菊乃香酒造
代表銘柄:二人舞台・菊乃香・常陸菊
茨城県
IBARAKI
1882年創業
菊乃香酒造は、茨城県日立市(十王町)の酒蔵で、同社によると1882年(明治15年)に創業しました。2006年にブライダルギフトを手がける宏和商工が旧蔵と製造免許を取得して酒造りを続け、2020年頃に菊乃香酒造として独立しています。阿武隈山系の豊かな自然と良質な水を生かした酒造りを行っており、現在は「菊乃香」と「常陸菊」を主力としています。宏和商工時代の主力銘柄「二人舞台」は、ブライダルの引き出物などとして親しまれてきました。
酒造りの面では、2006年以降に南部杜氏を迎えて技術を磨き、2013年からは長岡慎治氏が杜氏を務めています。賞歴としては「二人舞台」が全国新酒鑑評会で平成25・26・29酒造年度に金賞を受賞したほか、蔵の発表ではIWSC(インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション)でゴールドメダルとトロフィーを受賞し、IWCでもシルバーメダルを獲得するなど、国内外で評価されています。2024年には東京・銀座に直営店舗を開業するなど、新しい展開も進めています。
菊乃香酒造の歩み
菊乃香酒造は、茨城県日立市十王町友部に蔵を構える酒蔵です。同社によると、1882年(明治15年)10月に樫村菊太郎が、現在の日立市十王町にあたる友部村で創業しました。翌1883年には、友部村がかつて常陸国に属していたことと自身の名から一字を取った銘柄「常陸菊」を立ち上げ、1915年の御大礼に際して皇室のお買い上げ品となったことを機に、皇室の象徴である菊にちなんで「菊乃香」の銘柄が生まれたといいます。
現在につながる蔵の転機は2006年です。東京でブライダルギフトを手がける宏和商工が、引き出物に使う日本酒をより高品質にしたいと考え、この蔵と酒類製造免許を取得して「日立酒造工場」として酒造りを始めました。取得後は作り手探しから始め、南部杜氏を迎えて酒造りを進めました。その杜氏が引退した2013年(平成25酒造年度)からは、診療放射線技師から転身して東京農業大学短期大学部で醸造を学んだ長岡慎治氏が社内杜氏を務めています。長岡氏は水・米・造りのすべてを見直し、地元茨城県産の素材を使う酒造りに取り組みました。
宏和商工時代の主力銘柄は「二人舞台」でした。2016年には新銘柄「Any.」を、クラウドファンディングの先行予約販売で1,000本限定として世に出しています。その後、2019年12月に菊乃香酒造株式会社が設立され、2020年に菊乃香酒造として独立しました。長岡氏は代表取締役と杜氏を兼ねています。
近年は主力を「菊乃香」と「常陸菊」に置き、梅酒「3匹の猫」も手がけています。2024年1月には東京・銀座に直営店「菊乃香銀座ストア」を開業しました。中国・吉林省にも菊乃香酒業(中国)有限会社の工場を持っています。
酒造りの特徴
蔵が位置する十王町は阿武隈山系のふもとで、仕込みには花崗岩から湧く岩清水を用いてきました。2016年の取材時点では、水も米のコシヒカリも茨城県産のものだけで酒を造ることを蔵のこだわりとしており、レンガ造りの比較的小規模な蔵で、米研ぎから瓶詰めまでを蔵内で行っていました。
現在の蔵の説明では、精米は米の形に合わせて一粒ずつ磨く形状制御精米を用い、麹造りは機械ではなく人の手で行います。酒母に約2週間をかけ、もろみは低温で4週間から1か月ほど発酵させます。酵母は自社の専属として「菊乃香65号酵母」と「菊乃香米紅酒酵母7号」を育てており、常陸菊は独自の酵母で醸すと同社は説明しています。
2015年ごろの「二人舞台」は、大吟醸が山田錦を40パーセントまで精米して日本酒度プラス3からプラス5の辛口、純米大吟醸が山田錦50パーセント、純米吟醸が山田錦55パーセント、純米酒が美山錦60パーセント、本醸造が国産米65パーセントという構成でした。2016年発表の「Any.」は、茨城県産の小川酵母を使い、自然の乳酸菌で乳酸を育てる造りに挑んだ新銘柄です。
鑑評会では、全国新酒鑑評会で平成25・26・29酒造年度に「二人舞台」が金賞を受けています。平成28酒造年度製造酒を対象とした関東信越国税局酒類鑑評会(第88回・2017年11月発表)では、「二人舞台」が純米吟醸酒の部で優秀賞を受けました。海外では、2015年の全米日本酒歓評会で「二人舞台」純米大吟醸が銀賞、同年のIWCでは純米吟醸がシルバーメダルを受けています。蔵の発表では、2014年11月のIWSCで純米大吟醸がゴールドメダルとトロフィーを受賞しています。
代表銘柄
二人舞台
ブライダル事業の宏和商工が、引き出物や席札ギフトとして販売してきた、日立酒造工場時代からの銘柄です。全国新酒鑑評会では平成25・26・29酒造年度に金賞、関東信越国税局酒類鑑評会では平成28酒造年度製造酒の純米吟醸酒の部で優秀賞を受けています。2015年ごろの商品構成は、山田錦40パーセント精米の大吟醸を頂点に、純米大吟醸、純米吟醸、美山錦の純米酒、本醸造までそろっていました。
菊乃香
1915年の御大礼に際して皇室のお買い上げ品となったことに由来すると同社が伝える、蔵の代表銘柄です。純米大吟醸は精米歩合6パーセントから50パーセントまで細かく揃え、55パーセントの純米吟醸、60パーセントの純米も造っています。いずれも720ミリリットル入りでアルコール度数は16度です。透明感のあるフルーティな香りと、丸い口当たりが特徴です。
常陸菊
1883年に、常陸国と創業者の樫村菊太郎の名から一字を取って生まれた、蔵で最も古い銘柄とされています。独自酵母による黄金色の純米大吟醸が中心で、精米歩合3パーセントから50パーセントまで幅広く、アルコール度数は15度です。35パーセント精米の「陳蔵」には5年と10年の熟成酒があり、低温で長期貯蔵したまろやかな味わいを楽しめます。
見学・購入
- 直売所
- 菊乃香銀座ストア(東京都中央区銀座8丁目4-27 菊乃香銀座ビル2階。11時から18時、土曜のみ20時まで、火曜定休。全商品の試飲ができます)
- 補足
- 日立市十王町の蔵は、JR常磐線十王駅から徒歩数分の場所にあり、営業時間は平日9時から17時(土日祝は休み)です。かつては予約制の蔵見学と直売所を案内していましたが、現在の見学の可否は蔵への電話確認(0294-39-4311)が確実です。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 茨城県日立市十王町友部104
- 創業
- 1882年
- 公式サイト
- kshuzo.co.jp
出典
ibarakiguide.jp / japansake.or.jp / kshuzo.co.jp / pon.sh / sake-times.com / sakagura-press.com / goshu-pro.jp / value-press.com / ginza.kshuzo.co.jp / nrib.go.jp / web.archive.org / jp.sake-times.com / sakeno.com / kankou-hitachi.jp / city.hitachi.lg.jp / presspage.biz / ibanavi.net
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