SAKE BREWERY — SHIZUOKA

磯自慢酒造

静岡県焼津市鰯ヶ島307 1830年創業

紹介

天保元年(1830年)に創業した静岡県焼津市の酒蔵。もとは地主・庄屋として冬の農閑期に余剰米で酒造りを行っていた歴史を持ち、早くから吟醸造りに取り組み、静岡県における吟醸酒造りの先駆的存在となった。

酒造りでは厳格な衛生・温度管理を徹底しており、全国に先駆けてオールステンレスの冷蔵酒蔵を導入。原料米には兵庫県東条特A地区産の山田錦をはじめとする厳選米、仕込み水には南アルプス水系大井川の伏流水、酵母には静岡酵母(酢酸イソアミル系)を採用している。徹底した環境整備と手造りの技術により、香りと味のバランスが整った綺麗で透明感のある酒を醸す。

その品質は国内外で高く評価されており、2008年の北海道洞爺湖サミットや2016年のG7伊勢志摩サミットにて採用された。また、英国で開催される「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)」SAKE部門において、2010年に「純米酒の部」「純米吟醸酒・純米大吟醸酒の部」の2部門で金メダルを受賞したほか、2014年にも金メダルを獲得している。

歴史

磯自慢酒造は江戸時代、焼津の大地主・庄屋として年貢米の集積や輸送を担う一方、冬の農閑期に生じる余剰米を用いて酒を造る副業から酒造りを始めたとされています。この農業経営と酒造りを兼ねる形態は戦前まで続きました。「磯自慢」という銘柄名は、海に面した焼津の地で育まれた酒であることに由来し、古くからの漁港として知られたこの地で、さっぱりとした辛口の酒として漁師など海で働く人々に親しまれてきたと伝えられています。

戦後の農地解放を経て、副業だった酒造りは本業へと転換します。この過程で周辺の蔵元の統合が進み、磯自慢酒造は焼津で唯一残る蔵元となりました。高度経済成長期には日本酒の需要拡大とともに経営規模も広がりましたが、昭和末期には日本酒の消費が低迷し、厳しい時代を迎えました。

こうした状況の中、八代目・寺岡洋司氏が「生き残るためには本当に高品質な日本酒を造るしかない」との経営判断のもと、高品質路線への転換を決断します。業界に先駆けて普通酒の製造をやめ、吟醸酒・純米酒など特定名称酒のみを造る方針へと切り替えました。志太杜氏の重鎮であった横山福司氏を杜氏に迎え、1983年(昭和58年)には全国に先駆けてオールステンレスの冷蔵酒蔵の新築に着手、平成4〜5年(1992〜1993年)にかけて蔵をすべて建て替えました。この設備投資と品質重視への転換が、現在の磯自慢ブランドの礎になったと伝えられています。

現在は寺岡洋司氏が代表取締役(八代目社長)を務めています。杜氏は横山氏の技を受け継いだ南部杜氏の多田信男氏が長く杜氏を務め、現在は名誉杜氏として、杜氏は待井由朗氏が担っています。多田氏の座右の銘は「酒造りは楽をするな」で、洗米以外の工程はほぼ手作業で行う伝統的な造りを守っています。次世代にあたる九代目・寺岡智之氏も酒造りの方針発信に関わっており、代替わりを見据えた体制づくりが進んでいます。

酒造り

原料米は兵庫県東条特A地区産の山田錦を中心に、同じく特A地区の愛山、静岡県オリジナル酒米「誉富士」を用途に応じて使い分けています。精米後は白米を1カ月ほどかけてじっくり乾燥させるなど、極限まで磨き込む特別な仕込みにも挑戦しており、一部商品では精米歩合18%まで磨き込む例も報告されています。2010年からは山田錦の最高産地とされる「秋津」地区を「西戸」「常田」「古家」という小区画ごとに分けて仕込む取り組みを開始し、産地・区画による酒質の違いを表現する試みを続けています。収量を度外視し、造る酒はすべて本醸造以上の特定名称酒として、全量を低温で熟成管理しているとされます。

仕込み水には南アルプス・間ノ岳を水源とする大井川水系の伏流水を使用しています。硬度45程度の軟水で有機物が少なく、発酵が穏やかに進むため吟醸造りに適しているとされます。酵母は静岡県が開発した静岡酵母のうち、酢酸イソアミル系統を一貫して用いており、香りと味のバランスが取れた酒質づくりの核になっています。

蔵内は壁面までステンレス張りの冷蔵構造で、雑菌の混入を防いでいます。仕込みタンクの内面にはガラスコーティングが施され、火入れの工程には急速加熱・急速冷却機能を備えた専用装置を導入するなど、設備面でも品質維持のための工夫が重ねられています。製造工程は「洗米以外は機械を扱わず全部手作り」を貫き、徹底した温度・衛生管理と手仕事による丁寧な仕込みを両立させています。こうした姿勢は「楽をしない・妥協を許さない」という蔵のモットーにも表れています。

蔵データ

所在地

静岡県焼津市鰯ヶ島307

創業

1830年(静岡県)

公式サイト

www.isojiman-sake.jp

代表銘柄

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磯自慢:「磯自慢」は精米歩合ごとに複数の等級で展開されており、特A地区山田錦を45%まで磨いた大吟醸、50%精米の純米吟醸、55%精米の吟醸、55〜60%精米の特別本醸造などがラインナップされています。近年は静岡県オリジナル酒米「誉富士」を使った純米吟醸「大井川の恵み 薆瞬(かおるとき)」も展開し、県産米を生かした商品づくりにも取り組んでいます。産地区画ごとの山田錦を用いた仕込みなど、原料米の産地や精米歩合による酒質の違いを追求したラインナップが特徴です。

見学・購入

蔵見学

なし

直売所

蔵見学・試飲は実施していません。蔵元併設の直売部(小売部)があり、営業時間は10:00〜15:00、定休日は土・日・月・祝日です。

補足

直売部での支払いは現金のみで、数量限定ながら全品テイクアウトが可能とされています。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

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出典

wikipedia.org / sake-times.com / isojiman-sake.jp / dmdepart.jp / homarefuji.com / intojapanwaraku.com / sakenomy.jp / tfwsa.or.jp / v-yamazaki.co.jp / ja.wikipedia.org / shizuoka-sake.jp / tanoshiiosake.jp / at-s.com

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