稲葉酒造
代表銘柄:男女川・すてら
茨城県
IBARAKI
1867年創業
稲葉酒造は1867年(慶応3年)創業、筑波山の麓に蔵を構える老舗酒蔵です。代表銘柄の「男女川(みなのがわ)」は、古くより筑波山神社の御神酒として親しまれてきました。2000年には6代目の稲葉伸子氏が蔵元杜氏として蔵を継承し、全量を純米大吟醸で醸す新ブランド「すてら」を誕生させました。酒造りには筑波山の湧き水と厳選した酒米を使用し、洗米から発酵、麹造り、搾りに至るまで機械に頼らず蔵人の丁寧な手作業にこだわっています。
自然の重みで搾る「袋吊り」や無濾過瓶詰めなど、タンクごとの個性を活かした透明感のあるピュアな味わいが特徴です。その品質は国内外で高く評価されており、全国新酒鑑評会での金賞受賞や、インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)等での賞獲得歴を有します。2016年につくばで開かれたG7科学技術大臣会合では、「すてら」が乾杯酒に選ばれました。敷地内には利き酒やスイーツが楽しめる酒蔵カフェも併設されています。
稲葉酒造の歩み
稲葉酒造は、筑波山の麓、茨城県つくば市沼田に蔵を構える酒蔵です。慶応3年(1867年)に、恵まれた米と敷地内の湧き水で酒造りを始めました。蔵の説明では、この地で十六代にわたって暮らしてきた家柄で、創業以来の銘柄「男女川(みなのがわ)」は筑波山神社の御神酒として親しまれてきました。銘柄名は、小倉百人一首にも詠まれた、女体山と男体山の間を流れる沢の名にちなんでいます。
転機は1999年でした。廃業寸前だった蔵で、6代目の稲葉伸子さんが父や周囲の反対を押し切って酒造りを再開します。女性の杜氏がほとんどいない時代で、同業者から厳しい声も受けたと蔵は振り返っています。2000年に蔵元杜氏として蔵を継ぎ、この年に純米大吟醸「すてら」が誕生しました。手造りにこだわった丁寧な造りで、毎年少しずつ製造量を増やしてきました。
2016年にはつくば産の米で醸した純米吟醸を発売し、同年度には茨城県の「いばらき経営革新優秀賞」で最優秀賞を受けています。また同じ年の5月には、つくばで開かれたG7科学技術大臣会合の乾杯酒に「すてら」が使われました。2017年には創業150周年を迎えています。2018年には仕込みを全量純米酒に切り替え、2019年からは筑波山麓の棚田で育てた酒米による酒造りを本格化させました。将来は、使う米のすべてをこの地域の酒米に変えていくことを目標に掲げています。
全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度以降に限っても8回入賞しています。平成29酒造年度と平成30酒造年度に金賞を受賞し、令和元酒造年度は入賞でした。令和2酒造年度にも金賞を受け、令和4酒造年度から令和7酒造年度までは4年続けて入賞しています。いずれも商標は「すてら」で、このうち金賞は3回です。令和元酒造年度は新型コロナウイルスの影響で決審が中止され、金賞酒の選定はありませんでした。関東信越国税局酒類鑑評会では、第89回(2018年)の純米吟醸酒の部で「すてら」が優秀賞に選ばれました。
第90回(2019年)と第92回(2021年)、第95回(2024年)では純米酒の部で「男女川」が優秀賞を受けています。第92回と第93回(2022年)では、純米吟醸酒の部でも「すてら」が優秀賞でした。茨城県清酒鑑評会では、蔵の発表によると、平成29年の純米の部で金賞、平成30年度の純米吟醸の部で銀賞を受賞しています。
海外のコンテストでは、蔵の発表によると、2018年のロサンゼルス・インターナショナル・ワイン・コンペティション(LA IWC)の純米吟醸の部で「男女川 純米吟醸 無濾過」がベスト・オブ・クラス(部門最高賞)のゴールドメダルを受賞しました。同年のインターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)では、純米大吟醸の部で「プレミアムすてら 純米大吟醸 雫酒 無濾過原酒」がシルバーメダル、「すてら 純米大吟醸 雫酒 無濾過原酒」がブロンズメダル、純米吟醸の部で「男女川 純米吟醸 無濾過」がブロンズメダルでした。
