SAKE BREWERY — CHIBA
寺田本家
紹介
千葉県香取郡神崎町に蔵を構える寺田本家は、延宝年間(1673~1681年)創業の老舗酒蔵です。1980年代より先代の寺田啓佐氏が自然酒造りへ舵を切り、現在は原料米に全量無農薬米を使用し、添加物を一切使わずに蔵付きの菌のみで発酵させる自然酒造りを行っています。
純粋培養の酵母を使わず、生酛仕込みや室町時代の技術を再現した菩提酛仕込み、木桶仕込みなどの伝統手法を取り入れ、唄を唄いながら機械に頼らない手造りで仕込んでいます。
代表銘柄には自然酒の先駆けとなった「五人娘」、低精白米で醸す「香取」、古代の醸造法を復元した「醍醐のしずく」、伝統の桶で造る「木桶仕込」のほか、委託醸造による「酒宴楽園 パラダイ酒」などがあります。自然の力を活かし、米本来の旨みや酸味が効いた深みのある味わいを生み出しています。
歴史
寺田家の祖先は、江戸時代の延宝年間(1673~1681年)に近江(現在の滋賀県)から千葉県神崎の地へ移り住み、酒造りを生業として寺田本家を興しました。
明治時代には、20代目・寺田憲が婿入りし、幼少期から作歌に親しみ同人誌「心の花」などで活動する歌人として、文人たちのパトロン的な役割も果たしました。この時代の当主には、寺子屋から小学校の創立に関わり地元の名士として知られた敬三郎や、酒蔵経営に加えて銀行経営も手掛けるなど商才に長けた菊之助もいたことが、寺田本家自身がまとめた350年史で紹介されています。
昭和27年(1952年)に婿入りした22代目は高校で化学を教えていた経歴を持ち、科学的な知識を酒造りに生かした一方、商売はあまり得意ではなかったといいます。その跡を継いだ23代目・寺田啓佐は、上場企業創業者の息子で経営者としての資質を持ち、当初は売上を優先した酒造りを行っていました。しかし十二指腸潰瘍を患ったことをきっかけに酒造りへの考え方を大きく転換し、「安く造るお酒」から「安心なお酒」へと方針を改めます。この転換は寺田本家自身によって「腐敗場」から「発酵場」への転換とも表現されており、無農薬・無添加の「五人娘」が生まれる出発点となりました。
啓佐氏は「発酵は変わり続けること」という言葉を残し、2012年に他界。現当主である24代目・寺田優が、先代の想いを引き継ぎながら自然酒造りを続けています。
酒造り
寺田本家の酒造りの根幹は、蔵に棲みついた菌の働きに任せる生もと造りです。仕込みの初期工程である「酛摺り」では、水分量をぎりぎりまで絞って米を固形状態に保つことで、硝酸還元菌、乳酸菌、酵母菌が順番に入れ替わりながら発酵を進めていくといいます。蒸米には昔ながらの杉の木甑を用いるなど、機械に頼らない手作業の工程を多く残しています。
原料米は全量、農薬・化学肥料を使わずに栽培された米を使用し、麹菌も蔵付きのものを自家採取して用いており、純粋培養酵母や醸造アルコールなどの添加物は一切使いません。近年は在来品種の米を復活させる取り組みにも力を入れています。
木桶仕込みの酒には、地元千葉県産の山武杉から新たに作った木桶を使用しており、桶に棲みつく多様な微生物が、森・蔵・田んぼ、そして人の想いが一体となったような奥深い味わいを生み出すとされています。銘柄によっては、室町時代の寺院で行われていた菩提酛仕込みのように、空気中の乳酸菌を取り込んで雑菌の繁殖を抑え、蔵付き酵母の発酵を促す製法も採用しており、季節や仕込みごとに異なる一期一会の味わいを生み出しています。
蔵データ
代表銘柄
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- 酒宴楽園 パラダイ酒
- 木桶仕込
五人娘:五人娘は、生もと造りによる無添加の純米酒です。麹菌は蔵付きのものを自家採取し、酵母も添加せず蔵に棲みつく菌の働きに発酵を委ねています。純米酒には主に美山錦を使用し、精米歩合はおよそ70%。生もと造り特有の豊富な乳酸やアミノ酸により、香り豊かで複雑味のある濃醇な味わいに仕上がります。
香取:香取は、江戸時代から続く生もと造りの伝統的な製法で醸される純米酒です。精米歩合80%・90%といった低精白の生原酒などがラインナップされており、低精白ならではの米の旨みと生もと由来の酸味を存分に感じられる味わいが特徴です。冷やしても燗にしても楽しめ、燗にすることでより一層味わいの厚みが増すとされています。
醍醐のしずく:醍醐のしずくは、鎌倉・室町時代に寺院で造られていた僧坊酒を再現した菩提酛仕込みの酒です。奈良・菩提山正暦寺の僧が用いた製法で、室町時代初期に書かれた日本初の民間酒造技術書「御酒之日記」にも記録されています。空気中の乳酸菌を取り込んで雑菌の繁殖を抑え、蔵付き酵母の発酵を促して醸すのが特徴で、まるで米で造ったワインのようなフルーティかつ濃醇な味わいがあります。季節や仕込みごとに個性が異なる、一期一会の一本です。
酒宴楽園 パラダイ酒:酒宴楽園パラダイ酒は、茨城県鹿嶋市で無肥料・無農薬・無堆肥による自然栽培に取り組む農業集団「鹿嶋パラダイス」と寺田本家の協働で醸される純米生原酒です。同集団が自家栽培・天日干しした希少なコシヒカリを100%使用し、麹には天然の稲麹を用いています。人工的な乳酸を使わず、蔵に棲みつく酵母菌や乳酸菌を自然培養して発酵を促す、菩提酛・生もと造りの手法で仕込まれています。
木桶仕込:木桶仕込は、地元千葉県産の山武杉から新たに作った木桶で醸す純米酒です。精米歩合はおよそ90%で、使用米には中生神力(酒母には美山錦)を用い、農薬や化学肥料を使わずに栽培された米で仕込まれています。酵母も無添加で、木桶に棲みつく多様な微生物の働きにより、森・蔵・田、そして人の想いが渾然一体となったような奥深い味わいが生まれるとされています。
見学・購入
あり(要事前確認)
寺田本家に隣接する「お蔵の杜」内に、発酵食を提供するカフェ「うふふ」があります。神崎神社の麓に位置し、主に木曜・金曜を中心に不定期営業(11:00~15:00、ラストオーダー14:30)。発酵ごはんプレートや麹カレー、酒粕を使ったスイーツ、酵素ジュースなどの発酵ドリンクを提供しています。日本酒は公式サイトのオンラインショップでも購入できます。
蔵見学は開催日程を決めて事前予約制で実施されており、蔵人が甑・麹室・酒母室・もろみタンクを案内します。例年1〜2月には冬の蔵見学会も開催されます。このほか、毎年春に敷地内で開催される「お蔵フェスタ」でも、予約不要・無料の蔵見学ツアー(約20分)が実施されます。毎年3月の第2または第3日曜日に開催されます。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
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出典
teradahonke.co.jp / imadeya.co.jp / sakedata.jp / yohkoyama.com / compalyze.co.jp / discoverjapan-web.com / tabemin.com / alter-shop.net / haccola.jp
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