高澤酒造場
代表銘柄:有磯
富山県
TOYAMA
1872年創業
明治5年(1872年)、初代高澤利右ヱ門が富山県氷見市にて創業した酒蔵です。代表銘柄の「有磯 曙」は、蔵の裏手にある富山湾から昇る美しい日の出の光景に感動して名付けられました。
富山県内で唯一となるすべての酒を「槽(ふね)搾り」で搾る製法を守り続けており、もろみに過度なストレスをかけずに搾ることで、まろやかで優しい味わいに仕上げています。また、早朝に蔵戸を開放し、富山湾から吹き込む自然の冷風「あいの風」に蒸米を晒して冷やすなど、風土を生かした伝統的な手作りの技法を継承しています。
漁港の街・氷見の地酒として、寒ブリをはじめとする旬の新鮮な魚介類や地元の食文化に寄り添い、料理の味を引き立てる飲み飽きしない酒造りを続けています。
高澤酒造場の歩み
髙澤酒造場は、富山湾に面した漁師町・氷見で明治5年(1872年)に創業した酒蔵です。初代の髙澤利右ヱ門が江戸時代末期に氷見へ来て、明治5年頃に酒造りを手がけたのが始まりです。当時は蔵のすぐ裏まで海が迫っており、豊富な井戸水と富山湾からの海風が酒造りに適していると利右ヱ門は判断しました。酒米を冷やす機械のなかった時代には風が必要だったことも、この地を選んだ理由の一つだったと考えられています。
銘柄の「曙」は、蔵の裏手の海から昇る日の出の勢いと、海越しに連なる立山連峰の美しさに心を打たれた利右ヱ門が名付けたものです。曙とは夜明けの空が明るみはじめるころを指す言葉で、富山湾の旧名である有磯海にちなみ、「有磯海に曙を望む」という情景が「有磯 曙」の名に込められています。日の出が末代まで昇り続けますようにという願いも重ねられています。
現在は七代目の蔵元杜氏・髙澤龍一さんが代表と杜氏を務め、先代から受け継いだ能登杜氏の流派「能登流」の造りを守っています。氷見市で唯一の酒蔵であり、氷見漁港まで車で約3分という立地から、旬の魚介を引き立てる地酒を創業以来の持ち味としてきました。2022年には創業150周年を迎え、低温でゆっくり熟成させた記念酒をつくりました。
2024年1月1日16時10分、能登半島地震で氷見市内は最大震度5強の揺れに見舞われました。元日の蔵で一人、大吟醸の麹と酒母を管理していた髙澤さんは、津波警報を受けて家族と蔵の2階へ避難しました。米蔵は倒壊し、米蔵と酒の貯蔵庫は全壊と判断され、仕込み蔵も傾いて土壁が崩れ、液状化や長引く断水にも苦しみました。大正時代に髙澤さんの祖祖父が建てた仕込み蔵は、専門家の診断で補強して残せることになりました。
それでも1月24日に麹、27日に酒母、2月6日には本仕込みを再開し、確保していた米は酒にできましたが、酒の流失や廃棄で予定していた量より1.5割から2割ほど少なくなりました。その後、米蔵・貯蔵庫の再建と仕込み蔵の補強のためにクラウドファンディングで支援を募り、7,215,000円、286人の支援が集まりました。県酒造組合や全国の蔵元の助けも得て、補強を経た同年10月下旬からの造りに臨んでいます。生産量は震災前の水準まで戻りましたが、復興はまだ途上にあります。
全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度以降に限ると、平成29・平成30・令和3・令和7の4つの酒造年度で「有磯 曙」が入賞し、このうち令和3酒造年度は金賞です。金沢国税局酒類鑑評会では、令和3酒造年度の吟醸の部、令和4酒造年度と令和6酒造年度の金沢酵母吟醸の部で優等賞を受け、令和7酒造年度は金沢酵母吟醸の部と吟醸の部の両部門で優等賞に選ばれました。
海外ではIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)2021のSAKE部門・大吟醸酒の部で、大吟醸「青海白峰」がゴールドメダルを受賞し、2025年にも同じ「青海白峰」がブロンズメダルを受けています。
酒造りの特徴
