SAKE BREWERY — NARA

大倉本家

奈良県香芝市鎌田692 1896年創業

紹介

明治29年(1896年)に「大倉勝治商店」として創業した、奈良県香芝市に位置する酒蔵です。代表銘柄は昔ながらの味わいを伝える「金鼓」、純米酒を中心に展開する「大倉」、余韻の軽やかさを追求した「彩葉」などがあります。酒造りでは「山廃仕込み」を伝統的な軸としており、力強い酸味と米の旨味が際立つ、存在感のある味わいを強みとしています。また、自家栽培米「ひのひかり」を用いた仕込みや、奈良古来の技法である「水もと仕込み」による濁酒(どぶろく)造りなど、独自のこだわりを持った酒造りを行っています。2000年に先代の病気などにより一時休造を余儀なくされましたが、2004年に4代目の大倉隆彦氏が蔵を復活させ、自ら杜氏として醸造を手掛けています。食中酒としての魅力を追求し、個性的で質の高い酒造りを守り続けています。

歴史

大倉本家は、二上山の麓に位置する奈良県香芝市鎌田で、明治29年(1896年)に大倉勝治商店として創業しました。昭和7年(1932年)頃には奈良県神社庁の委託を受け、新嘗祭に納める御神酒の醸造も手がけるようになりました。先代の頃には年間およそ6000石という大規模な生産を誇る蔵として、地域を代表する存在になりました。

しかし平成12年(2000年)秋、3代目蔵元の大倉勝彦氏が病に倒れたことをきっかけに、蔵は休造を余儀なくされます。当時横浜で会社勤めをしていた4代目の大倉隆彦氏は、当初は蔵を清算するために帰郷したのであり、酒造りを続ける意思はありませんでした。ところが「蔵、やめてええんか」という地元酒屋の一言や、説得を試みた際に父から「お前なんかに何が分かる」と反発されたことが逆に転機となり、隆彦氏は2年にわたって病床の父を説得し続け、酒蔵の再開を決意します。

平成15年度(2003年度)、長年「金鼓」の醸造の指揮をとってきた杜氏たちが蔵に戻り、大倉本家は酒造りを再開しました。隆彦氏自身も但馬流の杜氏のもとで5年間修業を積みながら独学でも酒造りを学び、平成20年度(2008BY)からは自ら蔵元杜氏として醸造の指揮を執るようになりました。

再開後は米作りにも着手し、蔵の裏手にあった休耕予定の田んぼから自家栽培を始めています。現在の生産量は最盛期の6000石から大きく規模を縮小した約300石で、隆彦氏を中心とした少数精鋭の体制で酒造りに取り組んでいます。2022年2月には近鉄五位堂駅前にアンテナショップ「大倉本家エキマエノミセ」を開設し、地元での接点を広げています。

酒造り

大倉本家の酒造りは、力強い酸を特徴とする山廃仕込みを軸としています。自家栽培した米「ひのひかり」を用いた仕込みも行い、目指す味わいについて蔵元は「サンセットではなくサンライズのような、フレッシュで若々しい酸のあるお酒」と表現しており、こうした酸のあり方は蔵で「明るい酸」と呼ばれています。酒造りにあたっては「近道せず、ごまかさず」という姿勢を掲げています。

濁酒には、奈良の伝統的な酒母製法である「水もと仕込み」を用います。この技法は約600年前に奈良の菩提山正暦寺で創製されたとされる古典的な酒母造りの流れを汲むもので、生米を使い、蔵に棲みついた野生酵母と乳酸菌の働きを生かして醸すことが特徴です。発酵したもろみを漉さずそのまま瓶詰めするため、「飲むというより食べるような感覚」と評される個性的な一本に仕上がります。市販は2004年に始まり、当初は12月仕込みでしたが、現在は古式にならい9月から仕込みを始めています。

また「麹四段」や「一段仕込み」といった独自のアイデアも取り入れており、微細な違いではなく圧倒的な違いを追求するという蔵元の哲学のもと、他にはない個性を持つ酒造りを続けています。

蔵データ

所在地

奈良県香芝市鎌田692

創業

1896年(奈良県)

公式サイト

kinko-ookura.com

代表銘柄

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金鼓:山廃仕込みの伝統を受け継ぐ大倉本家の看板銘柄です。山廃由来の高い酸と米の旨味が織りなす濃醇な旨口酒で、燗にすることで持ち味が一層引き立ちます。かつて地元の駅で使われていた銘入りのベンチが今も蔵に残るほど、地元香芝で古くから親しまれてきた、蔵を代表する一本です。

大倉:山廃造り由来の力強い酸と、米のジューシーな旨みが織りなす高酸系の旨口酒です。穏やかな果実香をまといながらも野太く厚みのある酒質で、特定名称酒として磨き上げられ、時間の経過とともに味わいがより深まっていく点も魅力です。酸度が6.5に達するものなど個性の強い銘柄もあり、直汲みならではのガス感を伴う味わいも展開しています。

彩葉:かな文字の始まりである「いろは」に、大和の地酒としての矜持を込めて醸された銘柄です。純米大吟醸には富山県産雄山錦を45パーセントまで磨いたものがあり、若い桃やイチゴを思わせる穏やかな吟醸香や、スイートポテトのような甘みのあとに9号酵母由来の小気味よい酸が続く香味と評されました。現在の公式ラインナップの中心は金鼓・大倉で、彩葉は限定的に流通した銘柄です。

見学・購入

直売所

近鉄五位堂駅前のアンテナショップ「大倉本家エキマエノミセ」(2022年2月開設)で試飲をしながら購入できます。

補足

公式オンラインショップが2026年8月に開設され、Webからも購入できるようになりました。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

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出典

kobayashishouten.jp / kinko-ookura.com / sakenomy.jp / sakestreet.com / nobori-sake.com / biglobe.ne.jp / jizakeyakodama.com / small-life.com / unokawa.ocnk.net / saketime.jp / hyotan.co.jp

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