細川酒造
代表銘柄:あげうま
三重県
MIE
1850年創業
細川酒造株式会社は、1850年(嘉永3年)に創業した三重県桑名市多度町に位置する酒蔵です。代表銘柄「上げ馬(あげうま)」は、地元の多度大社で催される伝統的な「上げ馬神事」に由来して名付けられました。
同蔵は添加物を使用しない100%純米酒造りに徹する酒蔵であり、原料米には三重県産の米を100%使用しています。仕込み水には養老山系の自家井戸水(天然水)を用い、自然な手造りを行っています。蔵内で時間をかけて熟成させ、秋口に旨味が増す「秋上がり」の酒造りを基本姿勢としています。また、日本酒だけでなく、有機無農薬栽培の麦芽とホップを100%使用したオーガニッククラフトビール「上馬(あげうま)」の製造も手掛けています。
細川酒造の歩み
細川酒造は、三重県北部の養老山系、多度山のふもとにある蔵元です。創業は江戸後期の嘉永3年(1850年)で、所在地は現在の桑名市多度町古野にあたります。代表を務めるのは細川富生さんで、日本酒とビールの両方を造っています。
代表銘柄の「上げ馬」は、地元の多度大社で毎年行われる上げ馬神事に由来します。神事の始まりは南北朝時代の暦応年間(1338年から1342年)にさかのぼります。人と馬が一体となって参道脇の急な坂を駆け上がり、3メートルあまりの断崖をよじ登る勇壮な祭りで、崖を越えた馬の数でその年の豊凶を占います。宵祭りは5月4日、本祭りは5月5日に行われます。ビールの「上馬」も、同じ神事から名を取っています。
蔵は、鑑評会で名を上げることよりも、地元で長く飲まれる定番の市販酒の質を磨くことを第一に考えてきました。2010年当時、蔵は全国新酒鑑評会には出品しておらず、三重県新酒鑑評会の純米酒部門に出品した平成12年には首位賞を受けています。そのうえで、名古屋国税局酒類鑑評会の純米酒の部では、平成22年度と平成24年度に優等賞に選ばれました。この部門は、市販酒と同等のアルコール度数の純米酒を45℃の温度帯で評価するもので、平成24年度についてはその条件が主催の開催概要に明記されています。
現在の蔵元は商品紹介で、鑑評会などのコンテストには全く興味がなく、市販酒品質を最重視して酒造りを行っていると述べています。
蔵の規模は小さく、2010年時点では従業員とパートを含めて5人でした。当時は酒造りだけでなく、瓶詰め、ラベル貼り、配達まで社員総出で手がけ、営業の専属社員は置いていませんでした。営業担当を置かない分の余力を、良い米や麦芽の確保に回すという考え方でした。
販売面では、1999年からインターネット通信販売に取り組み、蔵元から直接届ける形を早くから整えてきました。日本酒は純米酒だけを醸し、ビールは有機認証の原料だけで造るという、原料に妥協しない姿勢が蔵の個性になっています。
酒造りの特徴
日本酒は、三重県産の米と米麹、そして水だけで造る純米酒のみで、醸造アルコールや糖類、酸味料などは使いません。原料米には山田錦、神の穂、結びの神、みえのゆめを使い分けています。山田錦は三重県の伊賀上野産で、兵庫県産を買い求めるのではなく、穏やかで控えめな酒質に仕上がりやすい地元の米を選んでいます。神の穂は2007年に三重県で開発された酒造好適米、みえのゆめは2004年に品種登録された三重県の米です。
仕込み水は、蔵に昔からある古井戸の自家井戸水です。養老の滝で知られる岐阜県の養老町と同じ養老山系の、山を挟んだ裏側にあたる多度町で、川の水が幾つもの地層を通って程よくミネラルを含んだ天然水となり、井戸から湧き続けています。蔵のすぐ横にはあまごが住めるほど澄んだ川が流れています。
米は少量ずつ人の手で洗い、秒単位で吸水を管理してから、小さな甑で蒸します。高温の乾燥蒸気を当てて、さらっとした蒸米に仕上げます。蒸米は清潔な蔵の中で時間をかけて自然に放冷し、機械は使わず蔵人総出で仕込みます。もっとも大切な麹造りもすべて手作業で、その年の米の特性に合わせ、酒母用と仕込用の麹を造り分けています。造りは能登杜氏が担い、冬季に醸す寒づくりを守っています。
冬に醸した原酒は、半年以上かけて秋まで蔵で自然に熟成させてから蔵出しします。新酒の香りや味の出方をあえて抑え、熟成して良くなることを前提に、米の特性に合わせて日本酒度、酸度、アミノ酸などの数値を設計しています。同じ蔵では、有機認証を受けた麦芽とホップを100%使うドイツ式のラガービール「上馬」も醸しています。ヘレス、デュンケル、ボックの3種類があり、ろ過をせず、室温0度の低温で60日以上熟成させます。
代表銘柄
あげうま
上げ馬は、多度大社の上げ馬神事に由来する蔵の代表銘柄です。三重県産米の純米酒だけで、山田錦、神の穂、みえのゆめなどを使い、精米歩合は70%から40%まで幅広くそろえています。養老山系の自家井戸水で仕込み、冬に醸した酒を秋まで熟成させる、秋上がりの酒質が持ち味です。純米酒は常温から燗まで、鶏の唐揚げや串カツに合います。
見学・購入
- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 直売所
- 蔵で直売しているほか、蔵元直営の通信販売でも購入できます。営業時間は8時30分から17時まで、定休日は土曜、日曜、祝日です。駐車場があり、社屋前に3台、専用駐車場に10台分あって大型バスも停められます。最寄りは養老鉄道の多度駅で、駅からはKバス多度美鹿ルートが蔵の前まで通っています。
- 補足
- 見学を希望する場合は、事前に蔵へ問い合わせてください。毎年5月4日と5日の多度大社の上げ馬神事の時期に合わせて訪れると、銘柄の由来となった祭りも見られます。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 三重県桑名市多度町古野1474
- 創業
- 1850年
- 公式サイト
- www.ji-beer.co.jp
出典
mie-sake.or.jp / ji-beer.co.jp / kuwana.lg.jp / beer-cruise.net / city.kuwana.lg.jp / web.archive.org
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