SAKE BREWERY — NIIGATA
越後伝衛門
紹介
新潟県新潟市北区に所在する酒蔵です。1996年に越乃蔵酒造場としてスタートし、2000年に「株式会社越後伝衛門」へ社名変更しました。「伝衛門」をはじめ「雪乃」「雪ほたる」「雪乃蔵」などの銘柄を展開してきたほか、近年では「GOZ」「タマキハル」などの新たなラインナップも醸しています。2021年に事業承継が行われ、現在は蔵元杜氏の加藤晃葵氏が手作業による少量生産を行っています。すべての銘柄で精米歩合を50%に統一し、総米300kgの超小仕込み、901号酵母の使用、手動圧での酒槽搾り、低温瓶貯蔵など丁寧に手仕事を行う酒造りが特徴です。一般的な淡麗辛口の枠にとらわれず、膨らみと清涼感を兼ね備えた味わいを目指しています。
歴史
越後伝衛門は、新潟市北区の内島見に蔵を構える酒蔵です。その始まりは1953年に「日本錦酒造」として創業されたことにさかのぼり、その後「越酒造」への改称を経て、1996年には「越乃蔵酒造場」として新たな出発を切りました。2000年1月1日には社名を「越後伝衛門」に改め、この頃、経営権は大分県の麦焼酎メーカーである老松酒造に移っています。この老松酒造の傘下にあった時期には、平成28酒造年度・平成30酒造年度・令和元酒造年度の全国新酒鑑評会で、看板銘柄「伝衛門」が3度にわたり入賞を果たしています。
その後、老松酒造のもとでの経営は徐々に厳しさを増し、令和元酒造年度の酒造りを急きょ休止する事態に至りました。当時の蔵では「伝衛門」のほか「雪ほたる」などの銘柄も展開していました。老松酒造が事業の譲渡先を探すなか、東京都練馬区で酒販店「窪田屋商店」の六代目を務める加藤晃葵氏に声がかかります。窪田屋商店はそれ以前から老松酒造の焼酎に加えて越後伝衛門の清酒も取り扱っていた縁があり、売れ残っていた在庫を老松酒造が引き取るなど条件が整っていたことに加え、酒を酌み交わしながら酒造りについて語り合っていた酒造技術指導者の箕浦淳一氏から「事業を引き継ぐのなら、酒造りを手伝う」という約束を得ていたことから、加藤氏は2021年7月に事業を引き継ぐ決断をしました。箕浦氏は、酒造りの指導の神様と呼ばれた上原浩氏を師と仰いだ人物です。
加藤氏は1988年生まれで、大学卒業後は自動車販売会社などに勤めたのち、家業である酒販店を継ぐにあたって日本酒そのものを深く学びたいと考え、熊本・埼玉・新潟の酒蔵で修業を積み、酒類総合研究所の研修も受けていました。ところが事業の引き継ぎと前後して、力を貸すと約束していた箕浦氏が病に倒れ急逝してしまいます。この出来事を受けて加藤氏は、自分一人でできる規模での酒造りを続ける決意を固めました。
事業譲渡が7月に行われたため体制を整える余裕がないまま、2021酒造年度はあくまでも試験的な位置づけで仕込み2本だけを実施しました。2022年春からは蔵の改修と設備の導入を進め、同年度は3月から6月にかけて8本の仕込みを終えています。こうした準備期間を経て、加藤氏は2023年から本格的な酒造りを開始しました。
酒造り
越後伝衛門では、一回の仕込みに使う総米を300キログラムに抑えた極小仕込みを、加藤氏がただ一人で担っています。2023年に本格的な酒造りを再開するにあたっては、精米歩合を50パーセントに統一し、使用する酵母も901号に統一するという「造りに於ける宣言」を掲げました。その後は高嶺錦を75パーセントまでしか磨かない山廃仕込みの商品も手がけるなど、原料米や造り方の幅を広げながら、それぞれの酒質の違いを追求する姿勢へと展開しています。蔵内には冷蔵設備を備え、年間を通じて室温5度の環境を保つことで、寒造りに適した条件を一年中つくり出しています。
洗米では一回に扱う米の量を通常の半分にあたる10キログラムにとどめて水量を多く確保し、吸水時間も秒単位で細かく調整します。蒸米は時間で区切るのではなく、立ちのぼる香りの変化をそのつど見極めながら仕上げ、蒸し時間は60分から80分以上に及ぶこともあります。酒造りの指導の神様と呼ばれた上原浩氏の「一に蒸米、二に蒸米、三に蒸米、四五がなくて、その次に麹」という言葉を胸に、蒸しあがった米は放冷機を使わず、最長で約6時間にわたり手を入れてさらしながら均一に冷ます「路地放冷」という手法で仕上げています。麹造りでは切り返しをすべて手作業で行い、品温の下がりを最小限に抑えることで、より質の良い麹に仕上げています。酒母造りでは、温度の上げ下げの幅を生もと系酒母並みに大きくとることで、味わいに立体感と奥行き、幅を持たせることをねらっています。
搾りには手動式の酒槽を用い、もろみ自体の重みでゆっくりと搾り出す方法を採用しています。雑味の少ない、出品酒に通じる品格のある味わいに仕上げるための選択です。瓶詰め後には瓶燗火入れを行い、氷点下5度、氷点下2度、0度という三つの温度帯の冷蔵冷凍庫でお酒を貯蔵することで、劣化を抑えながら熟成の進み方をきめ細かく管理しています。
味わいの面では、新潟の酒に定着している淡麗というイメージにとらわれず、膨らみと涼しさを兼ね備えた、飲み飽きしない酒を目指す姿勢を打ち出しています。食中酒として料理と合わせて楽しむことを重視し、後味に残る渋みも味わいを支える大切な要素として位置づけています。
蔵データ
代表銘柄
- 雪乃
- 雪ほたる
- 雪乃蔵
- 伝衛門
伝衛門:「伝衛門」は、社名と同じ名前を持つ銘柄で、2021年の事業承継より前の越後伝衛門を代表する存在でした。かつて表参道にあった新潟県のアンテナショップの試飲販売会で、トップクラスの販売数量を記録するほどの人気を集めたと蔵は紹介していました。2023年の再出発後は、精米歩合を50パーセントに統一した「タマキハル」や「GOZ」を出発点のラインナップとし、その後も酒米ごとに個性を変えた新たな銘柄を加えながら展開を続けています。
見学・購入
蔵での直接販売は行っておらず、新潟県内をはじめ東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・福岡県などの特約店を通じて商品を購入できます。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
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出典
e-den.info / niigata-sake.or.jp / japansake.or.jp / sakagura-press.com / sipory.jp / hatenablog.com / sakestreet.com / osakayasaketen.com / hellosake.com / niigata-hasegawaya.com / nrib.go.jp / isego.shop / yajima-jizake.co.jp / ponshukan.com / saketime.jp / niigata-sake.net
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