東酒造
代表銘柄:神泉
石川県
ISHIKAWA
1860年創業
1860年(万延元年)創業、石川県小松市に蔵を構える老舗の酒蔵です。代表銘柄「神泉」の名は、蔵の隣の神社から湧き出た水で仕込んだことに由来します。
「地酒は土地の文化」を掲げ、仕込み水には白山山系の伏流水、原料米には半数以上に地元産の酒米、酵母には金沢酵母を使用するなど、石川県産の素材にこだわった酒造りを徹底しています。現在は年間約300石の少量生産のもと、大吟醸、純米、本醸造を中心とした品質重視の酒造りを行っています。
地元の観音下(かながそ)の石で作られた石蔵をはじめ、長屋門や茶室など、酒蔵および住居の12棟が国の登録有形文化財に登録されています。また、小松市の石文化として日本遺産の構成文化財にも認定されています。
「神泉 大吟醸」が初代政府専用機の機内酒として採用された実績があるほか、「神泉 純米大吟醸」がフランスの日本酒コンクール「Kura Master 2022」で金賞を受賞しています。全国新酒鑑評会では平成19〜22酒造年度に4年続けて入賞し、令和7酒造年度には金賞を受けました。
2024年の能登半島地震で被災した輪島市の中島酒造店(能登末廣)を受け入れ、東酒造で共同の酒造りを行っています。
東酒造の歩み
万延元年(1860年)、現在の小松市野田町にあたる地で創業しました。大正年間には石川県内に300社近い酒蔵があり、その中で十指に入る蔵でした。現在の当主は7代目の東祐輔さんで、代表取締役を務めています。国登録有形文化財の蔵を増改築することが難しいため製造量を大きく増やすことはできず、年間約300石を醸す少量生産を続けています。
銘柄の「神泉」は、蔵の隣にある神社から湧き出た水で仕込んだことにちなんで名付けられた登録商標です。看板商品の「神泉大吟醸」は、先代が究極の食中酒を目指して金沢酵母で造った大吟醸が始まりです。小松の「小松弥助」の開業時に販売したのがきっかけで、「大吟醸」「大吟醸弥助」という名称を経て、現在の「神泉大吟醸」になりました。
蔵は昭和11年(1936年)の火災で西蔵を残してほぼ全焼し、その後に再建されました。明治35年(1902年)に移築された棟札が残る西蔵のほか、石蔵は昭和24年(1949年)に建て替えられ、地元の観音下の山から切り出した石で造られています。石は断熱性と耐火性に優れ、醸造にも向いています。西洋風のベイウインドウが特徴の検査室、格式ある長屋門の大門、茶室「桂松庵」、待合兼客間の「緑寿庵」など多様な意匠の建物が並び、平成21年(2009年)1月8日に酒蔵と住居の12棟が国の登録有形文化財に登録されました。
小松市の日本遺産「珠玉と歩む物語」の構成文化財にもなっています。
神泉大吟醸は、初代の政府専用機(ボーイング747-400)の貴賓室や広報室などで提供され、2018年まで機内酒に採用されていました。全国新酒鑑評会では、当時の合資会社東栄松商店の名義で平成19酒造年度から平成22酒造年度まで4年続けて入賞しました。2019年にはインターナショナルワインチャレンジの大吟醸部門で大会推薦酒に選ばれました。
国内の受賞には、2017年の全国燗酒コンテストで「吉祥 神泉」がお値打ちぬる燗部門の最高金賞、2023年の同コンテストで「神泉 懐石酒 回」が特殊ぬる燗部門の最高金賞、2018年のワイングラスでおいしい日本酒アワードで「純米吟醸 旨口」が最高金賞があります。2021年にはフランスのフェミナリーズ世界ワインコンクールの日本酒部門で「純米吟醸 旨口」が最高賞の金賞を受け、石川県内からの同部門の受賞は初めてでした。
フランスのKura Masterでは、「純米大吟醸」が2017年と2022年に金賞、「純米吟醸 ブルーラベル」が2020年に純米酒部門のプラチナ賞、2021年に金賞を受け、2026年には「純米大吟醸 ブラン」が純米大吟醸酒(精米歩合36〜50%)部門で金賞に選ばれました。さらに令和3、5、6、7酒造年度の金沢国税局酒類鑑評会では、金沢酵母吟醸の部で優等賞を受けました。令和7酒造年度(2026年)には、金沢酵母の「神泉大吟醸 太初」で全国新酒鑑評会の金賞を受賞しています。
2024年1月1日の能登半島地震では、輪島市の中島酒造店(能登末廣)の蔵が被災しました。東酒造の杜氏の二見秀正さんは珠洲市の出身で、元日は小松で仕込みの最中でしたが、家族が珠洲の実家で地震に遭いました。石川県酒造組合から能登の被害が伝えられると、二見さんは製造先が決まっていなかった中島酒造店に、東酒造で一緒に酒を造らないかと声をかけました。中島酒造店は2月12日から東酒造で醸造を始め、3月26日に初搾りの「能登末廣 しぼりたて純米酒」ができあがりました。
その後も共同の酒造りは続き、能登末廣がアレンジした神泉として、神泉らしい味わいに能登末廣の香りの良さを合わせた、ピーチのような味わいの純米吟醸「神泉フィーチャリング能登末廣」も生まれています。東酒造自身も、茶室「桂松庵」と待合「緑寿庵」が地震で大きな被害を受けました。
