渡辺酒造店
代表銘柄:根知男山
新潟県
NIIGATA
1868年創業
1868年に創業した新潟県糸魚川市根知谷にある酒蔵で、代表銘柄は「根知男山」や「Nechi」です。自然豊かな山間の根知谷において、原料米の生産から酒造りまでを一貫して同じ土地で行う「ドメーヌ・スタイル」の酒造りにこだわっています。2003年から米の自社栽培を開始し、2023年には全量自社栽培米による酒造りを達成しました。軟らかな地下水や昼夜の寒暖差を生かし、五百万石や越淡麗などの酒米を自社で育成・収穫して、根知谷の気候風土(テロワール)やその年の米の特徴を反映した日本酒を手がけています。
また、受賞歴として「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)」の2010年に「Nechi 2008」がチャンピオン・サケに選ばれ、2023年に純米酒部門でゴールドメダルを受賞しています。2017年には山廃仕込、2018年には山廃純米の根知男山が純米部門でそれぞれシルバー、ブロンズを受賞しています。
渡辺酒造店の歩み
渡辺酒造店は、新潟県の西の端、富山県と長野県に接する糸魚川市の山あいの谷、根知谷にある酒蔵です。明治元年(1868年)に渡辺平十郎が現在の地で酒造業を始めました。第二次世界大戦で出征した4代目の渡辺清造を若くして失う大きな痛手を負いましたが、家族の奮闘で乗り切り、今に至ります。現在の代表は6代目の渡辺吉樹蔵元です。蔵の敷地は糸魚川-静岡構造線が横切る場所にあり、東は約1,600万年前、西は約2億7,000万年前の地層という標識が立っています。
向かいのフォッサマグナパークとあわせて、地質の見どころとしても知られています。
渡辺蔵元は糸魚川市内の農家に生まれ、東京での会社勤めを経て、昭和62年(1987年)1月に婿として渡辺家に入り、酒造りの世界に入りました。当時の蔵は、杜氏と蔵人5人が泊まり込み、朝5時から夕方5時まで、年末年始のほかは日曜も休まず仕込む伝統的な体制でした。蔵人の高齢化が進むなか、平成3年(1991年)に当時の社長と杜氏から酒造りの将来を任された蔵元は、10年計画で正社員による週休制・通勤制の酒造りへ移る構造改善に着手します。
平成13年(2001年)の酒造りを最後に杜氏制度を廃止し、この年に蔵元が代表を引き継いで、社員による製造体制に切り替えました。
原料米の確保も大きな課題でした。蔵では平成9年(1997年)から根知谷の農家との契約栽培を始めていましたが、その農家に後継者がいなかったことから、平成15年(2003年)に社員が所有する田んぼ1枚を借りて自社栽培に踏み出します。平成24年(2012年)には農業生産法人の株式会社根知ライスファームを設立しました。農家が高齢で稲作をやめるたびに田んぼを引き受けて面積を広げ、2020年には83枚、2023年には100枚を超える約17町歩になりました。
2023年には最後の農家から田んぼを譲り受けて、全量自社栽培米での酒造りを達成しています。
ブランドの面では、2006年に根知谷産の五百万石と越淡麗をその年の等級ごとに商品化する「Nechi」を立ち上げました。IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)には2008年から出品を始め、2010年には「Nechi 2008」が日本酒部門の純米吟醸酒・純米大吟醸酒の部でチャンピオン・サケに選ばれています。2013年にはIWC創設30周年の記念パーティーに招かれ、この年もゴールドメダルを獲得しました。
その後も山廃仕込の根知男山が純米酒部門で2017年にシルバーメダル、2018年にブロンズメダルを受け、2021年にシルバーメダル、2022年にブロンズメダルを受賞しています。2023年には純米酒部門で「根知男山」がゴールドメダルを受賞しています。全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度以降に限っても5回入賞し、そのうち金賞は平成15・17・19酒造年度の3回です。平成18・21酒造年度も入賞しています。
平成30年(2018年)4月には、蔵の自社所有林のスギ材と根知谷の木・石・土を使い、地元の職人が建てた木造建築の「豊醸蔵」が完成し、直売所兼研修施設として開業しました。米作り、酒造り、直売までを自社で担う6次産業化の形が整ったことになります。2021年2月には、自社栽培米で醸造からびん詰めまでを一貫して行う姿をそのままブランドにした「DOMAINE WATANABE」を立ち上げました。
令和6年(2024年)1月1日の能登半島地震では蔵の土壁が崩れ、貯蔵タンクがずれる被害を受けましたが、もろみは無事で、1月5日には酒造りを再開しています。2025年春には蔵元の長男が専務となり、事業の継承に向けた準備が進んでいます。
