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牧野酒造

代表銘柄:富士山・白糸

静岡県

SHIZUOKA

1743年創業

静岡県富士宮市にある牧野酒造合資会社は、寛保3年(1743年)に創業した歴史ある酒蔵です。名勝「白糸の滝」近くの自然豊かな上野の里に蔵を構え、280年以上にわたり地域に根差した酒造りを行っています。

仕込み水には100%富士山の伏流水を使用し、酒米の全量を丁寧に手洗いするなど手間にこだわった造りを徹底しています。また、100年以上にわたり石川県の能登杜氏を招き、伝統的な技術と職人の技を継承している点も特徴です。雑味が少なく、すっきりとしつつも盃を重ねるごとに深まる味わいを追求しています。

歴史ある蔵の景観は高く評価されており、富士宮市景観賞の最優秀賞を受賞しているほか、建造物が富士宮市の景観重要建造物に指定されています。

主な受賞歴として、全米日本酒鑑評会での金賞、スペインの国際酒類コンクール「CINVE 2023」での銀賞、IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)2015日本酒部門での入賞などがあります。

牧野酒造の歩み

牧野酒造合資会社は、静岡県富士宮市下条の上野の里にある酒蔵で、寛保3年(1743年)の創業です。名勝・白糸の滝の南に位置し、田園の中に黒塀と土蔵が連なる蔵の佇まいは、背景の富士山とよく調和しています。牧野家は鎌倉時代から続く家系で、代々、地域の用水路や水田の開発に取り組み、穀物を扱ってきました。その余剰米を使って江戸時代に酒造りを始め、現在は9代目の牧野利一さんが代表を務めています。

蔵のある上野地区は、鎌倉時代に日蓮上人から「上野賢人殿」と称賛された南条時光が地頭として治めた土地で、日蓮宗の大寺が点在する古い土地です。年間を通して13度前後の水が湧き出す水の豊かな土地でもあり、この水があったからこそ酒造りを始められたと牧野社長は語っています。同じ上野地区の富士正酒造が標高900メートル以上の朝霧高原に醸造蔵を移したため、牧野酒造は上野地区で唯一の酒蔵となっています。

蔵の建物は富士宮市から景観面で高く評価されています。酒蔵の土蔵旧蔵は江戸時代後期から明治初期に建てられたもので、樹齢100年以上の金木犀の大樹や焼杉材の黒塀が、富士山や周囲の景観と調和して上野地域の歴史を感じさせる景観をつくっています。2018年には「牧野酒造蔵全景」が第6回富士宮市景観賞で最優秀賞を受賞しました。2020年には黒塀・前蔵・煙突などが富士宮市の景観重要建造物に指定されています。

前蔵は慶応年間より前の建造で築170年以上と推定される、蔵の中でいちばん古い建物で、「伊豆の長八」で知られる左官技法のなまこ壁が特徴です。黒塀は富士山の溶岩石の基壇の上に建てられ、明治後半から大正期に造られたものです。造り酒屋の煙突は、富士宮市に4蔵ある酒蔵の中で現存する唯一のもので、煙突を挟んで建つ慶応年間建造と伝わる旧蔵二棟は、昭和40年代に現在の新蔵ができるまで仕込み蔵として使われました。現在は洗瓶、瓶詰、ラベル貼り、製品保管などの場として使われています。

酒質面では、2010年の全米日本酒歓評会の吟醸部門で純米吟醸「富士山」が金賞、2012年の同じ部門では銀賞、2015年のIWC日本酒部門で純米大吟醸「富士山」が推奨酒(Commended)、2023年にはスペインの国際コンクールCINVEの日本酒の部で特別純米酒「富士山」が銀賞を受賞しました。