酒造りの特徴
神泉は、酒造りに関わる要素をすべて石川県産にすることを掲げる地酒です。仕込み水は白山の伏流水を使い、酒米は半数以上を地元産で仕込んでいます。蔵は「地酒は土地の文化です」を会社理念とし、生産量の多い有名な蔵ではなく、おいしいと評判の酒造会社になることを目指して品質第一主義を貫いています。
酵母は主に代々伝わる金沢酵母を使います。酢酸イソアミルの吟醸香が特徴の金沢酵母は、全国新酒鑑評会で金賞を取るのは難しいといわれますが、神泉はこの酵母で挑戦してきました。酒米は20年以上前から小松産を使い、2010年にはコシヒカリの「蛍米」を原料米にした純米自然酒「蛍舞」を県内の先駆けとして発売しました。蛍米は小松の厳選された地域で減農薬、減化学肥料で栽培された米です。2015年には地元の農家と協力して育てた山田錦を使い、「純米吟醸 ブルーラベル」を造りました。
石川県が開発した酒造好適米「百万石乃白」を使う「純吟乃白」や、石川門を使う「スプリングオブゴッド」もあります。
代表酒の「神泉大吟醸」は、山田錦を精米歩合40%まで磨いて仕込み、アルコール分は17%です。最上級の「特別神泉大吟醸 太初」は山田錦の35%精米で、神泉ブランド最高酒とされる「萬延元年」は2000年に醸造した長期熟成の大吟醸です。「純米吟醸 旨口」は日本酒度マイナス10の甘口、「あらばしり吟醸」は日本酒度プラス5で、五百万石を60%まで磨いた生酒です。「吉祥神泉」は五百万石を70%まで磨き、四段掛けで仕込む本醸造です。平成元年に醸造した長期熟成酒「懐石酒 回」は燗酒での飲み方を勧めています。
蛍舞には、蛍米100%と金沢酵母で仕込むアルコール分11%の低アルコール純米吟醸「蛍舞プレシャス」、蛍舞らしい酸味をさらに際立たせた、青りんごのようなすっきりした味わいの「蛍舞ポム」、さらに酸味を加えた辛口の「蛍舞プラス」があります。「純米大吟醸 アザレ」はのとキリシマツツジ酵母、「純米大吟醸 ブラン」は金沢酵母とのとキリシマツツジ酵母で仕込むなど、新しい酒質にも取り組んでいます。蛍舞プラスは2025年にKura Masterの純米酒(精米歩合66〜100%)部門でプラチナ賞を受け、決勝に進出しました。
代表銘柄
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神泉
石川県小松市の東酒造が醸す銘柄で、名は隣の神社から湧き出た水で仕込んだことに由来し、登録商標です。白山の伏流水と地元の酒米、金沢酵母で醸す石川の地酒を掲げます。山田錦を40%まで磨いた神泉大吟醸、50%の純米大吟醸、甘口の旨口、百万石乃白の純吟乃白、蛍米の蛍舞などがそろいます。令和7酒造年度には全国新酒鑑評会で金賞を受けました。
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- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 直売所
- 神泉石蔵本店(直営店・石川県小松市野田町丁35)では、神泉の通常商品、季節限定酒、お猪口やTシャツなどのグッズを販売しています。営業時間は9時から18時で、休日は月ごとに案内されています。奥の国登録有形文化財の石蔵はレンタルスペースとして、展示やライブに貸し出されています。
- 補足
- 蔵見学は予約制で、料金は1人1,100円(商品券500円付)です。申し込みは4名から(4名に満たない場合は4名分の料金)で、7日前までの予約が必要です。国登録有形文化財の石蔵や仕込蔵を蔵人の説明で約30分回り、販売所での試飲を含めて約50分です。見学が始まる前は、酒蔵のラウンジ「回(kai)」で休めます。茶室「桂松庵」と待合「緑寿庵」は地震の被害が大きく、改修が終わるまで見学の対象外です。年末年始(12月28日から1月7日)は休みで、酒造期は予定が変わることがあります。毎年ゴールデンウィークには酒蔵開放があり、5月3日には無料の見学ツアーも開かれます。有料試飲(3種セット、990円から)は不定期に開かれます。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 石川県小松市野田町丁35
- 創業
- 1860年
出典
isico.or.jp / sake-sinsen.co.jp / sakedata.jp / komatsuguide.jp / nta.go.jp / nrib.go.jp / notosuehiro.com / saketime.jp / diamond.jp
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