須藤本家
代表銘柄:天乃原
千葉県
CHIBA
1885年創業
明治18年(1885年)創業。創業当時は小櫃川沿いに位置していましたが、より良質な仕込み水を求め、名水で知られる久留里の天乃原(現在地)へ移転しました。蔵の沿革では、移転した直後に関東大震災が起きたとされています。代表銘柄「天乃原」はこの地名に由来します。
仕込み水には「平成の名水百選」にも選定された久留里の天然湧水(地下約500mからの自噴水)を使用しています。伝統的な酒造りの技を守りつつ先進的な設備の導入も行い、新しい酵母による酒の開発にも取り組んでいます。全国新酒鑑評会では平成9・11・12酒造年度に金賞を受けています。
また、伝統的な日本酒造りのみならず、地元特産のさつまいも「紅小町」や自然薯などを用いた焼酎醸造、さらには千葉県初の地ウイスキー「房総ウイスキー」の製造を行うなど、先進的かつ多様な酒造りに取り組んでいます。
須藤本家の歩み
明治18年の創業です。当時は河川が重要な物流の経路だったため、創業の地は現在の酒蔵から3kmほど離れた小櫃川の川沿いでした。
明治の半ばになると、現在の君津市周辺で上総掘りの井戸が開発され、そのくみ上げ水が評判になりました。酒造りは仕込み水で味が決まるといわれます。4代目は良質な酒を造るため、よりよい水を求めて土地を探し歩き、地下500メートルから自噴する水が湧く久留里の天乃原(てんのはら)にたどり着きました。「日本一の清酒を造るにはこの土地しかない」と移転を決意したと伝わります。
移転した直後に関東大震災が起こりました。蔵の伝えでは、旧地は水害で深刻な被害を受けたものの、その直前に麹を高台の久留里へ運び出していたため、酒造りを続けられたといいます。こうして造られた酒は、湧き水の豊かな土地の名にちなんで「天乃原(あまのはら)」と名づけられました。
家訓は「酒造りは事業にあらず、家業なり」です。現当主の須藤正敏さんは2012年から自ら酒造りに携わり、先進的な研究に取り組むようになり、千葉県でも数少ない焼酎の醸造にも力を入れてきました。
全国新酒鑑評会では、平成9酒造年度に「天乃原」が金賞を受賞し、平成11酒造年度と平成12酒造年度にも2年連続で金賞を受賞しました。平成17酒造年度にも入賞しています。2018年には千葉県内で初めてウイスキーの製造免許を取得しました。2019年の台風被害や新型コロナウイルスの影響による厳しい時期も経て、現在も「房総ウイスキー」を商品に加えています。
酒造りの特徴
仕込み水は、敷地内から地下約500メートルの深さで湧き上がる久留里の天然水です。久留里には上総掘りで掘られた自噴井戸が約200か所あり、大深度から湧く水は豊かな土壌菌を含む「生きた水」と呼ばれ、環境省の「平成の名水百選」に千葉県で唯一選ばれました。やわらかな口当たりとすっきりした喉越しが特長で、洗米ともろみの仕込みはもちろん、仕込みタンクの清掃まで、すべての工程にこの水を使っています。
明治18年から続く伝統を守りながら、安定して高品質な酒を造るため、必要と判断した設備は入れ替えています。一方で、手作業が必要な工程はあえて手作業のまま残しています。最近では、もろみから酒粕を取り除く自動圧搾ろ過機に最新式のプラスチック板を取り入れ、金属臭によるえぐみを抑えて透明感のある味わいにしました。最新の酸度計も導入しています。また、より磨いた米を使って可能な限り粕を出し、雑味の少ないきれいな酒を目指しています。
新しい酵母による酒の開発にも意欲的です。新しく作られた酵母は安定しにくく、多くの蔵元がためらう難しい取り組みですが、研究を重ねて醸造が難しいとされた酒の開発に成功してきたと蔵は説明しています。2019年時点では、OEMやPBの相談も受け付けており、蕎麦の花酵母で仕込んだ焼酎や、君津市特産の花カラーの酵母を使った日本酒を手がけた例がありました。
焼酎では、千葉県産のさつまいも「紅小町」の芋焼酎のほか、自然薯、むかご、枝豆、大豆、麦など、地元の産物を使った多彩な商品を造っています。2018年にウイスキーの製造免許を取得した蔵が造る「房総ウイスキー」は、自社で造ったモルトと独自のルートで確保した英国産スコッチをブレンドしたもので、スモーキーさは控えめで、日本人好みの華やかで甘い香りに仕上げています。
代表銘柄
天乃原
天乃原は、久留里の湧き水で仕込む須藤本家の代表銘柄で、土地の名にちなんで名づけられました。純米酒、純米吟醸、純米大吟醸、吟醸、大吟醸のほか、大吟醸の斗瓶取り生酒や純米吟醸の生原酒、にごり生酒もあります。純米酒は日本晴を精米歩合60%で仕込んだ、甘い果実のような香りとキレのある辛口が持ち味です。純米大吟醸と大吟醸は山田錦を40%まで磨いています。全国新酒鑑評会では平成9・11・12酒造年度に金賞を受賞しました。
見学・購入
- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 直売所
- 公式サイトの商品案内から、販売店のオンラインショップで購入できます。
- 補足
- 酒蔵は一般に開放されており、見学は事前の連絡が必要です。問い合わせの受付は平日の10時から17時です。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 千葉県君津市青柳16-10
- 創業
- 1885年
- 公式サイト
- www.sudouhonke.co.jp
出典
resol-no-mori.com / kimitsu.lg.jp / sudouhonke.co.jp / chiba-sake.jp / perie.co.jp / chibasake.com / web.archive.org / nrib.go.jp
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