越の華酒造
代表銘柄:越の華・カワセミの旅
新潟県
NIIGATA
1870年創業
新潟県新潟市中央区沼垂地区に所在した酒蔵。1870年(明治3年)に創業し、阿賀野川上流の名水「桂清水」を仕込み水に、山田錦や五百万石などの原料米を用いて酒造りを行った。代表銘柄「越の華」の大吟醸酒などで全国新酒鑑評会の金賞を受賞した実績を持つ。早くから炭素濾過を行わない無濾過の酒造りに取り組んだほか、チョコレートに合う食後酒として純米原酒「カワセミの旅」を開発。フランスの著名なショコラティエから高い評価を受け、そのショコラティエの店舗でも販売された。
2007年にオエノンホールディングスのグループ傘下となり、2018年12月に解散した(なお、「カワセミの旅」は新潟県長岡市の高橋酒造(現・葵酒造)へ継承された)。
越の華酒造の歩み
越の華酒造は、新潟市中央区沼垂西にあった酒蔵で、創業は1870年(明治3年)です。沼垂は信濃川の河口近くにあり、かつては味噌、醤油、酒といった発酵食品の蔵で栄えた土地です。蔵は、運河を挟んで朱鷺メッセの反対側にある湊稲荷神社の裏手にありました。1951年(昭和26年)に株式会社として設立され、「滴滴在心・酒に心あり」を社是に掲げて酒造りを続けました。
多くの蔵が戦時中の企業整備で閉鎖や統合を迫られるなか、この蔵は閉鎖も統合もされず、そのまま続いてきたことが特徴でした。年間の生産高は約800石で、大きな蔵ではありませんでしたが、代表取締役社長の小野寺聡さんのもと、設備や酵母に手間をかける酒造りを続けていました。新潟に多い淡麗辛口とは異なり、炭素濾過をかけない無濾過の酒造りに早くから取り組み、味に幅のある辛口の酒を出していました。
全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度以降に限っても、平成23酒造年度まで10年続けて入賞し、平成25酒造年度と合わせて11回入賞しています。このうち金賞は、平成15酒造年度、平成18酒造年度、平成19酒造年度、平成22酒造年度、平成25酒造年度の5回です。関東信越国税局酒類鑑評会では、第81回(平成22年)、第83回(平成24年)、第84回(平成25年)、第85回(平成26年)に吟醸酒の部で優秀賞を受賞しました。
ワイングラスでおいしい日本酒アワード2012では、大吟醸「越の華 超特撰」が大吟醸酒部門で、純米吟醸生「越の華 無量寿」がワイングラスでおいしい日本酒アワード部門で、それぞれ金賞に選ばれています。
2007年3月(平成19年)、親会社の北の誉酒造とともにオエノンホールディングスの連結子会社になり、2018年(平成30年)12月に解散しました。法人の登記は2019年5月8日に閉じられています。看板商品の一つだった「カワセミの旅」は、2020年1月に長岡市の高橋酒造(現・葵酒造)が販売権を引き継ぎました。
酒造りの特徴
原料米には山田錦、五百万石、亀の尾などを使い、仕込み水には阿賀野川上流の名水「桂清水」を使っていました。2013年時点の設備では、洗った米を浸けるステンレス製の限定吸水用の箱が目を引きました。大吟醸には丸籠も使います。蒸米にはステンレス製の和釜を使い、蒸しの終わりに乾燥蒸気がたくさん出るため、外が硬く中が軟らかい蒸米に仕上がります。麹室はオールステンレス製で、専用のからし場も備えていました。麹は突き破精で、総破精にすると雑味が出てのど越しが悪くなるため行わない方針でした。
仕込みは総米1,800kgが通常の規模で、その2割にあたる約360kgが酒母になります。酒母は速醸で10日から2週間、山廃で約1か月かけます。酵母には、蔵独自のものを使っていました。県の醸造試験場から毎年買い入れる蔵が多いなか、同じ酵母では同じような酒になってしまうとして、自前で培養を行う道を選んだのです。使っていたのは9号系の変異株で、新しい酵母の探索に3年、使いこなすのに6年、安定させるのに3年の計12年をかけました。最適な菌は液体窒素の中で保管し、定期的に植え替えていました。
酒母には泡あり酵母を使い、泡の状態から酵母の活動を見極めていました。
仕込み蔵には3,000リットルのサーマルタンクが6本、7,000リットルのタンクが11本ありました。搾りは薮田式が1台と、佐瀬式の槽(ふね)がありました。タンクに櫂入れをする作業用に、安全ベルトをかけるロープを壁際に設けるなど、細かな気配りも見られる蔵でした。
2012年当時の定番は次のとおりです。大吟醸「超特撰」は兵庫県産の山田錦を40%まで磨き、9号系酵母で仕込んだ鑑評会出品酒です。純米吟醸「酒に心あり」は山田錦55%で、酵母は1801系を使いました。純米吟醸「越乃幻の酒」は、掛米に亀の尾、麹米に山田錦を使った55%精米です。純米大吟醸「微笑楽」は、45%まで磨いた亀の尾だけで造り、冷でもお燗でも楽しめるよう、特殊な酵母を使いました。純米吟醸生「無量寿」は、青森県産の華吹雪を55%まで磨いています。
2013年の蔵見学では、山田錦50%精米の純米大吟醸「桂清水」や、五百万石55%精米の中汲み吟醸「越の華」なども試飲に供されました。
代表銘柄
越の華
蔵の名を冠した看板銘柄で、全国新酒鑑評会の金賞は平成15・18・19・22・25酒造年度に受賞しています。大吟醸「超特撰」は兵庫県産山田錦40%精米で、ワイングラスでおいしい日本酒アワード2012の大吟醸酒部門で金賞に選ばれました。無濾過の純米吟醸「酒に心あり」は山田錦55%で、社是を名に冠しています。純米大吟醸「桂清水」は、仕込み水と同じ名を持つ山田錦50%精米の酒です。
カワセミの旅
日本酒には食前酒や食中酒はあっても食後酒がない、という発想から生まれた純米原酒です。高橋酒造が引き継いだ2020年時点の仕様では、日本酒度はマイナス27の超甘口、精米歩合は70%、アルコール度数は14〜15度です。フランスの著名なショコラティエのジャン=ポール・エヴァン氏が理想の日本酒と評し、その全店舗で販売され、ロブションでも提供されました。
見学・購入
- 蔵見学
- なし
- 補足
- 2018年12月に解散しており、蔵の見学や蔵での販売は行われていません。「カワセミの旅」は、2020年に高橋酒造(長岡市、現・葵酒造)が販売権を引き継ぎました。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 新潟県新潟市中央区沼垂西3-8-6
- 創業
- 1870年
出典
sakenomy.jp / wikipedia.org / kotobank.jp / jizakewine.com / japansake.or.jp / sakezanmai.net / ponshukan.com / prtimes.jp / ja.wikipedia.org / shop.ponshukan.com / syukoukai.cocolog-nifty.com / nta.go.jp / finesakeawards.jp / sakeno.com / nrib.go.jp
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