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吉田酒造

代表銘柄:竹生島・ヨキトギ・雪花

滋賀県

SHIGA

1877年創業

滋賀県高島市マキノ町海津に位置する吉田酒造は、1877年(明治10年)創業の琵琶湖に最も近い酒蔵です。かつて北陸と近畿を結ぶ湖上交通の要衝・港町として栄えた海津の地で、商人や船頭、漁師など地域の人々に親しまれてきました。代表銘柄である「竹生嶋(竹生島)」のほか、マキノ高原を流れる川の名に由来する「ヨキトギ」や「雪花」などを手掛けています。酒造りでは滋賀県産の酒米(山田錦や吟吹雪など)や赤坂山から流れる水、伝統的な金沢酵母等を主に用い、酸味と米の旨味がしっかりとしたキレのある味わいを特徴としています。

2022年には事業継続の危機に直面したものの、大手酒造出身者らによる酒蔵再生企業「夢酒蔵」のもとで買収・再建が行われ、熟練の技術者の参画とともに伝統ある地酒の継承と酒造りの再生が進められています。

吉田酒造の歩み

吉田酒造は、琵琶湖に最も近い酒蔵として知られ、現在の滋賀県高島市マキノ町海津にあたる地で、明治10年(1877年)に酒造りを始めました。海津は江戸時代から昭和初期にかけて、山越えで運び込まれる北陸の米や海産物を琵琶湖の水運で京阪神へ運ぶ湖上交通の中継地として栄え、最盛期には100隻近い丸子船を擁する大きな港町でした。個人経営として創業したのち昭和30年(1955年)に有限会社として法人化し、「竹生嶋」の酒銘で、海津の商人や船頭、人足、漁師など地域の人々に親しまれてきました。

平成15酒造年度には全国新酒鑑評会に「竹生嶋」を出品し、入賞しています。

しかし、蔵はもともと老朽化が進んでおり、平成30年(2018年)9月には台風による被害も受けました。人口減少や高齢化により地元中心の販売だけでは売り上げの維持が難しくなり、後継者も定まらないまま新型コロナウイルス感染症の流行が追い打ちとなって、売り上げは大きく落ち込みました。酒造りは蔵元一人が担う規模まで縮小し、実質的に2年以上にわたって出荷が止まる状態が続きました。

この状況を変えたのが、京都の酒蔵再生企業・夢酒蔵株式会社です。月桂冠の元取締役だった大邊誠氏は、2021年9月に吉田酒造の買収話を持ちかけられたことをきっかけに、中小酒蔵の再生を事業とする夢酒蔵を2022年1月に設立しました。同年7月4日、夢酒蔵は吉田酒造有限会社の全株式を取得するとともに第三者割当増資を実施し、吉田酒造株式会社へと商号を改めました。取締役社長には大邊氏が就任し、前代表の吉田肇氏は取締役会長として経営に加わり、夢酒蔵の株主・顧問にもなりました。

買収にあたっては月桂冠の現役社員やOB、取引先など70人余りが出資し、京都銀行グループの京銀ネクストファンドも資金面を支えました。

酒造りの現場には、月桂冠で醸造責任者を務めた上野義夫氏と鈴木英夫氏がマイスターとして加わり、大邊氏自身も蔵人として造りに参加しました。設備の本格的な改修より酒造りの再開を優先し、2022年9月に麹造りを始め、10月に仕込みに入り、11月中旬には最初のタンクを搾って年内に新酒を売り出しています。酒蔵の改修や設備の更新は、この仕込みを終えたのちに本格的に着手されました。以後、吉田酒造は「伝承と革新」を掲げて再建を進めています。

酒造りの特徴

吉田酒造が目指す酒質は、「飾り気がなく荒々しさを感じるが、飲みあきない清らかさもある酒」です。港町に集った人々の気風にも通じるこの味わいを創業以来守りながら、地元で愛され、地元の食材とともに飲み継がれることを第一に考えています。伝統的な「コク」「旨み」「甘味」を素直に表現しつつ、現代の飲み手の好みに合わせて香りとの調和を図り、進化を止めることなく新しい地元スタイルを追い求めています。

仕込みには、山田錦や吟吹雪、玉栄など地元・滋賀県産の酒米を用い、吉田酒造が旧くから使ってきた伝統的な金沢酵母を主に用いて、酸味が強くしっかりした味わいに匠の技で上品な香りを重ねています。仕込み水には、マキノ高原の赤坂山から琵琶湖へ注ぐ湖北の清流・知内川の軟水を使用し、ミネラル分の少なさが発酵をゆっくりと進めてまろやかで深い味わいを生み出します。マイスターの上野義夫氏は大手酒蔵で長年吟醸酒造りに携わった経験を持ち、鈴木英夫氏も大手酒蔵や関連の小規模酒蔵で長年酒造りに携わってきました。

