕込み水には安達太良の良質な湧水を使い、大吟醸・吟醸には山田錦を用いている。かつては南部杜氏を招いていたが、東日本大震災を機に地元雇用へ切り替え、現在は福島県清酒アカデミーで学んだ地元の蔵人たちが酒造りを担う。
搾りは、醪を袋に詰めて余計な圧力をかけずにじっくり搾る「槽搾り(ふなしぼり)」で全量を行い、蔵は「米をつぶさない」ことで雑味のないすっきりとした味わいになるとしている。定番の甘口酒「千功成 金瓢」は仕上げに自家製甘酒を合わせる四段仕込みで、地元の晩酌酒として長年親しまれている。全国新酒鑑評会では平成14・18・19酒造年度に金賞を受賞し、令和3年(2021年)には東北清酒鑑評会の吟醸酒の部において「大吟醸 袋吊り」が最優秀賞を受賞した。
檜物屋酒造店の歩み
檜物屋酒造店は、福島県二本松市の旧奥州街道沿いで1874年(明治7年)に創業した酒蔵です。創業の地は旧二本松藩の城下町にあたり、いまも二本松駅から歩いて5分ほどの市街地に店と蔵を構えています。屋号の「檜物屋(ひものや)」は、酒造りを始める前に檜の曲げ物を造っていたことに由来します。株式会社としての設立は1985年(昭和60年)で、代表の齋藤一哉さんは7代目当主にあたります。
銘柄の「千功成(せんこうなり)」は、旧二本松藩主の丹羽家の先の君主である豊臣秀吉の馬印、千成瓢箪にちなんで「千成」と名付けたのが始まりです。のちに「千の功(いさお)が成る」という意味から千功成になりました。縁起のよい名前から贈り物にも用いられ、二本松の祭りに欠かせない酒でもあります。蔵は千功成を「地酒の中の地酒」として誇りにしており、出荷する酒の多くは二本松市内で消費され、市外ではほとんど流通しません。秋の二本松提灯祭りの時期には、出荷が特に増えます。
酒造りの体制は、東日本大震災を境に変わりました。かつては南部杜氏を招いていましたが、震災と原発事故のあとは招くことができなくなり、市内在住の杜氏を中心にした地元の蔵人だけで造る体制になりました。2025年時点では、常勤の社員を除く蔵人は米やキュウリを作る農家で、農作業が一段落する10月ごろから4月ごろまで蔵に入ります。齋藤社長をはじめ、蔵人の多くは県の清酒アカデミー(福島県清酒アカデミー職業能力開発校)の卒業生です。
全国新酒鑑評会では、酒造年度で数えて平成14年度・平成18年度・平成19年度に金賞を受賞しました。平成14酒造年度以降では、ほかに平成16年度と、令和元年度から令和7年度までの7年連続を含む計8回が入賞で、入賞は合わせて11回です。仙台国税局の東北清酒鑑評会では、令和3年(2021年)に「千功成 大吟醸 袋吊り」を出品した吟醸酒の部で初の最優秀賞に選ばれました。このほか平成20年、令和4年、令和5年の吟醸酒の部で優等賞に選ばれています。
福島県の春季・秋季の鑑評会では、平成16年から令和8年までに金賞を少なくとも14回受賞しており(吟醸酒の部12回、純米酒の部2回)、令和8年(2026年)は春季に吟醸酒の部、秋季に純米酒の部で金賞でした。「千功成 金瓢」は、燗酒コンテスト2012・2013のお値打ち熱燗部門でも金賞に選ばれています。
2023年(令和5年)8月7日には、昭和前期(1930年ごろ)に建てられた土蔵造2階建の仕込蔵と、明治期の旧店蔵(文庫蔵)が、国の登録有形文化財に登録されました。仕込蔵は北妻の端正な外観が、旧店蔵は軒まで塗り込めた重厚な土蔵造が、それぞれ奥州街道の景観をつくる建物です。
酒造りの特徴
仕込みは、昔ながらの甑(こしき)で米を蒸すところから始まります。仕込みには安達太良の良質な湧水を使います。蒸米、麹、水を4日間で3回に分けて仕込む三段仕込みで、麹は約2日かけて蒸米に麹菌を繁殖させて造ります。2025年時点では、麹づくりの担当者が温度の管理を丁寧に確認して強い麹を育てることに神経を使っています。発酵は20日から30日ほど続き、頃合いを見て上槽(搾り)に進みます。