酒造りの根幹は、富山湾から吹く「あいの風」です。早朝から蔵戸を開け放ち、蒸し上がった米をすぐにあいの風にさらして冷やします。冷やす機械のなかった創業当時から続く方法で、蔵はこれを「有磯 曙」の特徴であり味の決め手と位置づけています。ただし近年は温暖化の影響で風だけでは冷やしきれず、蒸米を室温まで風で冷ましたあとは、冷蔵庫で仕込み温度まで下げています。仕込みは10月下旬から4月上旬ごろまでの二季醸造です。近年は秋になってもあいの風が暖かいことが増えており、将来は冷蔵設備を整えて三季醸造に移ることも視野に入れています。
搾りは、すべての酒を槽(ふね)で搾る全量槽搾りです。もろみを入れた酒袋を槽に一枚ずつ重ね、袋の重みと少しずつ加える圧で、時間をかけて搾ります。現在主流の薮田式が1日ほどで搾りきるのに対し、槽搾りは2日半ほどかかり、出荷までの時間も手間もかさみますが、もろみにストレスをかけず、口当たりのまろやかで後味の苦みが少ない酒になります。全量槽搾りを採るのは富山県内では髙澤酒造場だけです。以前は木槽で搾っていた蔵が、あえてこの方法を続けています。
原料米は五百万石、雄山錦、山田錦、富の香を使い分けます。「初嵐 純米酒」は南砺産の雄山錦、「初嵐 純米吟醸 富の香」は氷見産の富の香をそれぞれ100%使用し、「獅子の舞」は南砺産の五百万石100%を50%まで磨いています。酵母はオーソドックスな金沢酵母を中心に使い分け、種麹や麹の造り方に工夫を加えて酒質を変えています。目指すのは、口当たりが柔らかく、魚介の脂をすっと流す切れのある食中酒で、アミノ酸度を酸度より低く設定して切れを出すことを方針としています。
商品は「曙」シリーズ(大吟醸、純米大吟醸、純米吟醸、純米酒)のほか、「初嵐」シリーズ、純米吟醸「獅子の舞」、純米酒「大漁旗」、本醸造、上撰、季節の「利右エ門」やひやおろしまで幅広くそろいます。白麹を使った「AKEBONO LIGHT」、アルコール分13度の「AKEBONO FLAT」、すっきり飲める純米酒「oh!akebono」やカップ酒には、富山県出身の漫画家・堀道広さんのイラストが付きます。最高峰の大吟醸「青海白峰」は、七代目の恩師である小泉武夫さんが来蔵した際の命名です。
酒粕を使った氷見うどんのセットもあります。ラベルの「曙」の書体は髙澤さんの奥様の手書きで、点字の打刻や開けやすいキャップなど、飲み手への細やかな配慮もあります。
代表銘柄
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有磯
「有磯 曙」は、蔵裏の海から昇る日の出と立山連峰の景色にちなんだ銘柄です。蒸米を富山湾のあいの風で冷まし、すべての酒を槽搾りで搾るため、口当たりがやわらかく、魚介の脂をすっと流す切れのある味わいに仕上がります。氷見の寒ブリなどの海の幸と合わせやすい食中酒で、純米酒「大漁旗」は冷酒から熱燗まで楽しめます。
楽天で商品を見る見学・購入
- 蔵見学
- なし
- 直売所
- 蔵(氷見市北大町18-7)での販売と、オンラインストアがあります。営業日・営業時間は案内によって異なるため、訪ねる前に電話(0766-72-0006)で確かめると安心です。
- 補足
- 蔵見学は受け付けていません。蔵は富山湾に面し、氷見漁港まで車で約3分の距離です。能越自動車道の氷見ICから車で約10分、JR氷見線の氷見駅から徒歩約20分で、駐車場があります。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 富山県氷見市北大町18-7
- 創業
- 1872年
- 公式サイト
- ariiso-akebono.jp
出典
sakenomy.jp / maff.go.jp / ariiso-akebono.jp / kitokitohimi.com / hands-on-local.com / daiwa-dp.co.jp / info-toyama.com / sakestreet.com / nta.go.jp / nrib.go.jp / himinavi.jp / himi-banya.jp / chunichi.co.jp
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