酒造りの特徴
根知谷は、日本百名山の雨飾山(標高1,962m)と根知駒ケ岳(駒ケ岳、標高1,487m)を上流にいただく山あいの谷です。海へ注ぐ川筋に連なる七つの谷(西浜七谷)のうち、東西に開けているのは根知谷だけで、日照や風向が他の谷と異なることが、米づくりの個性になっています。冬は豪雪地帯で、12月中旬には山麓でも根雪となり、田んぼは3月下旬まで雪に覆われます。その雪解け水が柔らかな地下水となって酒造りを支え、春から夏の田んぼの用水にもなります。
夏は昼に山へ向かって風が吹き上げ、夜は吹きおろして、稲を暑さから守りながら米づくりに適した寒暖差を生みます。
米づくりは4月の種まきから始まります。種もみから苗を育てることまで自社で行い、5月の連休明けに田植え、9月に五百万石、コシヒカリ、越淡麗の順に稲刈りをします。無農薬栽培にも取り組んでいます。酒米は新潟県の品種である五百万石と越淡麗で、五百万石は柔らかな味わいに、越淡麗は切れのある口当たりの酒になります。2021年産では、自社栽培の五百万石がすべて特等米の格付けを受けました。2014年産では93%が特等米で、この年はそれを上回る結果でした。収穫した米は自社の精米所で磨きます。
10月1日の精米から酒造りが始まり、3月末まで約半年続きます。製造は通勤制・週休制の社員が担い、びん詰めまで行います。仕込みにはコンピュータで制御する発酵タンクを使います。純米吟醸には五百万石と越淡麗を50〜55%まで磨いて使い、酵母は新潟県醸造試験場のG9酵母を主に用います。山廃仕込は自然界の乳酸菌を利用する造りで、独特の厚みのある味わいになります。さらに、根知谷に咲く赤と白のツツジの花から蔵で分離した天然酵母を使った仕込みもあり、赤は酸味がやや強く香りが立ち、白は穏やかな香味になります。
小さな蔵で、生産数量は54,000リットルです。
商品は大きく三つの系統に分かれます。「根知男山」は、純米吟醸、純米酒、純米大吟醸などの定番酒です。「Nechi」は根知谷産の五百万石や越淡麗を等級ごとに商品化したシリーズで、収穫年を表示し、特約店のみで販売されます。2021年に立ち上げた「DOMAINE WATANABE」は、ブランドが一貫生産の姿をそのまま表しており、瓶内熟成の「VINTAGE」とカジュアルな「BLENDED」があります。
ワインのように産地・品種・品質で語ることを大切にし、米の出来が年ごとに味わいへ表れることを隠さず、長く寝かせて変化を楽しむ飲み方も提案しています。
代表銘柄
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根知男山
根知男山は、根知谷産の五百万石と越淡麗で醸す渡辺酒造店の代表銘柄です。純米吟醸は五百万石55%と越淡麗50%を使い、G9酵母を主に用いて穏やかな香りと味わいに仕上げます。純米酒は根知谷産五百万石60%、純米大吟醸は根知谷産越淡麗50%で醸します。山廃仕込や、根知谷のツツジの花から分離した天然酵母の仕込みもあります。
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- 蔵見学
- なし
- 直売所
- 直売所の豊醸蔵が蔵に併設されています。営業時間は9:30〜17:00で、火曜・水曜が定休日(祝日は営業)、12月31日〜1月3日は休業です。電話番号は025-556-6630です。定番商品のほか、ここでしか買えない季節限定酒や地域の特産品を扱います。
- 補足
- 酒蔵の見学は行っていません。豊醸蔵には、16名以内なら1名から試飲などを楽しめるスペースがあり、利用については問い合わせを受け付けています。アクセスはJR大糸線の根知駅から徒歩12分、糸魚川バス根知線の根小屋バス停から徒歩3分です。根知川を挟んだ向かいにはフォッサマグナパークがあります。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 新潟県糸魚川市根小屋1197-1
- 創業
- 1868年
- 公式サイト
- nechiotokoyama.jp
出典
sakekasu-kobokudo.jp / niigata-sake.or.jp / japansake.or.jp / theshop.jp / nechiotokoyama.jp / nature-katayama.jp / monogatari-sake.com / ponshukan.com / nrib.go.jp / internationalwinechallenge.com / jp.sake-times.com / sakesamurai.co.uk / asoview.com
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