この蔵の最大の特徴は搾りです。すべての酒を佐瀬式で上槽しており、醪(もろみ)を詰めた袋を槽(ふね)に並べ、上からゆっくりと圧力をかける全量槽搾りです。手間はかかりますが、齋藤社長は「米をつぶさないので、雑味のないすっきりとした味わいになります」と話します。最上位の大吟醸袋吊りは、袋を吊り下げて自然に滴るしずくだけを集めて造ります。令和3年(2021年)の東北清酒鑑評会では、この「千功成 大吟醸 袋吊り」を吟醸酒の部に出品して最優秀賞に選ばれました。
商品は大吟醸から普通酒まで幅広く、大吟醸袋吊りと吟醸は山田錦を40%まで磨いた酒、純米吟醸は精米歩合50%、特別純米酒の甑峯は55%、純米酒は60%です。純米酒のラベルの文字は、大山忠作画伯の書です。夢の香を使った特別純米酒「霞の天地」や本醸造、祝いごと向けのコモ付きの樽酒、徳利入りの商品もそろえています。普通酒の「千功成 金瓢」は、仕上げにごく少量の自家製甘酒を加える四段仕込みで、親しみやすい甘みが特徴です。
「千功成 甑峯」は2018年ごろに誕生した酒で、名は安達太良山の別名にちなみ、山を愛した先代の郷太郎さんの願いを齋藤社長が実現しました。特別純米酒と、精米歩合50%の純米吟醸袋吊りがあり、甘めの味わいが多い千功成の中では、すっきりと軽快な飲み口に仕上げています。発売当初はすぐに売り切れ、以降は製造量を少しずつ増やしてきました。
2021年時点では、仕込み量が少なく夏場の劣化が課題だったため、氷点下5度で貯蔵できる冷凍庫を導入しました。同じ年に東北清酒鑑評会で最優秀賞を受けた際、齋藤社長は県ハイテクプラザの技術指導や県内の酒蔵との情報交換が大きかったと話しています。
代表銘柄
千功成
二本松市内を中心に飲まれてきた蔵の銘柄で、名は「千の功が成る」という縁起のよい意味に由来します。看板は、齋藤社長が蔵を代表する酒に挙げる甘めの普通酒「金瓢」で、瓢箪があしらわれたラベルが目印です。社長は「少し塩辛い二本松の家庭料理に合う」と話し、昔から晩酌酒として飲まれてきました。大吟醸から普通酒まで商品は幅広く、いずれも「千功成」の名で出されています。
見学・購入
- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 直売所
- 蔵の店舗で販売しています。営業時間は8:00〜18:00、日曜・祝日は休みです。公式のショッピングサイトでも購入できます。
- 補足
- 見学と試飲は事前に相談が必要で、有料です。試飲には身分証が必要です。二本松駅から徒歩約5分で、店舗に隣接した駐車場があります。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 福島県二本松市松岡173
- 創業
- 1874年
- 公式サイト
- senkonari.com
出典
japansake.or.jp / nihonmatsu.lg.jp / shinise.tv / fukushima-kensakeoroshi.co.jp / fukunosake.com / mori-onlineshop.com / gurutto-fukushima.com / senkonari.com / sake-fukushima.jp / nta.go.jp / nrib.go.jp / tohoku-sakurakaido.jp / dakeonsen.or.jp / f-sake.com / bunka.nii.ac.jp / online.bunka.go.jp / kansake.jp / nihonmatsu-dmo.jp / houjin-bangou.nta.go.jp / web.archive.org / saketime.jp
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