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田中酒造

代表銘柄:能鷹

新潟県

NIIGATA

1643年創業

新潟県上越市長浜に位置する田中酒造は、1643年(寛永20年)に創業した、新潟県内でも古い歴史を持つ酒蔵です。蔵は目の前に日本海とえちごトキめき鉄道の谷浜駅があり、背後に山を控えた全国的にも珍しい海沿いに立地しています。

仕込み水には、蔵の裏山から湧き出る自然水を使用しています。甘口の酒が多い上越地区にあって古くから辛口の酒造りを貫いており、コクがありすっきりとした辛口の味わいが特徴です。創業当初の銘柄は「公乃松」でしたが、1943年(昭和18年)に旧屋号である「能登屋」の「能」と、格言「能ある鷹は爪を隠す」から「能鷹」と命名されました。

「和醸良酒」をモットーとし、酒造りの三要素として「心(蔵主の情熱)」「技(杜氏や蔵人の技術)」「体(水・酒米・風土)」を掲げ、伝統的な手造りの酒造りを守り続けています。

田中酒造の歩み

田中酒造は、新潟県上越市長浜にある、1643年(寛永20年)創業の蔵です。徳川の時代から酒造りを続けており、蔵自身は新潟県内で三番目に古い酒蔵と位置づけています。正面には日本海が広がり、背後には急な山並みが迫ります。えちごトキめき鉄道の谷浜駅のすぐ前という、海にも山にも駅にも近い、全国でも珍しい立地です。明治時代に鉄道が開通した際には蔵が分断され、その場所が谷浜駅になり、一部の建物は移されました。

屋号は能登屋です。かつて石川県まで酒を船で運んでいた頃、運ぶ人を「のと」と呼んだことから、能登屋の名が付いたとされます。創業当初の銘柄は「公乃松」(きみのまつ)でした。昭和18年、当時の店主だった田中キミが、屋号の頭文字である「能」と、座右の銘の格言「能ある鷹は爪を隠す」の「鷹」を合わせて「能鷹」(のうたか)と改めました。以来、この名で親しまれています。

昭和18年は全国的に転業や廃業が相次いだ年で、田中家も酒米の配給がままならず、廃業の話が何度も出ました。当主の田中直治が廃業の手続きに向かう当日になって初めて妻のキミに打ち明けたところ、キミは夫の足にすがって止め、「私がやります」と言って廃業を思いとどまらせました。昭和18年から23年ごろまでは酒米がほとんど手に入らず、冬の間、10数名の蔵人がわずかな米で酒を仕込みました。直治の没後、キミは郵便局員だった長男の弘邦を店主に据えます。

当時は会社ではなく「田中酒造店」というお店で、実際の経営はキミが担い、表には長男を立てて裏から支えました。

戦後は設備と販路を広げていきました。昭和28年に第1回関東信越国税局清酒品評会で優等賞を受け、昭和30年に資本金500万円で株式会社を設立して新蔵を建てました。初代社長は田中キミでした。昭和31年には第3回全国新酒品評会で優等賞を受賞しています。昭和33年に麹室を近代的に新築し、昭和40年にはびん詰め自動ラインが完成しました。販売石数は昭和36年に1,000石、昭和45年に2,000石、平成3年に3,000石を超え、関東方面へも販売を広げました。

昭和49年には製造蔵を新蔵から土蔵に切り替え、冷房設備と新しい搾り機も導入しています。平成元年には第49回関東信越国税局酒類鑑評会で主席第1位を獲得しました。その前の年に品評会で3位に入ったのは、仕込み水を竪井戸から横井戸に切り替えた直後のことで、以来、横井戸の水を使い続けています。平成8年に田中弘邦が社長に就任し、平成15年には事務所を新築しました。現在の代表は取締役社長の小柳忍です。

鑑評会では、全国新酒鑑評会に平成14酒造年度以降だけでも9回入賞しています。そのうち金賞は平成14、16、18酒造年度の3回で、ほかの入賞は平成19、20、21、23、25酒造年度と令和7酒造年度です。関東信越国税局酒類鑑評会でも、吟醸酒の部で平成15年と、平成20年から22年まで3年連続で優秀賞を受け、令和7年の第96回でも優秀賞を受けました。2021年にはIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)の日本酒部門で、「能鷹 大吟醸」が吟醸酒・大吟醸酒の部でシルバーメダルを受賞しています。

