栃倉酒造
代表銘柄:米百俵
新潟県
NIIGATA
1904年創業
栃倉酒造は、1904年(明治37年)に新潟県長岡市大積の地で創業した酒蔵です。代表銘柄の「米百俵」は、長岡藩の先人の遺訓である「米百俵」の精神にちなんで命名されました。
酒造りでは「品質第一」を方針に掲げ、地元産の酒米と蔵の裏山から引き込んだ清水(横井戸の軟水)を仕込み水に使用する地酒造りを行っています。新潟酒らしいすっきりとした淡麗さがありながらも、米本来のしっかりとした旨味が広がる食中酒を中心に醸造しています。
かつては「にいがたの名工」に選ばれた郷六郎次杜氏が酒造りを主導し、現在は代表取締役兼杜氏の栃倉恒哲氏が、その精神と技術を受け継いで酒造りを担っています。
栃倉酒造の歩み
栃倉酒造は、1904年(明治37年)に現在の長岡市大積にあたる地で創業した酒蔵です。創業は明治37年10月、株式会社としての設立は昭和29年7月です。大積は長岡市の西部にあり、山あいの窪地に田畑が広がる静かな土地で、蔵は周囲を田畑に囲まれた場所にあります。2004年の中越地震などの自然災害にも負けず、酒造りを続けてきました。
代表銘柄の「米百俵」は、戊辰戦争に敗れて焦土となった越後長岡藩に、支藩の三根山藩から見舞いとして米百俵が贈られた故事に由来します。藩の大参事だった小林虎三郎は、この米を分けずに人材を育てる学校の資金に充てました。この学校が国漢学校で、のちの長岡洋学校を経て、現在の県立長岡高校へ受け継がれています。目先の満足ではなく先々の成長を考えて行動するというこの精神を、酒造りに生かしたいという思いから銘柄に掲げました。
「米百俵」の名で売り出したのは昭和40年代のことで、2001年に小泉純一郎首相の所信表明演説で「米百俵の精神」が取り上げられるよりもずっと前です。
蔵には、創業者が残した「土と心を耕せ」という理念が家訓として受け継がれています。地元の農業を守り、酒造りを通して人間性を高め、地域社会に貢献することを目指しています。その地の米と、その地の水と、その地の人の手で、長岡の自然と共にある酒造りを目指しています。四代目当主が自ら杜氏となり、この理念を守っています。
長く酒造りの中心にいたのは、小千谷市出身の杜氏、郷六郎次さんです。越後流酒造技術選手権で最高賞を2度受賞し、2009年には「にいがたの名工」に選ばれました。郷杜氏が高齢のため第一線を退いたあと、杜氏を務めているのは、代表取締役でもある栃倉恒哲さんです。恒哲さんは四兄弟の末っ子で、父である先代の背中を見て育ち、東京農業大学で学びました。大学時代は香りを研究しましたが、現在の酒造りでは香りを控え、料理の邪魔をしない旨味のある酒を目指しています。
全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度に金賞を受賞し、令和3酒造年度にも「米百俵」で金賞を受けました。そのほか、平成17、19、20、21、28酒造年度に入賞しています。平成14酒造年度以降に限ると入賞は7回で、うち金賞は平成14酒造年度と令和3酒造年度の2回です。2016年には、石高が減ったことをきっかけに、より地域に根差した酒を目指して、地元の大積産の酒米だけを使う方針を決めました。
酒造りの特徴
仕込み水は、蔵の裏山から横井戸でひいた雪解け水です。仕込み水にはすべてこの水を使います。口当たりはやわらかく、最後にほのかな甘みを感じる軟水です。冬に積もった雪の分だけ水量が増えるため、酒造りの環境として恵まれています。水量は春が進むにつれて少なくなり、夏には蔵の裏に蛍が来ることもあります。
米は全量が酒造好適米で、2016年の造りからは普通酒に至るまですべて酒米で仕込んでいます。酒米は飯米より高価ですが、雑味のもとになる要素が少なく、すっきりした酒に仕上がります。主に使う品種は五百万石と越淡麗で、2020年の取材時点では米は全量が地元産になっていました。米は自家精米で磨いています。
工程で最も重きを置いているのは、酒造りの基本である麹・酒母・もろみの仕込みです。なかでも麹造りを大切にし、先代杜氏の教えである「酒は麹造りで決まる」を守っています。麹室は三部屋に分かれ、その時の気温や麹の様子を見て、どの部屋に入れるかを判断します。仕込みの期間中は二時間おきに麹室に入って温度を調整します。タンクは小型のものが並び、丁寧な小仕込みで造っています。純米酒の製造にも、新潟の他の蔵に先駆けて取り組み、40年ほど前から手がけています。
2020年の取材時点では、杜氏を含む5人の蔵人が全員地元の出身で、精米から瓶詰め、ラベル貼りまでをこの人数でこなしていました。夏は酒米の田んぼの手入れを手伝い、冬は蔵にこもって仕込みます。県内でも生産量の少ない蔵で、販売先は長いつき合いのある小売店が中心です。普通酒の「伝統の酒」は、吟醸酒と名乗れる水準まで米を磨いていますが、日常の晩酌にしてほしいという思いから、あえて普通酒として出しています。
代表銘柄
米百俵
代表銘柄の米百俵は、新潟らしい淡麗さに米の旨味を添えた、毎日の晩酌向きの酒です。普通酒の「伝統の酒」は五百万石を使い、麹米は57%、掛米は60%まで磨き、酵母には吟醸酒にもよく使われる7号を用います。純米酒はたかね錦を57%に精米し、ふくらみのある味わいで燗にも向きます。先代杜氏の名を冠した「蔵の宝 六郎次」のシリーズがあり、純米吟醸生酒は精米歩合50%です。
見学・購入
- 蔵見学
- なし
- 直売所
- 蔵元直送のオンラインショップ「栃倉屋酒店」があります。販売は長年の取引がある小売店への直接販売が中心で、取扱店は新潟県内のほか、東北・関東・東海・北陸・近畿・九州にあります。
- 補足
- 酒蔵見学は受け付けていません。蔵への問い合わせは電話0258-46-2205です。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 新潟県長岡市大積町1丁目乙274-3
- 創業
- 1904年
出典
nagaokacci.or.jp / japansake.or.jp / tochikura-syuzo.com / sake-harasho.com / wikipedia.org / maff.go.jp / sakenomy.jp / na-nagaoka.jp / tochikuraya.base.shop / niigata-sake.or.jp / sake-niigata.com / niigata-sake.net / tech-nagaoka.jp / shop.ponshukan.com / sake-komaki.com / nrib.go.jp
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