権田酒造
代表銘柄:直実
埼玉県
SAITAMA
1850年創業
権田酒造は、埼玉県熊谷市に位置する同市唯一の酒蔵です。江戸時代末期の1850年(嘉永年間)に創業しました。代表銘柄である「直実(なおざね)」の名は、熊谷市ゆかりの武将・熊谷直実公に由来しています。
かつては越後杜氏が酒造りを担っていましたが、平成10年(1998年)からは地元の社員を中心とした体制での酒造りへと移行しました。酒造りでは昔ながらの丁寧な手仕事を大切にしており、すべてのもろみを「槽掛け(ふながけ)」で時間をかけて搾るのが大きな特徴です。
原料には地元熊谷産の埼玉県独自の酒造好適米「さけ武蔵」や、埼玉県の研究機関で開発された県独自の酵母などを積極的に採用し、地域の風土を活かした地酒造りを行っています。流行に流されない素直で温かみのある味わいと、地元に根ざした親しみやすい酒蔵づくりを続けています。
権田酒造の歩み
権田酒造は、埼玉県熊谷市にある熊谷唯一の酒蔵です。江戸時代末期の嘉永年間にあたる1850年に当地で創業し、約170年にわたって酒造業を続けてきました。かつて熊谷にはいくつか酒蔵がありましたが、ほかは廃業し、いまは権田酒造だけが残っています。荒川と利根川という二つの大河のあいだに位置し、清らかな伏流水に恵まれた土地です。
かつては「清太喜」の銘柄で酒を造っていました。5代目の代に熊谷市民からの一般公募で、市ゆかりの武将・熊谷次郎直実にちなむ新ブランド「直実」が発足し、現在の代表銘柄になっています。直実は平安末期から鎌倉初期に活躍した武将で、一ノ谷の合戦での平敦盛との場面が歌舞伎や軍記物語に語り継がれる人物です。のちに出家して法然の弟子となり、蓮生と名乗りました。
酒造りの担い手は時代とともに変わりました。かつては冬になると新潟から越後杜氏と蔵人が住み込みで訪れて酒を仕込んでいましたが、平成10年(1998年)からは地元の社員が酒造りを担っています。現在は家族と地元で採用した社員で蔵を運営しています。
当主は6代目の権田清志さんで、妻の幸子さんも蔵を支えてきました。長男の直仁さんは東京農業大学を卒業して2017年に蔵へ戻った7代目で、2021年から杜氏を務めています。弟の拓弥さんは外の会社で営業を学んだのち2019年に蔵へ入り、兄弟で蔵を支えています。直仁さんは杜氏になってから、もろみの緻密な温度管理や発酵中に加える追い水のタイミングなど、工程を数値で記録して細かく調整するようになりました。地域とのつながりも大切にしています。
熊谷にある立正大学の学生と酒をブレンドして学園祭で販売し、学生がラベルをデザインした「立咲」は現在も売られています。姉妹都市であるニュージーランドのインバーカーギル市の人々を招いた見学会も開きました。酒蔵は日本の文化の発信地でありたいという思いから、蔵コンサート、落語会、利き酒会なども開いてきました。縁があって、海外への輸出も行っています。
全国新酒鑑評会では、令和4酒造年度に入賞し、令和5酒造年度と令和6酒造年度は続けて金賞を受賞しています。埼玉県春季清酒鑑評会では令和5酒造年度に入賞し、2024年の第95回関東信越国税局酒類鑑評会では、直実が吟醸酒の部の優秀賞に選ばれました。全国燗酒コンテストでは、2023年にお値打ち熱燗部門で直実 辛口が金賞に選ばれました。2024年はプレミアム熱燗部門で直実 純米吟醸が、2025年はプレミアムぬる燗部門で直実 純米大吟醸とプレミアム熱燗部門で直実 純米吟醸が、それぞれ金賞を受賞しています。
2026年は極上お値打ちぬる燗部門で直実 吟醸が最高金賞に選ばれ、お値打ち熱燗部門では直実 本醸造が、極上お値打ち熱燗部門では直実 純米吟醸が金賞を受賞しました。ワイングラスでおいしい日本酒アワード2025では、プレミアム大吟醸部門で直実 大吟醸が金賞を受賞しています。
酒造りの特徴
権田酒造の酒造りは、昔ながらの手づくりを大切にしています。精米では、雑味のもとになる米の外側を削り、精米歩合は酒の種類に応じておよそ50〜65%としています。洗米は、普通酒は機械で、吟醸酒系は米が割れにくい手洗いで行います。麹室は常に約33度に保たれ、麹造りの終盤には兄弟が息を合わせて麹米を運び出します。麹の番は昼夜を問わず1〜2時間おきに様子を見て温度を管理します。
原料はできるだけ地元の素材を使います。米は、熊谷を中心に栽培される埼玉県独自の酒造好適米「さけ武蔵」(12年をかけて開発された品種)を主に、山田錦や加工米も使います。酵母は、熊谷にある県の研究機関で開発された埼玉県独自の酵母を多くの酒に使い、特別純米には協会901号を用います。さけ武蔵は溶けやすい性質で、米の味わいがしっかり出る酒づくりに向いた米です。
仕込みでは、粘り気が少なくポロポロとした硬めの蒸米を扱い、初添え、仲添え、留添えの三段仕込みで進めます。もろみは、純米酒の場合でおよそ30日かけて発酵させます。低温でじっくり発酵させ、暖気樽など昔ながらの道具も使い続けています。麹造りや米の運搬では食品衛生用の手袋や白衣を使い、蔵の清掃を徹底して雑菌を持ち込まない工夫を重ねています。
最大の特徴は、すべての酒を槽掛けで搾ることです。熟成したもろみを一袋に二升ほどずつ酒袋に採り、槽と呼ばれる圧搾機の中へ平らに積み重ね、2〜3日かけてゆっくり搾ります。袋の目からにじみ出た酒が槽口から滴り落ちる、昔ながらの搾り方で、搾り終えた袋には酒粕が残ります。搾った酒は、性質に応じて冷蔵庫や冷房室に貯蔵し、ほどよい熟成期間を経て出荷します。
代表銘柄
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直実
直実は熊谷次郎直実にちなみ、市民公募で名付けられた代表銘柄です。熊谷産のさけ武蔵や埼玉県独自の酵母を多くの商品に使い、すべてを槽掛けで搾ります。特別純米はさけ武蔵(熊谷産)を60%精米で全量使い協会901号で、純米大吟醸はさけ武蔵を50%精米で全量使い埼玉F酵母で醸します。冬季限定の新酒「弓矢丸」は7代目考案の兄弟ブランドです。
楽天で商品を見る見学・購入
- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 直売所
- 蔵の直売所で直実の全ラインアップを購入できます。営業時間は月曜から土曜の9時から18時30分、日曜と祝日は定休です。冬季限定の酒粕も扱っています。イベントへの出店などで臨時休業することがあります。年末は31日まで営業の予定で、新年は7日からです。
- 補足
- 蔵見学は事前予約制で有料、1,000円から相談できます。見学は季節を問いませんが、実際に酒を仕込むのは冬だけで、仕込みの最中は見学が難しいことがあります。温度帯ごとの飲み比べやきき酒ゲームなどのメニューがあります。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 埼玉県熊谷市三ヶ尻1491
- 創業
- 1850年
- 公式サイト
- www.gondasyuzou.com
出典
saitamaresona.co.jp / saisake.com / san-tatsu.jp / gondasyuzou.com / saketime.jp / sake-journal.com / note.com / chocotabi-saitama.jp / kansake.jp / nrib.go.jp / sake-japanese.shop
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