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稲田酒造

代表銘柄:黒松稲天・氷室のさと・稲乃花

奈良県

NARA

1877年創業

奈良県天理市の天理本通り商店街沿いに位置する稲田酒造は、1877年(明治10年)に創業した酒蔵です。天理の豊かな自然と歴史のなかで酒造りを営み、天理教の御神酒を手掛けてきた歴史を持ちます。

近隣の山の伏流水を仕込み水に使い、地元産の米を積極的に用いた酒造りを行っており、2019年時点では奈良県産の露葉風やひのひかりなども使っていました。2020年からは黒瀬杜氏が加わり、「蔵に寄り添う酒造り」をテーマに掲げています。代表銘柄には「黒松稲天」「稲乃花」「氷室のさと」などがあります。「黒松稲天 大吟醸」は、平成30酒造年度(令和元年発表)の全国新酒鑑評会で金賞、「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2020」で金賞を受賞しました。

また、自社の酒粕を活かし、国産素材100%・添加物不使用でつくる奈良漬けの製造・販売を行っていることでも知られています。

稲田酒造の歩み

稲田酒造は、奈良県天理市の天理本通り商店街にある酒蔵で、1877年(明治10年)に創業しました。蔵の沿革では、稲田源治郎が現在の天理市三島町にあたる地で、教祖・中山みきが存命の時期に天理教の御神酒として醸造を始め、初代管長の中山眞之亮から「稲の花」の名を授かりました。当時の蔵は中山家の北東側にありました。

明治30年には神殿の普請にともなって鏡池の横へ移り、大正12年の2度目の移転で現在の醸造場に落ち着きました。明治45年には稲田政兵衛が、天理教二代真柱の中山正善から「いなてん」の名を授かっています。昭和24年に稲田源司が稲田酒造合名会社を設立し、昭和44年には稲田利也が4代目社長に就任しました。翌昭和45年(1970年)からは、酒造りで出る酒粕を活かした奈良漬の製造・販売を始めています。

平成11年に純米吟醸「楽寿」を発売し、平成16年には杜氏制を廃止して、稲田光守を中心に地元の従業員で酒造りを始めました。同じ年に10年ビジョンも作成しています。令和2年(2020年)からは黒瀬杜氏がスタッフに加わり、「蔵に寄り添う酒造り」をテーマに、より地域に根差した酒造りを目指しています。現在の代表社員は稲田光守です。

取り組みの節目も重ねてきました。平成22年には平城遷都1300年を記念して開発された奈良うるはし酵母での純米酒醸造に取り組み、平成26年には大神神社の神域で採取された山乃かみ酵母での純米酒醸造に取り組みました。平成29年には天理市産の酒米「吟の里」を使った「大和高原 氷室のさと 天理福住」の醸造を始め、2020年には創業時の銘柄を復活させた限定流通の「稲乃花」をスタートさせています。

全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度以降に限っても、平成14・15・20・25酒造年度に黒松稲天が入賞し、平成30酒造年度(令和元年5月発表)には黒松稲天 大吟醸が金賞に選ばれました。蔵の沿革では、これ以前にも平成9酒造年度の黒松稲天 大吟醸酒が金賞を受けたとしています。「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」では、2018年にメイン部門で山乃かみ酵母使用の純米酒 黒松稲天が金賞を受賞しました。

2020年(第10回)にはプレミアム大吟醸部門で黒松稲天 大吟醸が、プレミアム純米部門で黒松稲天 純米吟醸と大和高原 氷室のさと 天理福住が金賞を受賞しています。蔵の発表では、2019年の全国燗酒コンテストでも、黒松稲天 上撰がお値打ち熱燗部門で金賞を受けています。

酒造りの特徴

原料米は、地元でとれたものを地元で消費したい、そこに酒造りで関わりたいという思いから、地元産の米を積極的に使っています。仕込み水には近隣の山の伏流水を使っています。天理市福住町は米作りに向いた土地柄で、地元の農家と行政の協力を得て、酒米を含むさまざまな米づくりに取り組んでもらっています。2019年時点の定番の酒米は、奈良県産の露葉風、兵庫県産の山田錦、福井県産の五百万石、岡山県産の雄町で、奈良県産のきぬひかりとひのひかりは普通酒や純米酒を中心に使っていました。