麹や醪の経過が仕込みごとに変わることを踏まえ、手作業を中心にした丁寧な造りで酒質を見極めています。

商品は季節に応じて展開しており、冬には新酒らしい粗さを残す「初しぼり」やにごり酒、純米吟醸無濾過生原酒を寒ブリの刺身や白子入りの鍋物に、春には華やかな香りと米の甘みを持つ純米吟醸「天祐一献」をお花見の酒として、初夏にはしぼって数ヶ月を経た辛口の純米酒を若鮎の塩焼きとともに、秋にはひと夏を熟成させたひやおろしを秋刀魚や鮭、キノコなど滋味深い秋の食材と合わせて提案しています。

主力銘柄「竹生嶋」からは、竹生島の神の恵み(天祐)にちなんで名づけた純米吟醸・純米の「天祐一献 竹生嶋」のほか、滋賀県産米「渡船6号」を100%使って醸す純米大吟醸も生まれています。令和6酒造年度に仕込んだこの純米大吟醸は精米歩合50%、日本酒度マイナス2、酸度1.9、アルコール分16.3度で、60日かけてじっくり発酵させた吉田酒造では最高級の一本です。地元では、本醸造の「金紋」と普通酒の「銀紋」が、古くから海津の町衆や琵琶湖の漁師に愛飲されてきた定番の酒として親しまれています。

精米歩合40%まで磨いた山田錦を使う大吟醸生原酒「花嵐」や、蔵で20年間熟成させる古酒も手がけています。

代表銘柄

竹生島

吉田酒造の代表銘柄で、明治10年の創業以来「地元で愛される酒」として造り続けられてきました。地元・滋賀県産の山田錦や吟吹雪、玉栄などの酒米と、吉田酒造が伝統的に主に用いる金沢酵母、湖北を流れる知内川の水を仕込みに用います。竹生島信仰にちなむ「天祐一献 竹生嶋」には純米吟醸と純米があり、華やかな香りとコクのある飲み口、落ち着いた香りと奥深い味わいがそれぞれの持ち味です。滋賀県産米「渡船6号」を100%使う純米大吟醸も手がけ、低温で60日かけてじっくり醸した力強いコクのある一本です。

ヨキトギ

「ヨキトギ」は漢字で「斧磨」と書き、マキノ高原を縦貫して流れる川の名にちなんで名づけられた銘柄で、かつて吉田酒造でナンバーワンの人気を誇りました。夢酒蔵による事業再建の後、新たな酒造りマイスターたちの技と吉田肇氏の酒質へのこだわりによって復活しています。酒米には山田錦と同等かそれ以上に軟質な滋賀県産の吟吹雪を用い、搾った直後から甘みとボリュームのある酸が楽しめる、うすにごりの純米吟醸生原酒です。上槽直後に無濾過で瓶詰めした微発泡の味わいを、数量限定で毎年届けています。

雪花

「雪花」は純米吟醸の生原酒で、「竹生嶋」「ヨキトギ」と並ぶ吉田酒造の酒銘のひとつとして長く飲み手に親しまれてきました。お米の糖化による品のよい甘やかさに、いやみのない爽やかな酸が調和した味わいが持ち味です。旨みのある味わいは煮物や焼き物によく合い、洋食ならばホワイトソースを使った料理とも好相性とされてきました。初夏、香り立つ若鮎の塩焼きに合わせる一献としても紹介されてきた銘柄です。

見学・購入

蔵見学
なし
直売所
海津の蔵元では、店頭でも自社商品を販売しています(火曜定休)。自社のオンラインショップでも購入でき、東京日本橋の滋賀県アンテナショップでの取り扱いもあります。
補足
毎年春の週末に「蔵開き」を開催しています(10時30分〜16時)。当日はキッチンカーの出店やお酒の有料試飲、マキノ高原のご当地キャラクターの来場などがあります。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
滋賀県高島市マキノ町海津2292
創業
1877年
公式サイト
chikubu-sakura.com

出典

takashima-kanko.jp / sakenomy.jp / chikubu-sakura.com / sakedata.jp / kyoto-nishimurasaketen.com / sakestreet.com / rakuten.co.jp / yumesakagura.co.jp / issendo.jp / chikubushima.base.shop / imashiga.com / sakeconcierge.com / sakeno.com / nrib.go.jp / web.archive.org

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