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伊東

代表銘柄:敷嶋

愛知県

AICHI

1788年創業

愛知県半田市亀崎町にて天明8年(1788年)に創業した酒蔵です。かつては中部地方最大級の規模を誇るなど歴史を重ねましたが、日本酒需要の低迷に伴い2000年に一度廃業しました。その後、9代目当主の伊東優氏が祖父の死をきっかけに復興を決意し、他蔵での修行や委託醸造を経て、M&Aによる清酒製造免許の再取得と買い戻しを行い、2021年に創業の地で約21年ぶりとなる酒造りを再開させました。酒造りにおいては食事の味を支え高め合う「食中酒」を目指しており、ミネラルを豊富に含む井戸水を仕込み水に使用しています。

お米の旨味と厚み、上質な酸味、そしてミネラル感のあるキレの良い味わいが特徴です。また、旧酒蔵の土地建物を活用した複合施設「伊東合資」を開業するなど、日本酒造りのみならず地域の活性化にも取り組んでいます。

伊東の歩み

伊東合資会社は、天明8年(1788年)に伊東孫左衛門が現在の半田市亀崎町にあたる地で興した酒蔵で、主力銘柄が「敷嶋」でした。亀崎は海運に恵まれ、知多半島の酒は江戸へ早く届けられる酒として人気を集めた土地です。伊東合資会社は酒のほか味噌・醤油の醸造、薬屋、銀行の立ち上げなども手がけ、地域の産業に深く根ざした複合企業でもありました。大正12年(1923年)には名古屋税務監督局管内の番付で横綱に位置づけられ、生産量は6,179石に達して、東海地区を代表する酒蔵として知られていました。

しかし、清酒の需要が減るなかで生産規模は少しずつ縮み、2000年に酒造りをやめて清酒製造免許を返上しました。このとき8代目の伊東良夫さんが2000醸造年度の造りを最後に休業を決めています。長男の優さんは当時まだ中学3年生で、家業を継ぐ意識はありませんでした。大学卒業後は会社員として東京で働き、2013年春に名古屋勤務となって実家の今後が気になりはじめます。家業の経済状況を調べるうち、代々の住まいと酒蔵の建物を後世に残すには、200年以上続けてきた酒造りこそがその軸になるのではないかと考えるようになりました。

酒造りの経験がなかった優さんは、2016年と2017年の冬に山形県の鯉川酒造で約1週間ずつ造りを体験し、2018年6月に会社を退職して、その冬から愛知県の長珍酒造で蔵人として働きました。清酒の製造免許は新規に取得することが難しく、免許を持つ会社の株式を手に入れるほかないと知って難航するなか、まず委託醸造から再開します。2019年の造りから三重県名張市の福持酒造場で、自ら蔵人として働きながら仕込みました。

2020年2月に総米500キロ、タンク1本分を仕込み、3月に上槽した酒を「敷嶋 0歩目」と名付けて発売し、翌年も同じ蔵で「敷嶋 半歩目」を造りました。

免許の探索では、将来の酒販店開業を考えていた徳原宏樹さんの協力で、関東の酒蔵の株式を譲り受ける話がまとまりました。優さんは2021年1月に、売却されていた旧製造場、本蔵、新工場の建物を買い戻し、同年3月に清酒製造免許を再取得しました。製造免許の移転は2021年12月1日に認可され、12月中旬から亀崎で醸造が始まって、約21年ぶりに創業の地での酒造りが再開しました。2022年6月までに15本のタンクを仕込み、「敷嶋 1歩目」を世に送り出しています。

このころの製造責任者は、長珍酒造で6年間造りを経験した中原悠太さんでした。

旧本蔵は江戸から昭和にかけて建築や増築を重ねた木造建築物が約1,800坪の敷地に連なっており、蔵の発表では、2021年に買い戻した半分以上の場所は、その時点で倒壊のおそれもある状態でした。敷地には国の登録有形文化財を含む歴史的な建物群があります。2023年12月に旧蔵内のレストラン、2024年1月に蔵を中心とした複合施設「伊東合資」が完成し、Sake Cafe、蔵の店「かめくち」、レストランなどが入りました。毎年春には亀崎酒蔵祭が本蔵で開かれ、2024年、2025年、2026年の春にも開催されました。