2019年時点の工程では、洗米にウッドソン社製のMJP洗米機を使い、ジェット気泡で米を洗って汚れをすぐに排出するため米が割れにくいとしていました。この洗米は大吟醸などの高精白の米だけでなく、普通酒まですべてに採用し、平成28年度には遠心脱水機も取り入れています。蒸米には平成27年度からホリケン社の吟醸用コシキを使い、放冷は自然放冷です。平成27年度には麹室を新築し、およそ2昼夜半かけて麹を造ります。麹米はすべて限定吸水とし、データで管理しながら吸水歩合を調整しています。

同じく2019年時点では、酵母に、奈良市の正暦寺の境内で採取された奈良うるはし酵母と、三輪山の麓の大神神社の神域で平成24年春にササユリの花から分離された山乃かみ酵母という、奈良独自の2種を使っていました。定番商品には協会7号と9号の酵母を使っていました。酒母は速醸で育て、仕込みは添・仲・留の三段仕込みで、約25日から30日かけて酒に仕上げていました。搾りは、通常のお酒には自動圧搾ろ過機(通称ヤブタ)を使い、大吟醸などは約40袋のもろみ袋をタンクに吊るし、自然に落ちてくる雫だけを取る袋吊りでした。

貯蔵はタンクで行い、一本ずつ瓶詰めして瓶燗機で火入れしたのち冷蔵庫に貯蔵していました。冬季限定の本醸造しぼりたて生原酒は、加熱処理を一切行わない商品です。

酒蔵のもう一つの柱が奈良漬です。昭和45年から、酒粕を活かした造り酒屋の奈良漬として白瓜、きゅうり、守口大根などを製造・販売しています。原材料は国産素材100%で添加物は使わず、野菜を塩漬けにしたあと粕に漬け込み、漬けかえを長い年月繰り返して、すべての工程を終えるまでにおよそ3年弱かかります。商品には「雅」「古都」「青丹よし」「青垣」があります。

代表銘柄

黒松稲天

蔵の主銘柄で、古くから天理の地酒として親しまれてきました。大吟醸は天理市産の「吟の里」を高精白し、しっかりとした酸が味わいを引き締め、吟醸特有の透明感が際立ちます。上撰は奈良県産米100%で、口当たりが良く飲み飽きしない万能酒です。純米吟醸のほか、冬季限定の純米と本醸造のしぼりたて生原酒もあります。

氷室のさと

天理市内の農家が育てた酒米「吟の里」で醸す、より地域に根差した酒をテーマにした銘柄です。吟の里100%の純米酒は淡麗で料理の味を邪魔せず、兵庫県産山田錦100%の純米酒は濃醇ながら口当たりがまろやかです。2020年には「大和高原 氷室のさと 天理福住」が、ワイングラスでおいしい日本酒アワードで金賞を受けました。

稲乃花

創業時の銘柄を復活させ、2020年に始まった限定流通の新シリーズです。ラベルは墨アーティストのイマタニタカコさんが描き、お酒ごとの味わいを作品と色で表現しています。「瑠璃」「梅重」などがあり、販売は特約店に限られます。天理市内の酒店をはじめ、奈良県内外の特約店で取り扱っています。

見学・購入

蔵見学
あり(要事前確認)
直売所
天理本通り商店街の蔵で日本酒と奈良漬を販売しています。営業時間は9:00から17:00、定休日は不定休です。公式の通販サイトもあります。
補足
蔵見学は無料で、メール・電話・ファックスで事前に問い合わせます。夏場は酒造りをしていないため蔵元との交流や利き酒が中心で、冬場は施設見学やしぼりたての試飲が中心です。仕込み時期は希望に添えない場合があります。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
奈良県天理市三島町379
創業
1877年
公式サイト
inaten.com

出典

nara.lg.jp / nara-kankou.or.jp / inaten.com / narawashi.jp / montbell.jp / web.archive.org / nrib.go.jp

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