よしかわ杜氏の郷
代表銘柄:有りがたし
新潟県
NIIGATA
1999年創業
300年にわたり全国各地で酒造りを支えた「越後杜氏(吉川杜氏)」の伝統が残る、新潟県上越市吉川区の酒蔵です。地域の情報発信や農産物の付加価値向上を目指し、1999年3月に設立されました。「道の駅」に併設された酒蔵で、製造工程をガラス越しに見学できるのが特徴です。仕込み水には尾神岳のブナ原生林の伏流水を用い、地元吉川産の山田錦や五百万石などの酒米を使用して丁寧な酒造りを行っています。2023年3月に上越市が全株式を地元の源建設へ売却し、現在は民間企業が運営しています。
代表銘柄「有りがたし」は、地元産の山田錦を精米歩合90%とあえて削らずに醸した純米酒で、その味わいに感銘を受けた糸井重里氏が命名しました。主な受賞歴として、「天恵楽 特別純米」がロンドン酒チャレンジ2019でプラチナ賞、「よしかわ杜氏 大辛口」が全国燗酒コンテスト2020で金賞を獲得したほか、「よしかわ杜氏 大吟醸」が全国新酒鑑評会で入賞を果たしています。
よしかわ杜氏の郷の歩み
上越市吉川区は、旧吉川町にあたる米どころです。この地では元禄4年(1691年)から酒造りが行われてきました。最盛期には町内の27の集落に酒蔵があったと伝えられます。夏は地元で米を作り、冬は蔵に入って酒を仕込む杜氏が多く育ち、頸城杜氏の流れをくむ吉川杜氏として県内外の蔵を支えてきました。1957年には新潟県立吉川高等学校に醸造科が設けられ、2003年に閉科するまで、酒造りの担い手を育てました。
よしかわ杜氏の郷は、この吉川杜氏の技と文化を次の世代へ引き継ぐことを目的に、1999年3月24日に設立されました。上越市が株式の約8割を持つ第三セクターとして設立されました。酒米づくりと地酒の醸造を通じて、地域の発展と農家の所得向上を図ることも設立の狙いでした。旧吉川町が2005年に上越市へ編入されたあとも、道の駅「よしかわ杜氏の郷」に併設された酒蔵として歩み、2000年代には「日本一新しい蔵元」を名乗りました。杜氏の小池善一郎さんは2004年から2代目杜氏として酒造りを担いました。
蔵は2006年からアメリカの日本酒コンテスト「ジョイ・オブ・サケ」に参加し、2007年に「よしかわ杜氏 大吟醸」が大吟醸酒部門で銀賞を受けました。2008年には「よしかわ杜氏 大吟醸」が大吟醸酒部門Aで、「天恵楽 特別純米」が純米酒部門で、それぞれ金賞を獲得しています。「天恵楽 特別純米」は2009年に純米酒部門で入賞し、2010年には「よしかわ杜氏 大吟醸」と「天恵楽 特別純米」がそろって銀賞、2011年には同じ2銘柄がそろって金賞に選ばれました。
2009年の第1回燗酒コンテストでは「天恵楽 特別純米」が金賞を受賞しました。国内の関東信越国税局酒類鑑評会では、「天恵楽 特別純米」が燗審査の部で2007年の第78回と2008年の第79回に続けて優秀賞を受け、2011年の第82回では吟醸酒部門で優秀賞に選ばれました。
燗酒コンテストでは、「よしかわ杜氏 大辛口」が2013年、2015年、2016年にお値打ちぬる燗部門で金賞を受け、2017年には「天恵楽 特別純米」がプレミアム燗酒部門で金賞に選ばれました。2019年には「天恵楽 特別純米」がロンドン酒チャレンジで最高賞のプラチナ賞を受賞し、「よしかわ杜氏 大吟醸」も銀賞に選ばれました。2020年には、令和元酒造年度の全国新酒鑑評会で「よしかわ杜氏 大吟醸」が入賞し、創立以来初めての入賞となりました。
同じ2020年の全国燗酒コンテストでも、お値打ちぬる燗部門で「よしかわ杜氏 大辛口」が、プレミアム燗酒部門で「天恵楽 純米」が、それぞれ金賞に選ばれています。
2023年3月、上越市が保有する全株式を地元吉川区の源建設へ売却し、よしかわ杜氏の郷は民間企業として再出発しました。杜氏や蔵人の雇用は引き継がれ、代表取締役社長は野澤朗さんです。全国新酒鑑評会では令和4、5、6酒造年度と3年連続で「よしかわ杜氏 大吟醸」が入賞し、令和元酒造年度を含めて平成14酒造年度以降の入賞は4回です。令和6酒造年度の酒は、2025年に杜氏となった谷内幹典さんが初めて醸したものでした。
2023年には純米梅酒が全国梅酒品評会の日本酒梅酒部門で銅賞を受け、2025年には「純米大吟醸長期氷零下熟成 天恵楽 CLASSIC」がジャパン・フード・セレクションの食品・飲料部門でグランプリを受賞しました。2026年は越後・謙信SAKEまつりの限定酒「車懸」の醸造を担当しています。