2026年の時点で、伊東株式会社は株式会社亀崎Kamosの100%子会社です。

酒造りの特徴

敷嶋が目指すのは、食事の味をしっかり受け止めながら後味を切らしていく「食中酒」です。蔵元は「1+1=3にするお酒」と呼び、そのために米をしっかり溶かして食事の味を受け止める厚みを出し、上質な酸と、良質な仕込み水に由来するミネラル感で締める酒造りを掲げています。仕込み水は創業のころから敷地内の井戸でくみ上げているミネラル豊富な水です。

2021年の再開にあたっては、洗米機、酒母タンク、サーマルタンク、搾り機、火入れラインと瓶詰めライン、貯蔵庫などの設備のほとんどを新品でそろえ、醸造規模の最終目標は、2022年時点で700石程度としていました。

使う酵母もさまざまです。再開直後の2022年2月には協会9号の泡あり酵母が旺盛に発酵していました。特別純米 山田錦の無濾過生原酒には、現在は頒布されていない協会8号酵母を使っています。知多山田錦の特別純米には7号酵母を合わせています。さらに旧本蔵から出てきた製造経過簿には、かつて蔵が自社独自の酵母を使っていたことを示す記載がありました。そこで名城大学農学部応用微生物学研究室とともに、2024年12月に本蔵で酵母の採取を行い、2025年2月に培地から7株の酵母らしい菌を選び出しました。

調べると清酒酵母で、協会酵母とは別のものだと分かっています。

採取した酵母は、2025年11月にあいち産業科学技術総合センターの食品工業技術センターで試験醸造され、バナナのような香りとメロンのような旨みが特徴の酒になりました。この結果を踏まえ、KT酒米プロジェクトの最終年にあたる2026年の「敷嶋とKTとあいちのおこめ」を、旧蔵から採取したSK-3酵母を使って仕込み、4月11日の亀崎酒蔵祭で本蔵試験醸造酒として発売しました。原料米には夢山水、夢吟香、山田錦、五百万石、玉栄、出羽燦々などを使い分けています。

半田市の米農家「農家のKT」ことNAORICEさんの米を使う酒米プロジェクトにも、ほかの蔵とともに取り組んでいます。

製品は特別純米の無濾過生原酒を中心に、季節の限定酒、ひやおろし、うすにごりなどが並びます。2000年に廃業した伊東合資会社の時代のラベルを復刻したシリーズとして、「金紋敷嶋」が2024年7月、「鳳凰敷嶋」が同年10月に発売されました。2024年には能登半島地震の支援として「能登の酒を止めるな!」プロジェクトに参加し、石川県能登町の松波酒造と共同醸造酒を造っています。

受賞は蔵の発表では、2022年6月のOriental Sake Awards金賞、2025年4月のTOKYO酒CHALLENGE 2025生酒部門プラチナ賞、2026年5月のTOKYO酒CHALLENGE 2026特別純米部門金賞です。

代表銘柄

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敷嶋

敷嶋は伊東合資会社の時代から続く主力銘柄で、2000年の廃業後、2020年に委託醸造の「0歩目」で復活しました。旧蔵のあった亀崎で造りを再開した2021年12月以降は、食中酒を掲げて特別純米の無濾過生原酒などを醸しています。夢見草は愛知県の酒米夢山水を使い、名は桜を意味して、敷嶋の酒に昔から桜の絵が描かれてきたことにちなみます。

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見学・購入

蔵見学
あり(要事前確認)
直売所
複合施設「伊東合資」内の蔵の店「かめくち」で敷嶋を購入でき、角打ちもあります。
補足
普段は非公開の醸造場を蔵人が案内する酒蔵見学ツアーが不定期に開かれ、2026年は5月24日と8月23日に開催されました。参加費は3,000円で試飲を含み、20歳未満は参加できません。申し込みは蔵の店かめくちの店頭または伊東合資オンラインストアで受け付けています。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
愛知県半田市亀崎町9-108-1
創業
1788年
公式サイト
shikishima-ito.com

出典

japansake.or.jp / shikishima-ito.com / gifu.fun / prtimes.jp / youtube.com / lm-tmw.com / ito-goshi.com / jp.sake-times.com / digitalpr.jp / aichinow.pref.aichi.jp / city.handa.lg.jp

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