片岡酒造
代表銘柄:東峰一献・福稲・寶珠山
福岡県
FUKUOKA
1898年創業
福岡県朝倉郡東峰村に位置する片岡酒造は、明治31(1898)年に創業した酒蔵です。代表銘柄には「福稲」や「東峰一献」などがあります。仕込み水には、平成の名水百選に選定されている地元の「岩屋湧水」の軟水を使用し、英彦山山系の恵まれた水と米で丹念な手造りの酒造りを行っています。
かつては約50年間にわたり自社での日本酒醸造を取りやめ外部に委託していましたが、2017年の九州北部豪雨で蔵が流木や土砂の流入による被災を受けたのち、地域の復興と支援への恩返しを目指し、2021年から地元有志と共に酒米(夢一献など)の栽培を始めました。これにより、2023年に地元の水と米を用いた約50年ぶりの自家醸造酒「東峰一献」を誕生させました。もろみの自重だけで搾る「雫搾り」などの製法を用いており、地元の伝統工芸「小石原焼」の酒器と合わせた取り組みなども行われています。
片岡酒造の歩み
片岡酒造は、福岡県の東端に位置する朝倉郡東峰村宝珠山にある酒蔵です。創業は明治31(1898)年で、現在は4代目にあたる片岡拓之さんが店主を務めています。東峰村は小石原焼の窯元が点在する山あいの村で、蔵は宝珠山川と大肥川の合流点近くに店舗兼住宅と酒蔵を構えています。仕込みには、平成の名水百選に選ばれた岩屋湧水の軟水を用います。
かつては自前で酒を醸造していましたが、炭鉱の閉山による人口減少などで採算が合わなくなり、約50年前から自社での醸造を取りやめました。以後は外部に製造を委託する形で酒の販売を続け、主銘柄の「福稲」のほか、「寶珠山」「小石原」といった銘柄を地元で親しまれる酒として送り出してきました。
2017年7月5日、九州北部豪雨で川の水があふれ、大量の泥水と流木が蔵と店舗兼住宅に流れ込みました。土砂は約70センチの高さに堆積し、数千本にのぼる酒やタンクが流失しました。復旧には村の人々やボランティアが大勢駆けつけ、土砂や泥にまみれた家財道具の運び出しに力を貸しました。蔵は営業を再開し、片岡さん夫妻は、支援への恩返しとして村の米と水で酒を造り直したいと考えるようになりました。
その思いに応えたのが、子どもの同級生の保護者たちでした。2021年春、保護者仲間が「東峰一献」というグループを立ち上げ、高齢化で耕作できなくなった村内の田んぼを借りて酒米づくりを始めました。2023年時点の東峰村の高齢化率は46.1パーセントで福岡県内で最も高く、耕作放棄地が増える中での取り組みでした。復興のシンボル酒とも呼ばれる「東峰一献」は、夫婦ふたりでの自社醸造の再開という形で実を結びました。
プロジェクトの発足時には、小石原陶器組合青年部の若手陶芸家13人が酒器づくりの打ち合わせのために蔵を訪れ、酒器の形や釉薬によって味わいがどう変わるかを試しました。
2023年4月30日、約50年ぶりに村の米と水で醸した酒「東峰一献」のお披露目会を兼ねた蔵開きが開かれました。蔵開きは毎年4月に開かれており、2026年は4月26日に開催されました。2027年は4月25日の開催が予定されています。小石原焼のお猪口を使って新酒を飲み比べるのが恒例です。
酒造りの特徴
仕込み水は、平成の名水百選に選ばれた岩屋湧水です。米を蒸す前の浸漬にも、仕込みにもこの水を使っています。「東峰一献」の原料米は、東峰村内の田んぼで育てた酒米で、主に「夢一献」です。現在のシリーズでは山田錦も使っており、棚田米で育てた純米吟醸原酒として仕込みます。2024年は5月に田植えをして9月に稲刈りを行いました。グループのメンバーが田植えや稲刈りに加わります。酒米づくりから手がける日本酒は全国的にも珍しいと蔵は説明しています。
醸造の流れは、蒸米、製麹、三段仕込み、発酵、しずく搾り、火入れと瓶詰めです。メンバーも仕込みに加わり、1月の仕込みにも参加しています。搾りは、もろみの自重だけで搾るしずく搾りです。手間はかかるものの、機械で搾る酒と違って雑味がなくすっきりした味わいに仕上がると蔵は説明しています。2023年のお披露目までに、辛口が700本、甘口と濁り酒がそれぞれ500本できあがりました。
2024年の時点では、11月から4月まで毎月仕込みを重ねる予定としていました。同じ年には、酒米の稲わらを灰にして小石原焼の釉薬に生まれ変わらせる試みを始めました。現在は、その灰を小石原焼と高取焼の釉薬に活かしています。2025年12月1日に新酒の限定販売を始め、12月9日には初搾りを行いました。2026年10月には、山田錦と吟のさとの稲刈りを行い、これらの米での仕込みに初めて挑戦するとしています。2026年10月10日には新酒の仕込みを開始しています。
代表銘柄
東峰一献
東峰村の保護者グループが育てた酒米と、岩屋湧水で仕込む蔵の新ブランドです。豪雨災害の復興の思いから生まれ、2023年に約50年ぶりの村産の酒として世に出ました。2023年のお披露目の際は純米酒として紹介され、辛口と甘口、濁り酒の3種類がありました。現在は夢一献を使った純米吟醸原酒で、甘口は精米歩合60%・アルコール分15度、辛口は同じく60%・17度の季節限定です。
福稲
蔵の主銘柄で、岩屋湧水の軟水を使った酒です。ふくいねと読み、純米酒、上撰、大吟醸などが揃います。福稲の純米酒は夢つくしを精米歩合60%まで磨き、アルコール分は15度で、蔵は繊細で奥深い香りと優しい甘みの酒とし、冷酒またはぬる燗を勧めています。上撰は日本酒度プラスマイナス0の辛口で、蔵は熱燗に向くとしています。原酒や冷おろしなど季節の商品もあります。
寶珠山
蔵の所在地である宝珠山の名を冠した吟醸酒で、現在は福稲シリーズの「吟醸寶珠山」として売られています。夢つくしを精米歩合60%まで磨き、アルコール分は15度です。蔵の説明では、辛くてきりりとした飲み口で、濃醇なコクと高い芳香が特徴で、食事とともに楽しむのにも最適な酒です。蔵は、720ミリリットル瓶を道の駅で人気No.1の吟醸酒として案内しています。
見学・購入
- 蔵見学
- なし
- 直売所
- 蔵での直接販売があります。営業時間は9時から17時で、定休日は日曜日です。来店の際は、事前に電話での問い合わせが案内されています。全銘柄の試飲ができます。極小店舗のため、10名以上の団体には対応できない場合があり、事前の連絡が必要です。駐車場は、県の観光サイトでは4〜5台分とされています。
- 補足
- 蔵の見学は行っていません。ひこぼしライン大行司駅から徒歩で数分です。毎年4月に蔵開きが開かれます。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 福岡県朝倉郡東峰村大字宝珠山22
- 創業
- 1898年
出典
japansake.or.jp / fukuoka-sake.org / kataokasyuzou.com / rkb.jp / toho-info.com / tohoikkon.com / kataoka-syuzou.com / kataoka-syuzou.net / nishinippon.co.jp / toho.main.jp / crossroadfukuoka.jp
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