水口酒造
代表銘柄:道後蔵酒・仁喜多津 大吟醸酒・伊予の薄墨桜
愛媛県
EHIME
1895年創業
愛媛県松山市の道後地区唯一の造り酒屋で、1895年(明治28年)に創業しました。道後温泉本館が建築された翌年に創業し、道後温泉とともに歩んできた歴史を持ちます。代表銘柄の「仁喜多津(にきたつ)」は、万葉集で道後が「熟田津」と詠まれたことに因み、「仁愛と喜び多き津渡」の意味を込めて命名されました。銘柄の一つである「仁喜多津 伊予の薄墨桜 純米酒」は、「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2011」の食中酒部門で金賞、「日本全国美酒鑑評会」の純米酒部門で大賞を受賞しています。
また、1917年に建てられた店舗兼主屋は、2016年に国の登録有形文化財(建造物)に指定されました。清酒「道後蔵酒」や「仁喜多津」などの日本酒造りを中心に、「道後ビール」や「道後ジン」など多角的な製造・販売を行っています。
水口酒造の歩み
愛媛県松山市の道後温泉は日本書紀にも登場する日本最古の温泉のひとつとされ、その本館が建てられた翌年にあたる1895年(明治28年)、初代水口大七郎によって水口酒造は創業しました。道後地区では唯一の造り酒屋として、創業と同時に代表銘柄「仁喜多津」の醸造を始めています。「仁喜多津(にきたつ)」という名は、万葉集で額田王が道後の地を「熟田津」と詠んだことに由来し、その地名に「仁愛と喜び多き津渡」という意味を込めて名付けられました。
1917年(大正6年)に建てられた店舗兼主屋は木造二階建てで、2016年(平成28年)に国の登録有形文化財に登録されています。酒造りにとどまらず、1996年(平成8年)にはビール製造免許を取得して「道後ビール」の醸造と発売を始め、1999年(平成11年)には発泡酒製造免許を取得しました。
2003年(平成15年)には蔵出しの酒を扱うショップ「にきたつ蔵部」を開設し、2005年(平成17年)には焼酎乙類製造免許、2019年(平成31年)にはスピリッツ(ジン)製造免許を取得して、日本酒を軸にしながら道後の湯の町にふさわしい多角的なものづくりを続けてきました。
現在は6代目蔵元にあたる水口皓介氏が代表取締役社長を務めています。2025年に創業130周年を迎えたことを機に、看板銘柄「仁喜多津」を道後から世界へ届く酒へと磨き直す取り組みを進めており、2026年2月にはNIKITATSUブランドを刷新しました。創業家には「暖簾を守るな、暖簾を破れ」という教えが伝わっており、伝統を受け継ぎながらも常に新しいことに挑戦する姿勢を大切にしています。「道後から世界へ、世界から道後へ」を企業ビジョンに掲げ、地元・愛媛の素材を生かした酒造りと、海外市場への展開を両輪で進めています。
2022年(令和4年)には道後温泉のそばに直売店「道後一会」をオープンしました。酒蔵見学やビール工場見学の場として道後の酒造りを直接伝えるとともに、道後ビールと仁喜多津を味わえる拠点として、観光客の道後の思い出づくりに関わり続けています。
酒造りの特徴
仕込み水には西日本最高峰である石鎚山や高縄山系の伏流水を使い、そのミネラル分がまろやかで優しい味わいに仕上げています。原料米には愛媛県産の山田錦、しずく媛、松山三井を中心に用い、大吟醸酒には兵庫県産山田錦も使用しています。温暖な気候で育った愛媛県産米は大粒で澱粉質が多く、低タンパクで酒造適性に優れているのが特徴です。近年は「愛媛テロワール」を掲げ、県内・久万高原町の農家と山田錦の購入保証契約を結び、収穫した米を全量買い上げる契約栽培にも取り組んでいます。
醸造には専用冷却装置付きタンク「サーマルタンク」を用い、低温でじっくりともろみを発酵させています。搾りには雑味の少ないクリアな酒質に仕上がる袋搾りを取り入れ、愛媛県が開発した酵母「EK-1」も活用しています。また、愛媛県で生まれた新品種の花「さくらひめ」から抽出した花酵母「さくらひめ酵母」を使った純米吟醸酒も手がけ、なかでもトロピカルな香りが持ち味の「さくらひめ酵母Type1」を用いた一本は、地元素材を生かした新しい酒質への挑戦として注目されています。
こうした酒造りは数々の評価につながっており、全国新酒鑑評会では通算7度の金賞を受賞しているほか、高松国税局が管内4県の清酒を対象に開催する四国清酒鑑評会の吟醸酒の部でも優等賞を受けています。
