八木酒造部
代表銘柄:山丹正宗
愛媛県
EHIME
1831年創業
八木酒造部は1831年(天保2年)に愛媛県今治市で創業した、現在今治市唯一の酒蔵です。代表銘柄の「山丹正宗」は、創業当初の屋号「丹波屋」と名刀「正宗」の鮮やかなキレ味にあやかって名付けられました。
酒造りには四国山脈(石鎚山)からの清冽な伏流水を使い、主に愛媛県産の「しずく媛」や「松山三井」などの米を用いています。温暖な地域にありながら高品質な酒造りを実現するため、建物全体を冷却して寒冷地の環境を再現し、越智杜氏流の酒造りを受け継いで手作業を重んじた丁寧な醸造を行っています。
その品質は高く評価されており、全国新酒鑑評会で数多くの金賞(2026年に3年連続、蔵の数え方で通算25回目)を獲得しているほか、ワイングラスでおいしい日本酒アワードでの最高金賞受賞など国内外で多数の賞を受賞しています。また、デザイナーの松井桂三氏が手掛けた「山丹正宗」のロゴが日本パッケージデザイン大賞で金賞を受賞するなど、デザイン面でも高い評価を得ています。
八木酒造部の歩み
八木酒造部は1831年(天保2年)に、初代の八木治兵衛が今治の地で創業しました。創業当初の屋号は「丹波屋」で、醤油と木綿卸から商いを始め、翌年には酒造も始めています。銘柄の「山丹正宗」は、屋号の「丹波屋」と、銘刀正宗のようにキレの良い酒という意味を掛け合わせた名です。1945年の戦災で蔵は全焼しましたが、翌1946年に酒造を再開し、1950年10月に株式会社八木酒造部として設立されました。1988年に増築して、現在の蔵に至ります。
「山丹正宗」のデザインは、政府広報や関西国際空港のシンボルマークで知られる松井桂三さんが手がけ、1997年の日本パッケージデザイン大賞で金賞を受賞しました。蔵を継いだのは8代目の八木伸樹さんで、2006年に酒類総合研究所での研修を経て入社し、2008年に代表取締役に就任しています。2021年に創業190周年を迎えた時点で、八木酒造部は今治市で唯一の酒蔵となっていました。今治では船の進水式や神社のお神酒、冠婚葬祭など、さまざまな場面で「山丹正宗」が使われています。
蔵元が家業に入った約20年前、地元の酒販店には県外の酒が多く並んでいました。そこで美山錦や八反錦といった県外産の酒米の使用をやめ、愛媛産の米を使う酒造りへと軸足を移し、品質を高めることで地元に選ばれる酒を目指しました。現在は5月の蔵開きと11月の新酒まつりを年に2回開き、県外からの来場者も含めて毎回1,000人以上が訪れています。地元のゆるキャラ「バリィさん」や「みきゃん」とのコラボ商品も手がけています。
全国新酒鑑評会では1981年に初めて金賞を受け、2002年までに8か年(1983年は1号蔵と2号蔵の2点)で金賞を得ています。2003年開催(平成14酒造年度)以降は20回入賞し、うち16回が金賞です。2011年から2015年の5年連続、2024年から2026年の3年連続を含み、蔵は2026年の金賞を通算25回目と数えています。2025年は愛媛県で唯一の金賞受賞蔵でした。
高松国税局が徳島・香川・愛媛・高知の蔵を対象に開く四国清酒鑑評会では、吟醸酒の部で2009年から2013年と2015年に優等賞に選ばれ、2018年から2025年は8年続けて受賞しています。純米酒の部や燗酒の部でも優等賞を受けており、2025年は吟醸酒の部、冷酒の部、燗酒の部の3部門すべてで優等賞でした。蔵の発表では、愛媛県新酒品評会で1位(愛媛県知事賞)を3回受け、ワイングラスでおいしい日本酒アワードでは最高金賞を4回受賞しています。
海外でもIWCの銀賞と銅賞、フランスのKura Masterの金賞を受け、2025年には世界酒蔵ランキングのTOP50で42位に認定されました。
酒造りの特徴
原料米は愛媛県産にこだわり、主に松山三井としずく媛を使っています。全生産量の9割以上が愛媛県産米です。仕込み水は蔵の井戸から汲み上げる「山丹の水」で、西日本最高峰の石鎚山とそれに連なる四国山脈からの清冽な伏流水です。この水は昭和天皇が今治を訪れた際に、お茶の水に選ばれました。蔵は建物全体を冷却する造りで、温暖な愛媛でも寒冷地と同じ環境で酒造りができるようにしています。
