SAKE BREWERY — AKITA

飛良泉本舗

秋田県にかほ市平沢字中町59 1487年創業

紹介

飛良泉本舗は、室町時代の1487年(長享元年)に創業した、東北最古で全国でも3番目に古い歴史を誇る老舗酒蔵です。祖先が大阪(泉州)から秋田県にかほ市に移住し、廻船問屋「和泉屋」を経て明治期に酒造専業となりました。酒銘の「飛良泉」は地名の「平沢」と屋号の「和泉屋」、および良寛和尚へ宛てた手紙にある「飛びきり良い白い水」という言葉に由来します。

酒造りでは伝統的な「山廃仕込み」に強いこだわりを持ち、仕込み水には鳥海山の伏流水を使用しています。空気中の天然乳酸菌を活かして丹念に酒母を育てることで、ふくらみのある旨味と快い酸味を備えた骨太な味わいの日本酒を醸しています。伝統を守る一方で、近年は全量山廃仕込みへの移行や「マル飛」「飛囀」といった新銘柄の展開など革新的な挑戦も続けています。全国新酒鑑評会においても多数の金賞受賞歴があります。

歴史

飛良泉本舗は、秋田県にかほ市平沢に蔵を構える酒蔵です。創業は1487年(長享元年)、室町時代にさかのぼります。蔵では、東北で最も歴史があり、全国でも三番目に古い酒蔵としています。現在の代表取締役社長は二十六代目にあたる斎藤雅人氏で、1986年に入社し1997年に就任、2020年から2024年まで秋田県酒造組合会長を務めました。現在は二十七代目となる息子への代替わりが進んでいます。

斎藤家はもともと関西の泉州(現在の大阪府泉佐野市)で廻船問屋を営み、北前船で泉州堺と東北・北海道を結ぶ交易に携わる家系でした。応仁の乱で焼け出された一家は日本海を北上し、鳥海山のふもとで交易地でもあった現在の秋田県南部にたどり着き、1487年に酒屋としての第一歩を踏み出しました。屋号は「泉屋(いづみや)」といいます。

酒銘「飛良泉」は、屋号「泉屋」と地名「平沢」を組み合わせた「平泉」が奥州の平泉と重なってしまうことから、「飛び切り良い泉」になぞらえて名付けられたと伝わります。江戸時代中期には、仁賀保に暮らした画工・増田九木が親交のあった名僧・良寛和尚へ宛てた手紙に「飛び切り良い、白い水」という言葉を書き残したという逸話も残り、「白」と「水」を上下に重ねると「泉」になることから、泉州出身であることも重ね合わされているといわれます。

蔵のあるにかほ市平沢は、江戸期に仁賀保氏の城下町、羽州街道の宿場町、そして北前船の寄港地として栄えた土地です。当初は廻船問屋が本業で酒造りは副業でしたが、戊辰戦争で屋敷と蔵の半分を焼失したことを機に酒造りを本業とし、同じ頃に山廃仕込みでの酒造りを始めました。明治維新後、二十二代目の代に鉄道が開通して海運業が打撃を受けたことで、完全に酒造り主体へと移行しました。この火災で古文書など当家の史料の多くが失われたため、現存する建物もほぼ明治以降のものです。1882年(明治15年)に建てられた土蔵は温度変化に強い酒造りに適した環境をつくり、蔵の外に立つ創業以来の樹齢500年の欅の大木は、夏場の日差しを遮って蔵内を低温に保つ役割を担っています。

歴史をたどると、十七代目の代には鳥海山が噴火し、驚いた当主が一族の出身地である関西へ神頼みに戻ったと伝えられています。斎藤家は代々真言宗を宗派とし、高野山奥之院に墓標を建てたとされ、現当主の斎藤氏はその墓標が実在することを自ら確かめに訪れています。

酒造り

飛良泉本舗の酒造りの中核は、酒母を「山廃仕込み」でつくることです。正式には「山卸廃止仕込み」といい、蒸米・麹・水を仕込んだ後にすり潰す「山卸」という工程を廃止した、昔ながらの酒母製造方法です。人の手で乳酸を添加する速醸酛が約2週間で仕上がるのに対し、山廃酛は空気中の乳酸菌など自然の微生物の力を借りて酒母をゆっくりと培養・育成するため、仕上がるまでに30日ほどを要します。微妙なさじ加減の温度管理が求められる手間のかかる製法ですが、蔵ではこの伝統を代々守り続けています。

仕込み水には、仁賀保家から拝領した井戸に湧く鳥海山の伏流水を用いています。山廃仕込みに適した硬水で、力強い骨格を感じさせる酒に仕上がるといいます。看板商品「山廃純米酒」は、ふくらみのある味わいと、飲み飽きせず味くずれしない腰の強さが特徴で、食中酒として親しまれるベストセラーです。夏季限定の「山廃氷結生酒」は、山廃仕込みの搾りたて生酒を凍結しても割れない瓶に詰めた商品で、1986年に斎藤氏が入社してまもなく開発し、以来のロングセラーとなっています。

現在の商品ラインナップは、定番の「山廃純米酒(特別純米酒)」「熟成山廃純米酒」「山廃本仕込(特別本醸造)」から、山田錦を用いた純米大吟醸「欅蔵」「楪蔵」、純米吟醸「室町蔵」まで幅広く、これらはいずれも山廃仕込みを土台に醸されています。令和3酒造年度の全国新酒鑑評会では、「飛良泉」が金賞を受賞しました。

蔵データ

所在地

秋田県にかほ市平沢字中町59

創業

1487年(秋田県)

公式サイト

www.hiraizumi.co.jp

代表銘柄

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飛良泉:看板銘柄「飛良泉」の名は、屋号「泉屋」と地名「平沢」による「平泉」が奥州の平泉と重なることを避け、「飛び切り良い泉」になぞらえて付けられたと伝わります。名僧・良寛和尚へ宛てた画工・増田九木の手紙にある「飛び切り良い、白い水」という言葉にちなむ逸話も残ります。ふくらみのある旨味と快い酸味を備え、飲みあきしない骨太な味わいが特徴です。

マルヒ:「マルヒ」は、正式には「山廃純米酒 マル飛」という名で、多酸性のきょうかい77号酵母を山廃仕込みで醸した一本です。日本酒度マイナス20.0・酸度3.8と数値の振れが大きく、リンゴ酸を多く含む酒質で、従来の清酒のイメージを打ち破ることを狙った、蔵の挑戦的な位置づけの商品です。

見学・購入

蔵見学

なし

直売所

2020年8月に公式オンラインショップを開設し、蔵での店頭直売は2025年3月14日をもって終了しました。現在は近隣の小売店、または公式オンラインショップで購入できます。

補足

酒造りにおける微生物管理を徹底するため、2018年4月より一般向けの蔵見学は行っていません。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

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出典

nikaho-kanko.jp / hiraizumi.online / hiraizumi.co.jp / osake.or.jp / wikipedia.org / meimonshu.jp / tohoku-sakurakaido.jp / nihonmono.jp / sakenomy.jp / nrib.go.jp / otoriyosetecho.jp

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