SAKE BREWERY — IWATE
平六醸造
紹介
岩手県紫波町の国指定重要文化財「日詰平井邸」に遺された蔵を復活させ、平井佑樹氏が2023年に設立したクラフトサケ醸造所です。平井家の酒造りのルーツは1772年(安永年間)に遡り、約100年の時を経てゆかりの地で酒造りが再開されました。
清酒の製造技術をベースに、紫波町特産の農産物などを副原料として加えて醸造する「クラフトサケ(その他醸造酒)」を手掛けています。紫波産のもち米や発芽玄米麹を用いた生酛系の独自製法と、目覚めた蔵付き酵母「アカツキ」を使用し、乳酸無添加・小仕込みによるジューシーな酸味と奥深い味わいを特徴としています。
代表銘柄には、副原料に紫波町産もち米の発芽玄米のみを使用したベースライン「Re:vive」や、リンゴ果汁などの多様な素材を重ね合わせた「layer」があります。
歴史
平六醸造の背景には、岩手県紫波郡紫波町日詰の平井家に伝わる酒造りの歴史があります。平井家は1600年代に伊勢から移り住んで宿を開いたのが始まりとされ、のちに八戸藩の御蔵宿として米の取引を担いました。1772年(安永年間)には6代目・平井六右衛門が、米の取引を通じて縁のあった地域の農家を集め、冬の仕事として酒造業を本格化させました。1921年(大正10年)には12代目が主屋「日詰平井邸」を建て、当時の内閣総理大臣・原敬を招いたことでも知られます。その後、平井家の酒蔵は昭和初期に盛岡へ移転し、日詰平井邸最奥に残された造り蔵は以後約100年にわたり使われないまま時を止めていました。日詰平井邸は2016年に国指定重要文化財に指定されています。
16代目にあたる平井佑樹氏は、大学卒業後に実家の菊の司酒造株式会社へ入社しました。2017年には杜氏制を廃止して自ら酒造りに取り組みましたが、2021年3月に経営難から株式会社公楽へ事業を譲渡し、2022年1月に同社を退職しました。退職後は紫波町に移り、日詰平井邸の利活用に取り組むとともに、雫石町の砂壁純也氏に師事して酒米栽培にも挑戦しています。
2023年、平井佑樹氏は株式会社平六醸造を設立しました。2023年春からは岩手県工業技術センターと共同で日詰平井邸の造り蔵に残る蔵付き酵母を探すプロジェクトを開始し、当初は壁や梁を綿棒で拭って数百本規模のサンプルを採取したものの全滅という結果に終わりました。その後、すり潰した甘酒をシャーレに入れて放置するという生酛に近い手法に切り替えたところ、清酒酵母(Saccharomyces cerevisiae)を1株発見することに成功し、この酵母は「アカツキ」と名付けられました。
2024年1月17日、盛岡税務署長より「その他の醸造酒」製造免許の交付を受け、翌1月18日からクラフトサケの製造を開始しました。日詰平井邸最奥に遺された造り蔵は、こうして100年の時を越えてクラフトサケ醸造所として復活しています。商品は2024年2月下旬に初出荷を迎え、その後「Re:vive 空我」や「layer ブドウ」など順次ラインナップが広がりました。
酒造り
平六醸造が手掛けるのは、清酒の製造技術をベースとしながら発酵の過程で副原料を加えて並行発酵させる「クラフトサケ」です。清酒製造免許は新規に交付されておらず、既存の権利を譲受しない限り清酒を造ることはできないため、同蔵は「その他の醸造酒」の免許によって、清酒では法的に採用できない自由な副原料の使用を可能にしています。
代表的な副原料は、紫波町特産のもち米を発芽させたもち米発芽玄米です。玄米そのものは清酒の原料区分に該当し使用できませんが、発芽させることで法的に別の原料として扱えるようになります。これを酒母に加えて酵母に代謝させることで、麹や酵母の働きを助ける一方、風味への直接的な影響を抑える製法が取られています。
このほか、100年の眠りから目覚めた蔵付き酵母「アカツキ」とその亜種を実際の醸造に使用していることや、乳酸を添加しない生酛系の製法、150キロ単位の小仕込みによる丁寧な醸造も特徴です。紫波産のブドウやラ・フランスなど地元産の果実を副原料として重ねる製品も手掛けており、清酒の技術と地域の農産物を組み合わせた新しいジャンルの酒造りを追求しています。
蔵データ
代表銘柄
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Re:vive:平六醸造のベースとなるシリーズで、紫波産のもち米発芽玄米を酒母に加える独自製法を採用しています。磨きの異なる「空我」「無涯」、白麹を使う「刹那」、もち米を使う「久遠」など複数の商品を展開し、上位版「Origin アカツキ」では蔵付き酵母アカツキを使用しています。
layer:Re:viveのベースレシピに紫波産のブドウやラ・フランスなど地元の果実を重ねて醸すシリーズです。キャンベルに山ぶどうやヤマソービニョンを混醸した「ブドウ」、和製シードルを思わせる「リンゴ」、契約農家から譲り受けたキウイを使う「キウイ」など、季節ごとに異なる果実で多層的な香味を表現しています。
見学・購入
あり(要事前確認)
所在地の岩手県紫波郡紫波町日詰字郡山駅246番地(日詰平井邸内)で11時から17時まで直売しており、日曜・月曜は定休日です。オンラインストア「hiraroku.theshop.jp」でも購入できます。
蔵見学は公式サイトのオンライン予約システムで受け付けており、料金は1名5,500円(税込)です。約60分間のプログラムで、醸造家本人による案内のもと、150キロ単位の小仕込みやもち発芽玄米を使った生酛系製法、蔵付き酵母アカツキについての解説、発酵タンクの見学、代表銘柄のテイスティングを行い、720ml×1本のお土産酒が付きます。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
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出典
note.com / hiraroku.com / sakedata.jp / wakamatsuyasaketen.com / jfc.go.jp / shop-pro.jp / prtimes.jp / jizakenomarushin.com / sakestreet.com / diamond.jp
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