SAKE BREWERY — NIIGATA

お福酒造

新潟県長岡市横枕町606 1897年創業

紹介

1897年(明治30年)に創業者・岸五郎が「岸五郎商店」として創業した酒蔵です。岸五郎は酒母製造への乳酸添加を応用し、現代の日本酒造りの基礎となっている「速醸酛(そくじょうもと)」の技術を確立させた人物として知られています。代表銘柄の「お福正宗」は、「飲むほどに福を招く酒」という願いを込めて命名されました。

一般的な新潟清酒のイメージである淡麗辛口とは異なり、米の旨みを引き出した芳醇旨口な味わいを一貫して追求しており、最小限の濾過や白米四段掛けなどを取り入れた酒造りが特徴です。地元・山古志地区などで契約栽培された五百万石などの酒米を使用し、伝統の寒造りを守り続けています。

受賞歴としては、1958年(昭和33年)に創業者・岸五郎が醸造界初となる黄綬褒章を受章したほか、全国燗酒コンテストや関東信越国税局酒類鑑評会等でも数々の賞を受賞しています。敷地内にある宝暦年間に建てられた茅葺き屋根の母屋は、2006年に国の登録有形文化財に指定されています。

歴史

お福酒造は1897年(明治30年)9月、創業者・岸五郎により「岸五郎商店」として誕生しました。酒蔵は長岡の中心部から南東へ約5キロ、豊富な山林と清冽な自然清水を湛える長岡東山山系の麓に建てられています。

酒造業へ転じる契機となったのは、醸造技師・醸造研究者であった関五郎松が岸家に婿養子として入り、岸五郎を名乗ったことでした。岸五郎は東京工業学校(後の東京工業大学)の応用学科で発酵学と醸造学を学び、卒業後は埼玉県で醸造技師を務めながら研究を続けました。その集大成として明治27年、酒造りについての専門書「醸海拾玉(じょうかいしゅうぎょく)」を発刊しています。同書は当時杜氏の勘に頼っていた酒造りを化学的見地から説いた教本で、醸造用水の加工研究により軟水での酒造りをいち早く可能にしたほか、酒母への乳酸添加応用によって野生酵母を排除し適正酵母の純粋培養に成功、当時恐れられていた腐造を防ぐことを可能にして醸造業界に大きな旋風を巻き起こしました。この技術は後に江田鎌次郎氏により「速醸酛(そくじょうもと)」として体系づけられ、現在も全国の酒蔵で主流の酒母造りとして使われています。

こうした功績により、創業者・岸五郎は醸造協会主催第1回全国清酒品評会の主任審査員及び主任評議委員を務め、昭和16年には醸友会全国醸造技術功労者第1号を、昭和33年には醸造界初となる黄綬褒章を受章しました。岸五郎商店は昭和24年9月にお福酒造株式会社へと改組され、現在は岸伸彦代表取締役社長のもとで運営されています。

蔵の敷地内には、宝暦2年(1752)に岸間右衛門が建てた茅葺き屋根の母屋が今も残ります。岸家は当時、藩主牧野家から周辺の庄屋を取りまとめる割元庄屋(本庄屋格)を任されていた家柄で、高さ4メートル近い天井や大きな仏壇、池泉回遊式の庭を備えたこの屋敷は豪農・庄屋としての格式を今に伝えており、平成18年(2006年)11月に国の登録有形文化財に登録されました。

酒造り

お福酒造は「米をたっぷり使いあえて旨みのある味わいを追求」する酒造りを方針とし、濾過を最小限にとどめて蔵癖のある個性豊かな酒を目指しています。一般的な新潟清酒の淡麗辛口のイメージとは異なり、米本来のコクと旨みを生かした芳醇なタイプの酒を一貫して手がけているのが特徴です。

仕込み水には長岡東山山系の軟らかな自然清水を用い、主原料には新潟県の推奨酒造好適米である五百万石を主体に用いています。また代表銘柄「山古志」では、1996年に始まった山古志地区との契約栽培が、2004年の中越地震で棚田が被害を受けた後も休耕田化を防ぐ形で続けられ、当初3軒だった協力農家は15軒まで広がりました。山古志の棚田には清冽な沢の自然水が流れ込み、春から夏にかけて朝晩の気温差が15度に達する環境が、しっかりとした稲を育てるとされています。

銘柄ごとに原料米を明確に使い分けているのもお福酒造の特色で、「越乃一本〆」には新潟県上越市吉川産の酒造好適米「一本〆」を100%使用しています。上位クラスの純米大吟醸などでは越後杜氏の伝統的な技で仕込み、低温でゆっくりと熟成させることで、上品な香りとまろやかな味わいを引き出しています。

蔵データ

所在地

新潟県長岡市横枕町606

創業

1897年(新潟県)

公式サイト

ofuku-shuzo.jp

代表銘柄

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お福正宗:お福酒造の代表銘柄で、品質第一主義をモットーに「飲むほどに福を招く」ことを願って命名されました。地元では、まろやかで飲み飽きしない芳醇清酒として親しまれています。上位の大吟醸には精米歩合40%の斗瓶囲い雫酒や槽しぼり、無濾過無加水の生原酒などがあり、純米吟醸には新潟県産五百万石を100%使用した清楚な香りとすっきりした味わいの一本もあります。

越乃一本〆:新潟県上越市吉川産の酒造好適米「一本〆」を100%使用した銘柄です。本醸造タイプは精米歩合65%、アルコール分15.5度、日本酒度+5の本格派辛口で、芳醇な香りと米本来のコクを感じる味わいが特徴とされています。特別純米酒仕様など複数のグレードが展開されています。

越乃福梅:純米大吟醸をはじめ本醸造などを展開する銘柄です。純米大吟醸は新潟県産五百万石を100%使用し、越後杜氏伝統の技で仕込み、新潟酵母による華やかな香りと米本来の柔らかな旨みにキレのある味わいを目指しています。長岡東山の軟らかな自然清水で醸造し低温でじっくり熟成させることで、上品な香りとまろやかさを引き出しています。

山古志:長岡市山古志地区の棚田栽培米(精米歩合60%)を使用した特別純米酒です。中越地震で被災した山古志の棚田復興を農家とともに支えるなかで生まれた銘柄で、当初3軒だった契約農家は15軒まで拡大しました。棚田栽培米の旨味を生かした穏やかなコクがあり、上品ですっきりとした味わいです。

見学・購入

蔵見学

あり(要事前確認)

直売所

敷地内に蔵元直営店「福の蔵」があります。2011年2月1日に開店し、営業時間は午前9時から午後5時まで(12時から13時を除く)、土曜・日曜・祝祭日・年末年始は休業です。購入だけでなく試飲も可能で、この店でしか味わえない特別な酒が取り揃えられています。

補足

蔵見学は10時から10時45分、13時30分から14時15分の1日2回で、見学と試飲3種がセットで1000円(当日現地払い)、定員5名までです。11月から2月の繁忙期は休止し、土曜・日曜・祝祭日・お盆・年末年始も定休です。予約はウェブの蔵見学フォームまたは電話(0258-22-0086)で受け付けています。所在地はJR長岡駅から車で約20分、関越自動車道長岡ICから車で約20分です。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

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出典

japansake.or.jp / ofuku-shuzo.co.jp / niigata-sake.or.jp / sake-harasho.com / kuramotokai.com / niigata-sake.net / niigata-kankou.or.jp

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