2026年度の愛媛県新酒鑑評会では大吟醸酒の部で最高賞にあたる愛媛県知事賞を受賞した「NIKITATSU 仁喜多津 純米大吟醸酒」は、ワイングラスでおいしい日本酒アワード2026のプレミアム大吟醸部門で最高金賞、第13回和酒フェス大阪の和酒フェス大賞春酒の部で最高金賞、KURA MASTERの純米大吟醸酒部門でプラチナ賞をそれぞれ受賞しました。
さらにIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)2026では出品した6銘柄すべてがメダルを獲得し、うち「NIKITATSU 仁喜多津 純米大吟醸酒」と「仁喜多津 純米吟醸酒 さくらひめ酵母」の2銘柄が、愛媛県内の蔵元として唯一のゴールドメダルを受賞しています。
「仁喜多津 純米吟醸酒 さくらひめ酵母」はKURA MASTER2025の純米酒部門でプラチナ賞、ミラノ酒チャレンジ2025の純米吟醸酒部門でプラチナ賞、IWC2024の純米吟醸部門で金賞、ワイングラスでおいしい日本酒アワード2024のプレミアム純米部門で金賞を受賞するなど、国内外のコンテストで高い評価を積み重ねています。2026年度愛媛県新酒鑑評会のしずく媛の部でも第2位に入り、地元の酒米を生かした一本として評価されました。
代表銘柄
道後蔵酒
道後の温泉街で長く親しまれてきた地元の酒で、上撰酒や生貯蔵酒、純米吟醸酒(大辛口を含む)、大吟醸酒など幅広いグレードをそろえています。仕込み水には熟田津の良水を使い、大吟醸酒には兵庫県産山田錦を丁寧に磨き上げて醸しており、フルーティーな香りと華やかな味わいが持ち味です。地域の人々や道後を訪れる観光客に育てられてきた、道後らしさを感じられる一本です。
仁喜多津 大吟醸酒
道後の地酒「仁喜多津」を代表する大吟醸酒です。精米歩合45%まで磨いた米に米麹と醸造アルコールを合わせて醸しており、クリアな口当たりとグラスの中で華やかに広がる吟醸香が持ち味です。日本酒度は+3ですっきりとした飲み口に仕上げており、ワイングラスに注ぐと繊細な香りと輝きがいっそう際立ちます。特別なひとときにふさわしい一本です。
伊予の薄墨桜
松山市指定天然記念物で、天皇の代に皇后の病が癒えた喜びから寺に賜ったと伝わる西法寺の桜「薄墨桜」にちなむ純米酒です。愛媛県産松山三井を精米歩合70%まで磨いて醸し、濃醇でやや辛口の味わいに仕上げています。愛媛の鯛の刺身と合わせたい一本です。ワイングラスでおいしい日本酒アワード2011の食中酒部門で金賞、日本全国美酒鑑評会では純米酒部門の大賞を受賞しました。
見学・購入
- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 直売所
- 直営店「道後一会」は水口酒造が手がける蔵元直売店&カフェバーで、日本酒やビールの購入・試飲ができるほか、蔵出しの酒やギフトを扱うショップ「にきたつ蔵部」を併設しています。道後温泉本館のそばには「道後BEER BAR」もあり、冷えた道後ビールや仁喜多津を味わうことができます。
- 補足
- 酒蔵見学は事前予約制で、製造時期ならではの現場の様子や新酒の試飲を楽しむことができます。団体での見学は問い合わせフォームから申し込みます。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 愛媛県松山市道後喜多町3-23
- 創業
- 1895年
- 公式サイト
- minakuchi-shuzo.jp
出典
japansake.or.jp / minakuchi-shuzo.jp / ehime-syuzou.com / iyokannet.jp / sakenomy.jp / maff.go.jp / hizouno-nihonshu.com / sakeguru.net / ja.wikipedia.org / prtimes.jp / sanyonews.jp / gourmetpress.net / nta.go.jp / city.matsuyama.ehime.jp / nikkei.com
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