朝日酒造
代表銘柄:富士の関
福井県
FUKUI
1718年創業
福井県丹生郡越前町にあった朝日酒造は、江戸時代中期の1718年(享保3年)に創業し、約300年の歴史を持つ酒蔵です。代表銘柄の「富士の関(富士乃関)」は、日本一の山と国技にちなんで名付けられました。
酒造りの仕込み水には地下水を100%使用していました。福井県農業試験場で生まれた食用米「コシヒカリ」は酒造りに向かないとされてきましたが、あえてこれを用いた酒造りに挑戦し、仕込みの温度管理などを工夫することで、コシヒカリならではの旨みやコクを引き出していました。
また、福井県産コシヒカリで醸した純米吟醸酒「酔蝶花」は、1997年度に世界的な品評会「モンドセレクション」で金賞を受賞し、3年連続で金賞を受け、インターナショナルハイクオリティトロフィーを授与されるなど高い評価を受けました。蔵は2025年5月までに閉店しています。
朝日酒造の歩み
朝日酒造は、福井県丹生郡越前町西田中にあった酒蔵です。享保3年(1718年)に酒造りを始め、約300年にわたって越前の地で酒を造り続けました。蔵が掲げたのは「福井のコシヒカリで酒造り」という方針で、越前福井の米を大事に磨き上げ、技と愛情で米のうまみを引き出した酒を、一品造りの意気込みで蔵出ししていました。
蔵がコシヒカリにこだわった背景には、蔵元の強い思いがありました。コシヒカリは福井県農業試験場で生まれた米で、炊いて食べる米としては長く日本一の座にあります。ところが酒にすると、おいしさのもとになるたんぱく質が雑味の成分になりやすく、仕込みには雑味の少ない山田錦などの酒造好適米が好まれてきました。蔵元は、市場の評価で新潟産に後れをとっているコシヒカリを、せめて越前のコシヒカリで酒にして福井の意地を見せたいと考え、この常識に挑みました。
道のりは平坦ではありませんでした。最初に造った酒はどれも味がくどく、「コシヒカリは酒に向かない」という定説をかえって裏づける結果になりました。そのとき造った酒は、捨てるに捨てられず蔵の中に眠っていたといいます。蔵元と杜氏は試行錯誤を重ね、コシヒカリの欠点を抑えて長所を引き出す手法を会得しました。
蔵元は、日本酒の主流は淡麗辛口で、鑑評会の審査員は雑味を嫌うため、コシヒカリの酒は国内の鑑評会では高い評価が得られないと考えて、海外に目を向けました。白ワインの上品さと赤ワインの野性味の両方を愛するヨーロッパの人なら理解してくれるだろうと見て、モンドセレクションに出品します。1997年度の金賞には、福井県産コシヒカリで造った純米吟醸酒の「酔蝶花」と「春岳」の2銘柄が選ばれ、9月7日にベルギーのブリュッセルで授与されました。
「酔蝶花」は3年連続で金賞を受け、インターナショナルハイクオリティトロフィーも授与されています。
2004年には、国際コメ年を記念した、福井県産コシヒカリの利用・活用・PRに貢献した個人や団体を表彰する「コシヒカリのふるさと 福井賞」で、知事賞を受賞しました。その後、蔵は2025年5月までに閉店し、現在は酒の販売や見学は行われていません。
酒造りの特徴
仕込み水には地下水を100%使っていました。原料にはコシヒカリを使いました。コシヒカリは酒造好適米ほど粒が大きくないため、磨きすぎると割れてしまいます。それに、米のうまみを引き出すという蔵の商品づくりの考え方にも合いません。このため、コシヒカリの酒づくりでは精米度を55%(45%を落とす)にとどめました。残る工夫は仕込みの温度管理などの基本技術で、蔵元と杜氏はここに知恵を絞りました。
こうして仕上がるコシヒカリの酒は、ほんのりと色がつきます。これはコシヒカリのうまみ成分で、コクに富み、山田錦で造った酒とは違う個性になります。蔵の「コシヒカリのお酒」は、一年間土蔵の低温酒蔵で貯蔵してから蔵出ししていました。
主力の純米吟醸酒「酔蝶花」は、見た目にも趣向を凝らした酒でした。金粉とともに梅と桜の花を酒の中に散らし、酒に花を入れる技術は朝日酒造が特許を取っていました。意匠登録もされ、福井県観光土産品の「ベストコレクション」にも選ばれています。瓶は薄い青色の六角柱の特注品で、「しゃれたスナックに置いてもしっくりするように」と蔵元自身がデザインしたものです。舌で楽しみ、目で楽しみ、米選びのこだわりを楽しんでもらえるように、中身と容器の両方に工夫を重ねていました。
代表銘柄
富士の関
日本一の山と国技にちなんで名付けられた、朝日酒造を代表する銘柄でした。原料米は福井県産のコシヒカリで、純米酒には醸造用アルコールを一切使いませんでした。のどごしがよく晩酌に最適な酒とされ、ぬる燗や上燗など、好みに合わせて温度を変えて楽しめました。同じ「富士の関」には、コシヒカリの素直な味わいを長期間の熟成で引き出した本醸造もありました。いずれも2005年時点の商品案内に載る酒で、現在は取り扱われていません。
見学・購入
- 蔵見学
- なし
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 福井県丹生郡越前町西田中11-53
- 創業
- 1718年
- 公式サイト
- r.goope.jp
出典
goope.jp / fukuisake.jp / sakenomy.jp / exblog.jp / kotobank.jp / fuku-iro.jp / saketime.jp / web.archive.org / nta.go.jp
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