名古屋国税局の酒類鑑評会では、2004年に純米酒の部で「白糸」が入賞し、2006年には「特別純米酒 富士山」と「特別本醸造 富士山」がそろって優等賞、2007年に「富士山 特別本醸造」、2010年に「特別純米酒 富士山」が優等賞を受けています。静岡県新酒鑑評会での入賞や、第121回能登杜氏自醸清酒品評会での珠洲市長賞もあります。2025年2月に初めての蔵開きを開き、2026年2月には2回目を開きました。

酒造りの特徴

仕込み水は100%富士山の伏流水です。蔵のある上野の里は水が豊かな土地で、年間を通して13度前後の水が湧き出し、富士山の大岩盤で育まれた軟らかな水が酒の源になっています。牧野酒造が心がけているのは、この湧き水をふんだんに使った丁寧な米洗いです。酒造りに使う米の全量を手で洗い、糠を徹底的に洗い流すのが蔵の流儀で、基本の米洗いを丁寧に行うことで雑味が少なく、酔い心地と酔い覚めのよい酒に仕上がります。

酒造りを担うのは、100年以上にわたって石川県の能登杜氏組合から招いている能登杜氏です。牧野社長は、すべての酒造会社が自社杜氏になれば各地の伝統的な杜氏集団が廃れてしまうとして、酒造りの伝統を担う役割を守り続けたいと語っています。現在の杜氏は能登杜氏の四家裕さんで、「酒づくりは、人づくり」を掲げ、蔵人やスタッフの和を大切にしています。

造りの方針は、カプロン酸(吟醸香)の生成が穏やかな酵母と吟味した酒米を使い、添仕込を基本として、富士山の軟らかな湧水と昔ながらの技法を合わせるというものです。穏やかな香りと味わいで素材を活かし、肉や魚の料理にも合い、冷やでも燗でも楽しめる、杯を重ねるごとに旨さが増す酒を目指しています。

新蔵の設計は、作業の効率を考えた合理的なものです。エレベーターで酒米を最上階に上げ、洗米、蒸米、放冷、麹造り、酒母造り、醸造、搾りの各工程を高い階から低い階へ順に配置しています。人手で運ぶ労力を省くと同時に、酒米にかかる無理な力を減らす工夫です。酒造りは11月から3月にかけて行い、9月には秋上がり(ひやおろし)を発売します。

代表銘柄

富士山

「富士山」は牧野酒造の登録商標で、昭和の時代に純米吟醸へ初めてこの名が付けられ、いまは純米大吟醸、純米吟醸、特別純米酒、特別本醸造、にごり酒まで揃うシリーズです。純米吟醸は山田錦と五百万石を60%に磨いた辛口、純米大吟醸は山田錦50%、特別純米酒は日本酒度+4で、冷やしてお刺身などの魚料理に合わせるのがおすすめです。

白糸

「白糸」は蔵の近くにある世界遺産・白糸の滝にちなむ銘柄で、昭和の時代から富士宮の地酒として親しまれてきました。上撰 白糸は五百万石を70%に磨いた日本酒度+7の普通酒で、蔵の昔ながらの原点の酒です。白糸の原酒は20度の濃醇辛口で、地域の先駆けとして原酒を発売した蔵ならではの一本で、梅酒づくりにも重宝されています。

見学・購入

蔵見学
あり(要事前確認)
直売所
蔵元直売所(富士宮市下条1037)。蔵元限定商品を扱い、全品テイクアウトできます。
補足
酒蔵見学と試飲は無料で、事前予約が必要です。敷地内を30分ほどかけて案内する形が基本で、蔵内の見学は相談となります。酒造期の直売所は平日の営業が中心で、2025年3月時点では土日は基本的に休みです。JR富士宮駅から車で15〜20分ほどで、バスなら大門下バス停から徒歩7分です。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
静岡県富士宮市下条1037
創業
1743年
公式サイト
www.makino-shuzo.com

出典

fujinomiya-foodvalley.jp / makino-shuzo.com / shizuoka-sake.jp / fujinomiya.lg.jp / sakagura-press.com / at-s.com / fujinomiya.gr.jp

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