酒造りの特徴
仕込みの水は、吉川区の尾神岳のブナ林から湧き出る伏流水です。蔵専用の取水池から引く水は軟水で、やわらかな口あたりの酒のもとになります。米は吉川区産の五百万石が中心で、新潟県内でも作付けの少ない山田錦も地元で契約栽培されています。山田錦は永田農法で育てられ、窒素系の肥料を与えないため、雑味のもとになるタンパク質が少ないのが特徴です。掛米の一部には新潟県産のこしいぶきも使いますが、五百万石と山田錦、そして仕込みの水は地元吉川のものにこだわっています。
酒造りは冬の間だけ行います。夏は農に、冬は酒にという吉川杜氏の暮らしを受け継ぐ形です。最上位の「よしかわ杜氏 大吟醸」は、吉川区産の山田錦を40パーセントまで磨いて造ります。大吟醸や純米大吟醸では、布袋にもろみを入れて吊るし、自然に滴る酒を集める吊るし搾りを行います。圧力をかけないので雑味が入りにくく、繊細な味に仕上がります。「天恵楽 純米大吟醸」は山田錦を50パーセントまで磨いて醸します。
日常酒の「よしかわ杜氏 大辛口」は、五百万石の麹米とこしいぶきの掛米をどちらも60パーセントまで磨いた普通酒で、アルコール添加は最小限に抑え、日本酒度は+8です。「特別本醸造」は吉川区産五百万石だけを使い、同じく60パーセント精米です。
雪の多い土地柄を生かし、上越市安塚区の雪室「ユキノハコ」で熟成させる雪中貯蔵酒も手がけます。天恵楽 純米大吟醸(山田錦)を雪室で3か月寝かせた「雪ざかり 純米大吟醸」のほか、吉川区産五百万石で醸した純米酒の「雪ざかり」、ゴールデンウィーク限定の純米吟醸「雪ざかり 碧」があります。生酒のようなフレッシュな香りと、熟成によるやわらかな旨みが持ち味です。長期熟成酒としては、純米大吟醸を長く氷零下で熟成させた「天恵楽 CLASSIC」があります。
季節の酒も多彩です。新米で仕込むしぼりたて生原酒は、火入れをせず冷蔵で出荷する新酒です。秋のひやおろし原酒は、赤ラベルが山田錦仕込の純米吟醸、黄ラベルが純米酒というように、ラベルの色で見分けます。民営化後初の商品として2023年春に出した「うすにごり」は、吉川区産五百万石だけで仕込む純米吟醸で、クリア瓶に首掛けラベルで仕立て、400本が数日で完売しました。有りがたしの原酒に上越市名立区産の梅を漬けた純米梅酒もあり、酒粕や麹を使ったジェラートも売店で味わえます。
代表銘柄
有りがたし
吉川区産の山田錦100パーセントを精米歩合90パーセントまでしか磨かずに醸す純米酒です。永田農法で育てた米はタンパク質が少なく、ほとんど削らなくても雑味が出にくいため、洗米から麹づくりまで通常とは違う工夫で仕上げます。バナナやバニラを思わせる香りと米の旨み、しっかりした酸味があり、常温からぬる燗がおすすめです。名前は、試作中の酒を飲んで驚いた糸井重里さんが付けました。2023年の蔵まつりでは2011年醸造の古酒も初めて販売されました。
見学・購入
- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 直売所
- 道の駅よしかわ杜氏の郷にある直営の売店です。試飲ができ、酒粕を使ったジェラートも販売しています。
- 補足
- 醸造設備は売店の窓越しに無料で見学でき、希望すれば蔵と酒造りの説明も受けられます。造りの時期(10月から3月)は、日や時間によって作業内容が異なり、作業のない日もあるため、見学を希望する場合は前日に問い合わせると確実です。定休日は月曜日(祝日の場合は翌日)です。ゴールデンウィークと秋には蔵まつりが開かれます。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 新潟県上越市吉川区杜氏の郷1番地
- 創業
- 1999年
出典
kenshinsake.com / owndshop.com / niigata-sake.or.jp / ponshukan.com / eki-yoshikawa.jp / ameblo.jp / japansake.or.jp / yoshikawa-touji.co.jp / sake-niigata.com / joetsu.ne.jp / joetsutj.com / kansake.jp / japan-foodselection.com / nrib.go.jp / nta.go.jp / web.archive.org
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