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石蔵酒造

代表銘柄:博多百年蔵・如水

福岡県

FUKUOKA

石蔵酒造・博多百年蔵
石蔵酒造・博多百年蔵(2017年撮影)「Ishikura Brewery 20170603.jpg」 — 写真:そらみみ / CC BY-SA 4.0縮小・WebP変換

江戸時代後期に廻船問屋「石蔵屋」から清酒醸造を開始した、現在博多に唯一残る造り酒屋です。白壁の土蔵とレンガの煙突が特徴的な製造場・店舗は「博多百年蔵」の愛称で呼ばれ、敷地内の建物3件が国の登録有形文化財に登録されています。酒造りでは小仕込みや低温醸造を行い、昔ながらの槽(ふね)しぼりを続けています。代表銘柄には「博多百年蔵」のほか「如水」などがあり、福岡国税局や福岡県の酒類鑑評会などで金賞受賞歴があります。

また、酒蔵空間を活用したレストランやブライダル、宴会・貸ホール事業を展開しており、併設された製造直売所ではお酒の試飲や購入が可能です。

石蔵酒造の歩み

石蔵酒造のルーツは、黒田家の御用商人だった「石蔵屋」です。蔵元は、石蔵屋が黒田家の筑前入国に伴って博多に入り、そこから博多商人としての歴史が始まったと説明しています。江戸時代の石蔵屋は博多と壱岐・対馬を結ぶ廻船問屋で、壱岐・対馬から鯨油を買い付けて商っていました。江戸時代後期になって酒造りにも乗り出しましたが、始まりは商いの副業としての酒造りでした。

現在の酒蔵は、蔵元が石蔵屋の第2酒造場として明治3年(1870年)に建てたものと説明しています。第1酒造場は神屋町にありましたが、昭和20年の福岡空襲で焼け落ちました。第2酒造場にあたる現在の場所は空襲の被害を免れ、古い建物がそのまま残りました。白壁の土蔵にレンガの煙突が立つこの蔵は、「博多百年蔵」の愛称で呼ばれています。敷地内の主倉、事務所兼主屋、西倉及び旧精米所の3件は、2011年1月に国の登録有形文化財に登録されました。

蔵元は、幕末に福岡藩の加藤司書、長州藩の高杉晋作、薩摩藩の西郷隆盛の密約の場として奥座敷を提供した商家でもあったと伝えています。

かつて博多には10数軒の酒蔵がありましたが、日本酒の需要は昭和50年ごろをピークに年々減り、酒蔵は一軒また一軒と姿を消して、石蔵酒造が博多に唯一残る造り酒屋になりました。取引先だった町の酒屋がコンビニやドラッグストアに変わっていくなかで、会社を続けるために酒造りの規模を縮め、お客様の声に応えて事業を広げてきました。食事のできる場所がほしい、コンサートを開きたい、おいしいお酒と食事で結婚式をしたい、といった要望から、蔵を使った宴会・レストラン、貸しホール、ブライダルが生まれました。

現在の事業は清酒の製造のほか、リキュール・スピリッツの製造、酒類の小売、飲食・貸しホール、ブライダルなどにわたります。かつて日本酒の需要が落ち込んだ時期に想定以上の在庫を抱え、熟成の管理が難しくなった経験が、のちの醸造方針の転換につながりました。

2011年10月8日、博多百年蔵は漏電による火災で約1000平方メートルを焼失しました。負傷者や延焼はなく、蔵元は多くの励ましと支援を受けて復旧に取り組みました。2015年6月には敷地内4棟目となる新しい酒造場「白壁蔵」が竣工し、以後の酒造りはこの蔵が担っています。2020年には博多百年蔵が築150年を迎えました。2022年12月には櫛田神社の隣に姉妹店の宮前迎賓館 灯明殿が開業し、2023年5月から8月上旬にかけては博多百年蔵と、隣接する蔵元の旧邸宅を使った蔵元茶寮の改修工事を行いました。

代表取締役は石蔵利正氏です。

2010年ごろは、吟醸「如水」、大吟醸「祝いめでた」、純米酒「仙崖」、原酒「博多百年蔵」、ノンアルコールの甘酒、スパークリング清酒「あわゆら」を造っていました。現在は「百年蔵」の名を冠した純米大吟醸、大吟醸、純米吟醸と、「如水」「あわゆら」を中心にしています。

酒造りの特徴

現在の醸造方針は、小仕込みと通年醸造で常に新しい酒を届ける「フレッシュローテーション」です。仕込みは1回あたりの酒米の総量を800kg以内とし、効率よりも1本ずつの仕込みの温度管理を優先しています。蔵元は、熟成の妙を切り捨てた方針であることを認めたうえで、小さな酒蔵として満足してもらえる酒を出し続けるための選択だと説明しています。しぼりたての酒には若い酒ならではのフルーティーな香りとフレッシュ感があり、その状態で届けることを第一にしています。

