松山酒造
代表銘柄:十石
京都府
KYOTO
1923年創業
松山酒造は1923年に三重県名張市で創業し、1958年に月桂冠グループ入りしたのち京都・伏見へ移転しました。長年普通酒を中心に大スケールで酒造りを行っていましたが、2021年に生産を一時休止。その後方針を一新し、2023年春に特定名称酒に特化した小規模な地酒蔵として再スタートを切りました。
新ブランドの「十石(じっこく)」は、かつて伏見の水運を担った「十石舟」にちなんで命名されたものです。京都府産の米(「祝」など)や伏見の水、京都酵母、京都の麹菌にいたるまで、原材料を京都産に徹底的にこだわって丁寧に醸されています。杜氏には月桂冠で実績を重ねた高垣幸男氏を迎え、食事を引き立てる酒造りを行っています。蔵が立つ場所は江戸時代の薩摩藩伏見屋敷跡であり、坂本龍馬や天璋院篤姫にゆかりのある歴史的な地でもあります。
松山酒造の歩み
松山酒造は1923年(大正12年)1月に創業しました。創業の地は、現在の三重県名張市にあたります。1958年(昭和33年)に月桂冠のグループ会社となり、翌1959年に京都・伏見へ移って、下板橋で蔵を借りて酒造りを行いました。1967年(昭和42年)からは、現在の伏見区東堺町の蔵で造っています。
最盛期の年間醸造量は約5,000石(900キロリットル)に及びました。1990年ごろまでは但馬や越前などから杜氏が冬場に来て酒造りを担い、その後は月桂冠の社員とシニアスタッフが中心となって、月桂冠へ納める普通酒を造っていました。しかし設備の老朽化やコロナ禍による需要の落ち込みもあり、2021年7月に始まる令和3酒造年度から生産を休止しました。
休止中には酒造りを完全にやめる案も浮上しましたが、明治期に建てられた蔵で再び酒を造る道が選ばれました。再建案を任されたのは、月桂冠で大手二号蔵の製造責任者を務めていた高垣幸男氏です。2022年10月に新しい酒造りの方針が発表され、同年11月には新ブランド「十石(じっこく)」が決まりました。2023年1月に仕込みを始め、3月に純米吟醸酒を発売しています。酒質は純米酒と純米吟醸酒などの特定名称酒に絞り、京都産の素材にこだわる地酒蔵として再出発しました。
蔵のある場所には、江戸期に薩摩島津家の伏見屋敷があったとされています。天璋院篤姫が京に滞在した際の宿泊地で、寺田屋で襲われた坂本龍馬が川舟で逃れて傷を癒し、龍馬とお龍が薩摩へ旅立った地でもあります。屋敷は1868年(慶応4年)の鳥羽伏見の戦いで焼失し、1912年(明治45年)に月桂冠がその跡地に酒蔵を構えました。今も門前には濠川が流れています。
再出発後は蔵開きにも力を入れています。2023年3月の伏見の日本酒まつりで十石をお披露目し、2025年10月には初めて秋の蔵開きを開きました。十石のラベルデザインシリーズは、2025年度のグッドデザイン賞を受賞しました(受賞者はデザインを手がけた株式会社アストラカンです)。2026年3月時点でも、高垣氏が杜氏として酒造りを率いています。
酒造りの特徴
京都にこだわることが十石の酒造りの軸で、米は京都府産の酒造好適米「祝」、水は敷地内の井戸から汲み上げる伏見の地下水、麹菌は京都の種麹屋が造る種もやし、酵母は京都市産業技術研究所が開発した京都酵母を使います。伏見の水は中硬水で、きめ細かくまろやかな酒を醸すのに向いています。2023年の最初の仕込みで使った酵母は、5種類ある京都酵母の一つ「京の琴」でした。
かつて年間約5,000石を造っていた蔵を、小さな仕込みに合わせて改装しました。巨大なタンクなど不要な設備は撤去し、ステンレス製の麹室を新設しています。仕込みタンクは2,100リットルのものを4本並べ、総米は600キロです。洗米は10キロ単位で行い、麹は10キロ盛りの箱麹で造ります。搾り機は冷蔵設備の中に据え、瓶詰め後はすみやかに瓶燗火入れをして冷蔵保管します。麹室や原料処理場はガラス窓越しに見学できる設計です。
高垣氏は、活性炭を使わず醪の香りも旨みもそのまま残すこと、香りを控えめにして最初から最後まで違和感なく飲みきれる食中酒を目指すことを語っています。2023年当初は、洗米から麹造り、醪管理、搾りまでを基本的に高垣氏が1人で担っていました。
醸造量は、初年度が約50石(一升瓶で約5,000本)で、翌年は100石を目標にしていました。2022年の再出発の発表では、3年後に年間350石、5年後に600石の出荷を目標に掲げていました。
代表銘柄
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十石
十石は2023年3月に発売された松山酒造のブランドです。京都府産の酒米「祝」を使い、伏見の水、京都の種麹、京都酵母で仕込む食中酒で、精米歩合60%の純米吟醸、同じ祝の無濾過生原酒、精米歩合48%の純米大吟醸が並びます。酵母を替えた限定酒や冬のうすにごりも出ています。名は伏見を行き交った十石舟にちなみ、ラベルは石の字の払いで水の流れを表しています。
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- 直売所
- 酒蔵の見学は常時は行っておらず、蔵開きの際に事前予約制の蔵ツアーを実施しています。2023年時点では、蔵での直接購入は月曜から金曜の9時から15時でした。最寄りは京阪本線・近鉄京都線の丹波橋駅で、徒歩で11分から12分ほどです。
- 補足
- 2025年10月の秋の蔵開きでは、杜氏がタンクの前まで案内する蔵ツアーがあり、料金は1名1,000円でした。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 京都府京都市伏見区東堺町472番地
- 創業
- 1923年
出典
sakenomy.jp / matsuyamasake-kyoto.com / wstakeda.net / sakestreet.com / mlit.go.jp / sake-kagiya.com / kyoto-nishimurasaketen.com / japansake.or.jp / fushimi.or.jp / sakeworld.jp / totteoki.kyoto.travel / g-mark.org / diamond.jp
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