養老酒造
代表銘柄:風の里・鵜洲
愛媛県
EHIME
1921年創業
養老酒造は、愛媛県大洲市の肱川中流域に位置し、大正10年(1921年)に創業した酒蔵です。
一級河川である肱川の地下から汲み上げた伏流水を使用し、創業以来「和醸良酒」を信条に、酒造りの大半を今も手作業で行う「人の手による手造り」を守っています。長年受け継がれてきた「伊方杜氏」の伝統技術を踏襲しつつ、2006年からは3代目当主自ら杜氏となり、愛媛県産の酒米や愛媛生まれの酵母など、地元の素材にこだわった酒造りを行っています。
2018年7月の西日本豪雨では、酒蔵や自宅が約3メートルの高さまで浸水し、被害の激しかった酒蔵2棟と自宅を解体する甚大な被害を受けましたが、ボランティアや地域の支援を得て復興を果たし、地域復興の象徴として酒造りを続けています。代表銘柄「風の里」は、地元の自然現象「肱川あらし」が起きる風土に想いを託し、丁寧な手作業で醸されています。
養老酒造の歩み
養老酒造は、大正10年(1921年)に創業した愛媛県大洲市の酒蔵です。所在地は大洲市肱川町山鳥坂で、冬の寒い朝に霧が強風とともに肱川を下り、瀬戸内海へ吹き抜ける「肱川あらし」を生む肱川の、中流域にあたります。会社の創立記念日は9月7日で、2021年にちょうど100周年を迎えました。蔵の信条は「和醸良酒」で、和の心は良酒を醸し、良酒は人の和を醸すという意味を込めています。
創業以来85年にわたり、蔵の酒造りは愛媛県西部の佐田岬半島、伊方町を拠点とした杜氏集団「伊方杜氏」に支えられてきました。2006年1月からは3代目当主で代表取締役の山内光郎さんが自ら杜氏となり、伊方杜氏の酒造りを踏襲しながら独自の形を築いています。同じ時期から、家族の山内正代さんも蔵人として本格的に酒造りに加わりました。
2018年7月7日の西日本豪雨で、蔵は大きな被害を受けました。酒蔵3棟と作業場、隣接する自宅が約3メートルの高さまで水に浸かり、30基以上あった仕込みタンクがあちこちに転がり、一部は天井を突き破っていました。被害の激しかった酒蔵2棟と自宅は解体されました。一時は廃業が頭をよぎりましたが、地域の人々、県酒造組合の仲間、ボランティアの姿に励まされ、被災の1週間後には翌年1月からの酒造りを決意しました。
必要な装置や機械はほとんどを新調し、その費用の一部はクラウドファンディングで賄いました。集まった資金は約177万円でした。仕込みを始める直前には、松山市で飲食関係の会社に勤めていた長男の山内倫太郎さんが帰郷し、後継者として蔵に入りました。同業の蔵からは「必要な道具は、うちのを使ってくれ」との申し出もありました。倫太郎さんは広島県東広島市の酒類総合研究所で酒類醸造講習の清酒コースに通って技術を学び、SNSでも蔵の酒を発信しています。
2020年には、再起後の新しい酒として純米酒の「風の里」を発売しました。2021年には創業百周年を記念して、愛媛県産の山田錦を精米歩合40%まで磨いた純米大吟醸「共」を袋しぼりで仕込み、樹齢100年の桧で作ったお猪口が付く桐箱入りを100セット、単品箱入りを200セット用意しました。地元の鹿野川地区を「叶川」と表し、「飲む人の願いが叶いますように」という想いを込めた特別純米酒の「叶川」も、蔵の現行の銘柄に加わっています。
酒造りの特徴
仕込み水は、蔵内の地下約10メートルから汲み上げる肱川の伏流水です。水温は年間を通して12〜13℃ほどで、清らかな軟水でやわらかくまろやかな酒造りに向いており、洗米にも浸漬にも同じ地下水を使います。吟醸酒の造りでは、洗米と浸漬の水温はどちらも9℃に調整します。洗米用の水は3,000リットルのタンクに入れて冷水機で冷やし、浸漬用の水には手作業で氷を入れます。浸漬は米が吸う水の量を抑える「限定吸水」で、その年の米のでき具合や天候に合わせて秒単位で時間を管理し、米を水から上げる頃合いは蔵人が米の表情を見て判断します。
酒米は「山田錦」「しずく媛」「松山三井」の3種類で、いずれも愛媛県産のものを選んでいます。精米した米は蔵内の涼しい場所で2〜3週間寝かせる「枯らし」を行ってから使います。蒸した米は約半日かけて手作業でゆっくり冷まし、竹の簀の子と麻布の上で余分な水分を逃がします。麹づくりは丸2日に及び、麹の温度は少しずつ43〜45℃まで上げます。その間、蔵人は昼夜を問わず2時間おきに麹の様子を確かめます。
酒母はタンクの下に行火を置き、暖気樽で温度を調整しながら育てます。吟醸酒の醪はおよそ1か月かけて低温でゆっくり発酵させ、吟醸香と旨味を引き出します。搾りは、本醸造酒は圧をかけて1日で搾り、吟醸酒はあまり圧をかけずに1日半〜2日かけてゆっくり搾ります。搾った酒は濾過と調合を経て、1〜2週間ほど生のまま貯蔵します。「風の里」は風味を残すため生のまま貯蔵し、火入れは出荷前のみで、瓶詰め後に瓶燗火入れをします。「風の里 特別純米にごり酒」は一度も火入れをしない生酒です。
蔵では酒造りの大半を今も手作業で行っています。機械化を進めることもできる時代にあえて手造りを守る理由を、蔵は手造りのほうが酒に造り手の想いが乗るからだと説明しています。仕込みの期間はおおむね12月中旬から3月初旬頃です。
代表銘柄
風の里
蔵の中心となる銘柄で、肱川を吹き抜ける風のように、飲む人に颯爽と語り掛ける酒を志して造られています。本醸造酒と純米酒は松山三井の精米歩合60%、純米吟醸酒は愛媛県初の酒造好適米「しずく媛」の精米歩合50%で、いずれも愛媛酵母を使います。生酒の特別純米にごり酒は、蔵が製造から半年を待たず完売する人気商品と位置づける一品です。愛媛県の花酵母を用いた純米吟醸酒の「Sakura hime」もあります。
鵜洲
大洲市の名物である鵜飼いにちなんで命名した純米大吟醸です。養老酒造が創業以来初めて醸した純米大吟醸で、原料米は愛媛県産の山田錦、精米歩合は40%、酵母は愛媛酵母のEK-1です。ほのかな吟醸香とするりとキレる飲み口が特徴で、旬の焼き魚や焼き物の味を引き立てる食中酒として仕上げています。10〜15℃の花冷えから涼冷えがおすすめです。
見学・購入
- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 直売所
- 蔵元のオンラインショップで「風の里」各種を購入できます。
- 補足
- 酒蔵見学は事前予約制で、仕込み期間(12月中旬〜3月初旬頃)を外した時期に案内しています。仕込み期間中は原則お断りですが、人数や時間を限って一部見学できる場合があります。蔵開きは毎年5月(新酒)と9月(ひやおろし)の実施を予定しています。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 愛媛県大洲市肱川町山鳥坂49
- 創業
- 1921年
- 公式サイト
- yoroshuzo.jp
出典
japansake.or.jp / yoroshuzo.jp / ozu-eemon.com / sakeworld.jp / stores.jp / mof.go.jp / ehime-syuzou.com / makuake.com / saketime.jp
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