かつて今治には越智杜氏という杜氏集団があり、各地へ杜氏を派遣して酒造りを行っていました。越智杜氏は解散しましたが、2021年ごろまでは最後の越智杜氏といわれた村上浩由杜氏が造りを担いました。2022年からは石田将志杜氏が、越智杜氏流の酒造りの継承者として、なるべく昔ながらの手作業にこだわった酒造りを受け継いでいます。定番の「山丹正宗 純米酒 松山三井」は、松山三井を60%まで精米して仕込みます。
かつては短期もろみの辛口酒でしたが、2015年ごろからリニューアルに取り組み、酵母や仕込み配合を何度も変えて、低温発酵の長期もろみに改めました。
全国新酒鑑評会の出品酒は、2023年開催分から醸造アルコールを添加した大吟醸ではなく、純米大吟醸に切り替えました。アルコール添加の大吟醸が売れにくくなったことが理由です。切り替え初年の2023年は入賞、2024年に金賞となり、2025年の金賞酒は「雫取り純米大吟醸」として発売されています。2025年の出品酒では、猛暑で溶けにくくなった酒米に対して麹菌の種類を見直しました。
新しい酒造りにも取り組んでいます。室町時代の製法とされる水酛で仕込んだ「MINAMOTO」や、愛媛さくらひめ酵母Type-4を使った純米大吟醸「華帯」、今治の長尾農園の有機栽培米と水酛で造り、2023年6月に有機JAS認証を取得し、2024年7月に四国初の有機JAS認定酒として発売した「Organic」があります。「Organic」のラベルは、オーガニックコットンを使った今治タオルです。
オンキヨーと東京農業大学の共同研究による音楽加振技術で酵母を活性化させた純米酒「Jazz Brew」、米麹本来の味を活かした無添加ノンアルコールの甘酒も手がけています。2026年4月15日には、今治産の有機栽培米松山三井を30%まで精米し、異なる2種類の酵母でそれぞれ造った酒を搾ってから合わせるアッサンブラージュで仕上げた純米大吟醸「IMABARI HERITAGE 1831」を発売しました。
代表銘柄
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山丹正宗
八木酒造部の銘柄で、屋号の「丹波屋」と銘刀正宗のキレの良さにちなんで名付けられました。定番の純米酒 松山三井は、松山三井を60%精米で仕込み、低温発酵の長期もろみによるブドウやマスカットを思わせる香りと、甘み・酸味・渋みの調和が持ち味です。吟醸酒は2014年にANA国際線ファーストクラスに採用されました。
楽天で商品を見る見学・購入
- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 直売所
- 公式オンラインショップで通年販売しているほか、蔵の店頭でも購入できます。
- 補足
- 蔵見学は1週間前までの事前連絡が必要で、4月から9月の平日10時から16時、定員20名までです。10月から3月は酒造りのため受け付けていません。2026年の蔵開きは5月16日(土)・17日(日)の10時から16時に開かれ、入場無料で、11時と14時の蔵見学ツアーがありました。同じ年の新酒まつりは11月に開かれ、入場無料です。蔵びらきや新酒まつりの日は、蔵の敷地内に駐車スペースがないため、吹揚小学校が駐車場になります。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 愛媛県今治市旭町3-3-8
- 創業
- 1831年
- 公式サイト
- www.yamatan.jp
出典
yamatan.jp / iyokannet.jp / japansake.or.jp / ehime-hyakka.com / ehime-syuzou.com / sakestreet.com / sakagura-press.com / nta.go.jp / nrib.go.jp / kabuto-live.com / ehime-iinet.or.jp / jetro.go.jp
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