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文太郎

代表銘柄:文太郎・いで湯美人・孤高

兵庫県

HYOGO

1744年創業

兵庫県美方郡新温泉町にある酒蔵。日本四大杜氏の一つ「但馬杜氏」の郷でありながら地元に酒蔵がない状況を解消し技能を継承するため、休造中だった京都府の酒蔵(永雄酒造)を引き継ぐ形で2019年に新温泉町へ移転・設立され、同町でほぼ60年ぶりに酒造りが復活しました。

蔵名および代表銘柄の「文太郎」は、同町出身の著名な登山家で小説『孤高の人』のモデルとしても知られる加藤文太郎に由来します。

酒造りでは「現代の名工」に選ばれた田村豊和氏や、文太郎の設立前に杜氏として2000年から2009年まで全国新酒鑑評会で10年連続金賞を受けた森口隆夫氏ら経験豊富な但馬杜氏が参画・指導にあたり、後進の育成に取り組んでいます。代表者自らが地元の水田で栽培する酒米(兵庫北錦、五百万石)や兵庫県産山田錦、岸田川の伏流水を用いて、伝統の技を生かした酒造りを行っています。

文太郎の歩み

文太郎は、兵庫県美方郡新温泉町用土にある酒蔵で、株式会社文太郎が営んでいます。新温泉町は、越後杜氏、南部杜氏、丹波杜氏と並んで日本四大杜氏に数えられる但馬杜氏のふるさとです。兵庫県北部の但馬地域は雪が深く冬の農業に向かないため、古くから多くの人が酒造りの出稼ぎに出ました。慎重で誠実、粘り強い気質は、半年間の住み込みを要する酒造りで持ち味を発揮してきました。

その但馬杜氏は、蔵の発表では昭和40年代に約3,000人いましたが、蔵人の高齢化や出稼ぎという働き方の減少で、平成29年度には88人まで減りました。新温泉町の酒蔵もなくなり、町に酒蔵が戻るのはほぼ60年ぶりのことでした。

設立に動いたのは、新温泉町の町長を務めた岡本英樹です。蔵の発表では、2009年11月の町長就任直後から地域経済政策の一環として酒蔵の構想を温め始め、町長退任後に私財を投じて会社を立ち上げました。前身は、京都府の丹後で営まれ、休止していた永雄酒造です。1744年に、現在の京丹後市丹後町中浜にあたる地で「最中屋」の屋号で創業し、昭和29年12月に永雄酒造有限会社が成立して、商標「旭桜」で酒を造ってきました。

平成31年(2019年)2月19日に新温泉町用土へ移転して操業を始め、4月1日に商号を変更して株式会社文太郎を設立しました。4月25日には、文太郎、いで湯美人、孤高、単独行などの銘柄を発売しています。蔵名は、現在の新温泉町浜坂に生まれた登山家、加藤文太郎にちなみます。加藤文太郎は明治38年(1905年)の生まれで、日本アルプスの名山に冬も単独で登り、「単独登攀の加藤」「不死身の加藤」と呼ばれました。

昭和11年(1936年)に槍ヶ岳北鎌尾根で遭難し31歳で亡くなり、その生涯は新田次郎の小説『孤高の人』に描かれています。蔵のロゴは、この北鎌尾根のイメージと、書のまちである新温泉町にちなんだ墨字の力強さを重ねたものです。

酒造りの体制は、杜氏1名と顧問2名です。顧問の田村豊和は昭和10年に新温泉町で生まれ、岡山県の利守酒造で長く杜氏を務めた名工で、1997年に現代の名工に選ばれ、2009年に黄綬褒章を受章しました。もう一人の顧問、森口隆夫は昭和18年に同町で生まれ、蔵の発表では2000年から2009年まで全国新酒鑑評会で10年連続して金賞を受けた但馬杜氏です。杜氏は、田村と森口の下で修業した岡本大地が令和5年(2023年)に就任しました。

酒造りの特徴

酒米は、代表者自らが地元の水田で栽培する五百万石と兵庫北錦が中心で、山田錦は兵庫県産米を使います。蔵の説明では、五百万石は酸やアミノ酸が少なく後味がすっきりしやすく、兵庫北錦は酸やアミノ酸が多く、濃厚で旨味が出やすい米です。仕込み水には、新温泉町を流れる岸田川の伏流水を使います。氷ノ山後山那岐山国定公園の扇ノ山系、上山高原を水源とする、やわらかな弱軟水です。

蔵は兵庫県と鳥取県の県境にあり、四方を山に囲まれています。冬は日本海側らしい厳しい気候の中で、少量を丁寧に仕込みます。生酛造りでは、昔ながらの半切り桶を使い、手作業で酛摺りを行いながら力強い酛を育てます。旨味と酸味の調和した本格的な生酛を目指しています。

但馬流の造りを受け継ぐだけでなく、新しい試みにも取り組んでいます。2020年冬仕込みの「もふもふ」は、見習い蔵人の岡本大地が一人で造った麹を使い、但馬杜氏が醸した低アルコールの日本酒です。クラウドファンディングでの先行発売の時点から純米酒とにごり酒の2種があり、現在も微発泡のにごり酒を純米酒とともに販売しています。また、オーガニックの山田錦を使った大吟醸にも挑んでいます。

岡本大地は、会社の設立と同時に37歳で未経験から酒造りの世界に入り、二人の但馬杜氏に学んできました。2023年には、初めて独力で醸した純米吟醸「文太郎」を発表しています。永雄酒造の時代に造られたと伝わる長期熟成の古酒も扱っており、「旭桜」を引き継いだ古酒「文太郎」(普通酒)と、純米酒の古酒「単独行」が並びます。2023年の時点では、それぞれ12年熟成、16年熟成として販売されていました。

代表銘柄

文太郎

蔵名を冠した看板銘柄で、純米酒、純米吟醸、純米大吟醸、大吟醸、上撰などがあります。純米酒は兵庫北錦100%で精米歩合70%、深いコクとしっかりした味わいです。純米大吟醸は五百万石100%で精米歩合50%、すっきりと上品な飲み口です。純米吟醸は兵庫北錦6割に山田錦4割、精米歩合60%で、華やかな香りとみずみずしい後味です。

いで湯美人

2019年4月の発売時から並ぶ銘柄です。特別純米酒生酛の熟成タイプ(3年以上)は兵庫北錦100%、精米歩合60%で、昔ながらの製法で約2か月かけて仕込みます。しっかり立つ酸とコク、旨み、切れのある味わいです。同名の上撰は兵庫北錦100%、精米歩合75%、アルコール分18%で、力強さとまろやかさを併せ持つ普通酒です。

孤高

2019年4月の発売時から並ぶ銘柄です。現行の「大吟醸 孤高 森口隆夫」は、山田錦100%、精米歩合40%、アルコール分17%で、蔵の説明では加西産のASIAGAP認証米を使い、森口隆夫の技の集大成と位置づけられています。2023年の時点では、森口杜氏が自身の最後の作品として醸した大吟醸とされていました。

見学・購入

直売所
蔵に併設された店舗兼事務所で販売しています。営業は不定休で、2022年時点では試飲の案内がありました。公式のオンラインショップでも直接販売しています。
補足
見学や試飲を希望する場合は、事前に蔵へ問い合わせると確実です。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
兵庫県美方郡新温泉町用土245番地
創業
1744年
公式サイト
www.buntaro.co.jp

出典

buntaro.co.jp / tajima.or.jp / issendo.jp / camp-fire.jp / makuake.com / nihonshu-tourism.com / nta.go.jp

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