2017年に漫画家の松本零士氏が立ち上げた企画「名将銘酒47撰」には、各県から1蔵のみという枠で新潟県代表に選ばれ、「能鷹 純米大吟醸~上杉謙信ラベル~」を発売しました。令和5年には創業380周年を迎え、記念酒を発売しています。

酒造りの特徴

能鷹は、コクがありすっきりとした辛口で、食事によく合い、呑み飽きしない酒です。地元では「酒飲みの酒」と呼ばれています。上越地区は甘口の酒が多いなかで、この蔵は辛口ひとすじを貫いてきました。ただ辛いだけでなく旨みも備えた味わいです。普通酒の比率が高く、地元向けの出荷が大半を占める蔵です。看板商品は本醸造の「黒松」で、五百万石とこしいぶきを65%まで精米し、燗でも冷やでも楽しめるすっきり辛口に仕上げています。蔵のモットーは「和醸良酒」(和をもって醸せば良い酒ができる)で、昔ながらの手造りを守っています。

酒造りの要素には「心」(蔵主の情熱)、「技」(杜氏や蔵人の技術)、「体」(水・酒米・風土)の三つを掲げています。

仕込み水は、蔵の後方の山中にある横井戸から湧き出る軟水です。蔵では、能鷹の味はこの水で決まると言い切ります。毎年シーズン前には、蔵人が全員で横井戸を清掃し点検します。ろうそくを灯して、狭く暗い洞窟を這うようにして進む作業です。米は、新潟を代表する酒米の五百万石を使い、吟醸酒には越淡麗、大吟醸には山田錦を用います。いずれも新潟県産の酒米で、越淡麗は契約栽培です。山田錦は蔵人が自ら育てています。

工程は昔ながらの手造りです。蒸米は甑で蒸し、麹は麹室で手をかけてつくります。酒母は、タンクに麹、水、酵母、蒸米の順に仕込みます。仕込みは添・仲・留の3回に分け、4日かけて量を増やしていきます。醪はふつう20日ほどゆっくり発酵させ、吟醸酒はさらに低温で25〜30日かけます。搾りは、通常は自動圧搾機の「船」で行います。大吟醸は酒袋に醪を入れ、圧をかけずに搾る吊るし搾りです。搾った酒は65度以上で火入れしてタンクに貯蔵し、瓶詰めの際にもう一度火入れするため、通常の酒は二度熱殺菌します。

杜氏は歴代で七代目にあたる小林義男で、越後杜氏の技が酒を支えています。

商品は幅広く揃います。大吟醸の「杜氏魂」は山田錦を40%まで磨き、純米大吟醸は越淡麗を50%まで磨いています。純米酒は五百万石を60%精米で仕込みます。圧をかけずに最初に出てくる「あらばしり」を瓶詰めした生酒には、越淡麗50%の「純米大吟醸ファーストアタック」があります。毎年2月ごろには、本数限定の生原酒「黒松あらばしり」も出ます。季節酒には、9月から11月の「特別純米熟成酒 秋いろ」と、12月から3月の「しぼりたて生原酒 うすにごり」があります。

記念酒には、謙信公祭第100回を記念し、上越産の山田錦を40%まで磨いた純米大吟醸「太刀無銘一文字 山鳥毛」があります。また創業380年を記念して山田錦を38%まで磨いた純米大吟醸「公乃松」を造り、50年熟成の「五十年古酒」は35本限定で販売しました。

代表銘柄

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能鷹

創業当初の銘柄「公乃松」を昭和18年に改め、屋号「能登屋」の「能」と格言「能ある鷹は爪を隠す」から名付けた蔵の主銘柄です。上越では甘口が多いなか、コクがありすっきりとした辛口を貫き、地元では「酒飲みの酒」と呼ばれています。看板の本醸造「黒松」のほか、山田錦40%の大吟醸「杜氏魂」、越淡麗50%の純米大吟醸なども揃えています。

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見学・購入

蔵見学
なし
直売所
蔵元の敷地内に直営店があり、能鷹の全商品を購入できます。えちごトキめき鉄道日本海ひすいラインの谷浜駅から徒歩1分です。
補足
酒蔵見学は現在受け付けていません。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
新潟県上越市長浜129-1
創業
1643年
公式サイト
www.noutaka.jp

出典

niigata-sake.or.jp / noutaka.jp / cushu.jp / sake-harasho.com / niigata-sake.com / nta.go.jp / nrib.go.jp

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