2019年のIWCでは「プレミアムすてら」が再びシルバーメダル、「男女川 純米吟醸 無濾過」がブロンズメダルとなり、同年のLA IWCでは両銘柄がともにシルバーメダルを受賞しています。2019年のミラノ・サケ・チャレンジでは、純米大吟醸の部で「すてら 純米大吟醸 雫酒」がゴールドメダル、純米吟醸の部で「男女川 純米吟醸 無濾過」がシルバーメダルでした。
酒造りの特徴
仕込み水は、酒蔵の裏山から湧き出す筑波山の湧き水です。蔵の説明では、筑波山の花崗岩の土壌で長い年月をかけてろ過された水で、県内では唯一の湧き水といいます。口当たりがやさしく、まろやかな水が酒の性格にも表れていると蔵は語っています。
酒造りは、洗米から発酵、麹造り、搾りに至るまで、蔵人の手作業による技法で行っています。搾りでは、もろみを袋に入れて吊るし、自然の重みだけで一滴ずつ落とす「袋吊り」を採り、そうして得た酒を雫酒として仕込みの最高峰に位置づけています。火入れをする酒はすべて、大吟醸酒と同じ瓶火入れで仕上げ、そのまま瓶囲いで低温貯蔵します。搾りたての生酒は瓶詰めして氷温の冷蔵庫で保管します。
炭濾過や調合による味の調整は一切行わず、無濾過で瓶詰めするのが蔵の方針です。タンクごとの味の違いをそのまま楽しんでもらうためで、「すてら」の商品にはタンク番号が表示されます。たとえば「プレミアムすてら 雫酒」の5号タンクと6号タンクでは、使う山田錦の産地や日本酒度、香りが異なります。
「すてら」はすべて純米大吟醸で、毎年7タンクだけを醸します。低温で長く発酵させるもろみが特徴です。さらに「STELLA SENSE」は、筑波山麓の棚田で独占契約栽培された酒造好適米と、茨城県産業技術イノベーションセンターが開発した県独自の酵母を使い、雫しぼりで仕上げます。精米歩合は年ごとの米の出来で決めるため表示しておらず、特定名称はあえて「純米」としています。
代表銘柄
男女川
筑波山神社の御神酒として造り続けられてきた蔵の看板銘柄です。米の良さが生きたふくらみのある、しっかりした味わいが特長です。創業以来、敷地内の湧き水で仕込んでいます。「純米大吟醸 槽しぼり」は兵庫県産山田錦を50%まで磨き、昔ながらの槽で搾って瓶火入れした、やや辛口の1本で、しっかりとした味わいをもちながら透明感のある飲み口だと蔵は説明しています。
すてら
2000年に誕生した純米大吟醸のブランドで、毎年7タンクだけを醸し、商品にはタンク番号が入ります。ラテン語で星を意味する名は、冬の仕込みで見上げる星空にちなみます。フルーティーな香りと味わいが特長で、「雫酒」は透明感のあるピュアな味わいです。全国新酒鑑評会では、金賞3回を含む8回の入賞がいずれもこの銘柄によるものです。
見学・購入
- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 直売所
- 蔵元直売所では全商品と蔵元限定酒の試飲・直売を行っています。営業時間は9時から18時で、水曜が定休日です。敷地内の酒蔵Caféは10時から17時で、酒粕ジェラートや甘酒、仕込み水で淹れたコーヒーなどが楽しめます。
- 補足
- 酒蔵見学(酒蔵ガイド)は電話での予約制です。蔵の歴史や酒造りの説明を聞きながら、おすすめ3種のきき酒を楽しむ約45分の内容で、1,760円(税込)、最少催行人数は8名です。仕込蔵内は温度と衛生の管理のため通常は案内していません。日時によっては案内できない場合があります。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 茨城県つくば市沼田1485番地
- 創業
- 1867年
- 公式サイト
- www.minanogawa.jp
出典
ibarakiguide.jp / vercel.app / monogatari-sake.com / sakagura-press.com / tsukuba.lg.jp / securite.jp / ibanavi.net / minanogawa.jp / minanogawa.tsukuba.ch / nrib.go.jp / nta.go.jp
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