2015年に稼働した白壁蔵は、酒蔵としては小さな建物ですが、タンクごとに温度を設定できるサーマルタンクや、冷房除湿機能を備えた上槽室を備えています。蒸した米の水蒸気を逃がす煙突を持ち、前面を漆喰で白く塗った蔵です。この設備によって夏でも適温を保ち、1年を通じて小さな仕込みを繰り返せます。もろみを搾る工程では、多くの蔵が使う圧搾機(通称ヤブタ)を持たず、酒袋にもろみを入れて搾る槽しぼりを続けています。水は敷地内の井戸から汲み上げる「千代の松原水」と呼ばれた地下水で、精密ろ過をして使っています。

酒米は糸島産の山田錦と、福岡生まれの夢一献を使っています。

看板商品の一つは「純米大吟醸 百年蔵」で、精米歩合40パーセントの山田錦100パーセントを長期低温発酵で醸した酒です。「大吟醸 百年蔵40」は糸島産の山田錦を40パーセントまで磨いた酒で、ラベルは「飲んだひとの心を明るく灯せますように」との願いからピンク色にしています。「純米吟醸 百年蔵 F44」は山田錦と夢一献を55パーセントまで磨き、福岡の限定酵母「44株」で醸した酒です。「吟醸 如水」は山田錦と夢一献を55パーセントまで磨いた低温発酵の吟醸酒で、日本酒度はプラス3のさっぱりとした辛口です。

「しぼりたて純米酒」は精米歩合70パーセントの生酒で、直売所では専用の冷蔵タンクから1本ずつ瓶詰めする量り売りもしています。スパークリング清酒「あわゆら」は福岡県が開発した「ふくおか夢酵母」で醸した、アルコール分7度の酒です。リキュールには、香料と着色料を使わずにあまおうを使った7度の「博多スパークリング あまおう」と、日本酒で仕込む梅酒があります。

令和2年の福岡国税局酒類鑑評会では、「純米大吟醸 百年蔵」が吟醸酒の部で金賞を受けました。福岡県酒類鑑評会では第9回(2021年)から第13回(2025年)まで毎回金賞に入り、「吟醸 如水」は5回続けて金賞です。「純米吟醸 百年蔵 F44」は第9回と第11〜13回、「純米大吟醸 百年蔵」は第11回で福岡県知事賞を受けたうえ第12・13回、「大吟醸 百年蔵」は第10回、「大吟醸 百年蔵40」は第11回に金賞でした。

Kura Master日本酒コンクールの純米酒部門では「純米吟醸 百年蔵 F44」が2021年から2025年まで5年連続で金賞、純米大吟醸酒部門では「純米大吟醸 百年蔵」が2023年に金賞です。ワイングラスでおいしい日本酒アワードのメイン部門では、「しぼりたて純米酒」が2020年と2023年に最高金賞、2021年・2022年・2024年・2025年に金賞で、ほかの銘柄も金賞に入っています。

蔵の発表では、日本酒仕込みの梅酒がKura Master梅酒コンクールで2023年に金賞、2024年にプラチナ賞(TOP銘柄)、IWCでは2023年と2024年に「純米吟醸 百年蔵 F44」が銅メダル、2025年に「吟醸 如水」が銀メダルです。

代表銘柄

博多百年蔵

「博多百年蔵」は蔵と直売所の施設名でもあり、石蔵酒造の酒の総称としても使われてきました。現行の「吟醸 如水」と「しぼりたて純米酒」のラベルには「博多百年蔵」の印字があり、通販には「博多百年蔵 あま酒」があります。2010年ごろには原酒にもこの名を付けていました。純米大吟醸などのラベルの大書きは「百年蔵」です。

如水

「如水」は、福岡藩祖・黒田如水(官兵衛)にちなんで命名された銘柄で、蔵元は2022年に「造り続けて40年以上」と語っています。「吟醸 如水」は山田錦と夢一献を55パーセントまで磨いた低温発酵の吟醸酒で、日本酒度はプラス3のさっぱりとした辛口です。福岡県酒類鑑評会では第9回から第13回まで毎回金賞に入っています。

見学・購入

蔵見学
なし
直売所
博多百年蔵に併設の製造直売所で、酒の試飲と購入ができます。営業時間は11時から17時、定休日は毎週火曜と1月1日から3日です。宴会がある日は18時30分まで営業します。
補足
製造場の見学は行っていません。直売所は個人の試飲と買い物を想定した売店で、10名以上の団体は事前の相談が必要です。直売所限定のしぼりたて純米酒は、しぼったままの生酒を専用の冷蔵タンクで貯蔵し、その場で1本ずつ瓶詰めして販売します。蔵に併設の披露宴・宴会場や貸しホールでは、食事やコンサートも楽しめます。2026年は2月27日から3月1日まで酒蔵開きを行い、新酒の販売や日本酒コーナーが設けられました。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
福岡県福岡市博多区堅粕1丁目30番1号

出典

fukuokanosake.com / sakedata.jp / 100nengura.com / ishikura-shuzou.co.jp / sakeworld.jp / crossroadfukuoka.jp / meigetsudo.co.jp / ichiro-ichie.com / data-max.co.jp / fukuoka-sake.org / nta.go.jp / bunka.nii.ac.jp

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