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吉田屋

代表銘柄:萬勝

長崎県

NAGASAKI

1917年創業

長崎県南島原市有家町にある合資会社吉田屋は、大正6年(1917年)に創業された酒蔵です。古くは醤油製造や煙草製造などを手掛けた歴史を持ち、大正6年の創業当初は「千代菊」の銘柄名でしたが、大正11年(1922年)に代表銘柄を「萬勝(ばんしょう)」へと改めました。仕込み水には雲仙の伏流水(自家井戸水)を使用し、全国的にも数少ない伝統技法「はねぎ搾り(撥ね木搾り)」で酒造りを行っています。巨木を用いたてこの原理で醪(もろみ)を優しく搾ることで、最後に残る嫌な味を搾り出さない「純」な味わいに仕上がります。

また、アベリアなどの「花酵母」を使用した酒造りにも積極的に取り組んでいます。主な受賞歴として、福岡国税局酒類鑑評会の吟醸酒の部・純米酒の部での金賞(平成21〜28年に計7回、令和3・4年にも受賞)や、「Kura Master 2023」純米酒部門でのBANG 純米酒のプラチナ賞、「Kura Master 2026」純米酒(精米歩合51〜65%)部門でのBANG 純米吟醸の金賞などがあります。

吉田屋の歩み

吉田屋は、長崎県島原半島の南部、現在の南島原市有家町にあたる地で続いてきた酒蔵です。吉田家の記録は江戸後期の天保14年(1843年)に吉田幸助が本家を相続したところまでさかのぼり、文久3年(1863年)には蝋絞りを始めました。明治3年(1870年)には醤油の仕込みを始め、同じ年に長崎の浦上村の片岡市兵衛から酒造稼ぎ高150石を譲り受けています。明治7年(1874年)は、石炭油の普及で蝋の商いが立ち行かなくなったことから酒造りを思い立ち、清酒70石を造りました。

明治10年(1877年)には清酒100石に達し、その後も年々石数を増やしています。明治21年(1888年)には、本家九代目の吉田千代吉が煙草の製造を始め、明治28年(1895年)には日清講和条約の締結を祝う記念巻き煙草「PEACE」を発売しました。明治38年(1905年)に煙草製造が政府の専売となって休業した後は、有家銀行(後に十八銀行へ統合)の共同設立にも加わっています。

大正6年(1917年)、千代吉が「酒造 吉田屋」を創業しました。初年度は300石を造ったものの得意先が一軒もなく、ほとんどを持ち越したといいます。ところが大正7年(1918年)11月に酒不足で値が上がり、2年分の在庫を売却して繁盛しました。酒蔵を新築し、大正8年(1919年)には600石、大正9年(1920年)には900石余りを造っています。創業以来、銘柄は千代吉と妻の菊の名から「千代菊」としていましたが、すでに他で登録されていたため、大正11年(1922年)1月に「萬勝」へ改め、商標登録しました。

以来、萬勝が吉田屋の代表銘柄です。

昭和19年(1944年)11月21日、第二次世界大戦の空襲で爆弾の直撃を受け、酒蔵と住宅の全てが被害を受けました。奇跡的に全壊は免れ、修理のうえで辛くも酒造りを再開しています。昭和22年(1947年)11月1日には合資会社に組織替えをしました。戦後しばらくは、有家の桜町で「八千代喫茶店」を開いて営業した時期もあります。有家町にはかつて酒蔵が2軒、味噌蔵が4軒、そうめん蔵が300軒以上ありましたが、吉田屋はそのなかで戦災に耐えた蔵のひとつです。

現在の蔵元は四代目の吉田嘉明さんです。蔵に戻った当時は機械製造が主流で、地元向けの普通酒だけを造り、造るたびに売れ残る状態でしたが、蔵に残っていた「はねぎ」の装置に着目し、記録も記憶もわずかな状態から試行錯誤を重ねて、伝統の「はねぎ搾り」を復活させました。地域に酒蔵があることがあまり知られていないと気づいた嘉明さんは、有家町で蔵の町保存会を立ち上げ、各蔵を周遊して見学や買い物を楽しめるイベント「蔵めぐり」を開催しています。

酒蔵の中で音楽を楽しむ「酒蔵コンサート」を開き、直売所や、酒蔵の奥座敷の八千代喫茶店も整えました。

五代目の吉田嘉一郎さんは茨城県の来福酒造で3年間修業し、2021年に吉田屋で酒造りを始めました。杜氏として新ブランド「BANG」を手がけ、翌2022年4月に発売しています。吉田屋は2023年8月に、敷地内へ蔵カフェ「cafe kULa」をグランドオープンしました。

酒造りの特徴

仕込み水には、雲仙の伏流水が湧き出る自家井戸の水を使います。酵母は、東京農大が花から分離した花酵母です。一般に清酒酵母は酒のもろみから分離されてきましたが、吉田屋は天然の花酵母を使った日本酒を醸しています。純米吟醸の「はねぎ搾り 萬勝」と純米大吟醸の「清泉石上流」にはアベリアの花酵母を使っており、BANG 純米大吟醸もアベリア酵母です。一方、BANG 純米吟醸にはオシロイバナの花酵母を使い、濃厚な味わいに仕上げています。

搾りは「はねぎ搾り」です。「撥ね木」と呼ばれる約8mの巨木を使い、てこの原理でもろみに圧力をかけて搾る昔ながらの方法で、全国でも数えるほどしか残っていません。大きく深い槽に酒袋を敷き詰めるのも、撥ね木を動かす阿弥陀車の操作も、1つ16kgの重石を最大60個吊るしていくのも、すべて手作業です。酒袋は軽すぎると搾れず、重すぎると破れるため、職人の経験と感覚が頼りになります。機械のように搾り切らないことで、最後に残る雑味を搾り出さない、「純」な味わいになります。製造数量は90石と小さな酒蔵です。

吉田屋は甘酒でも知られます。もともと麹の出来を見るために酒造りの工程で造っていた甘酒を商品にしたのが「百年甘酒」です。甘酒瓶1本ずつに麹と仕込み水を入れ、約12時間かけて糖化させる米麹だけの無添加のノンアルコール甘酒で、麹の粒感が残ります。島原半島大会、全国大会を勝ち抜き、「にっぽんの宝物グランプリ」2018年の世界大会で最優秀賞を受賞しました。ほかに日本酒ベースの梅酒「歌酒」も造っています。

賞歴では、福岡国税局が管内(福岡・佐賀・長崎)の清酒を対象に開く酒類鑑評会で、平成21年から28年にかけて純米酒の部で5回、吟醸酒の部で2回、令和3年と4年にも吟醸酒の部で金賞を受けています。出品銘柄は普賢の夢や清泉石上流などです。全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度以降に限ると3回入賞しています。開催年でいえば平成26年・平成28年・令和6年で、いずれも出品商標は清泉石上流です(平成28年と令和6年は萬勝と併記)。

フランスのKura Masterでは、2023年に純米酒部門でBANG 純米酒がプラチナ賞、2026年に純米酒(精米歩合51〜65%)部門でBANG 純米吟醸が金賞を受賞しました。IWC 2023のSAKE部門では、BANG 純米大吟醸が純米大吟醸の部でCommendedを受けています。

代表銘柄

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萬勝

萬勝は大正11年(1922年)に商標登録された、吉田屋の代表銘柄です。はねぎ搾りで搾り、花酵母で醸します。純米吟醸酒の「はねぎ搾り 萬勝」は、五百万石を60%まで磨き、アベリア酵母で仕込んだアルコール度数15度の酒です。香りが華やかで辛口ながら、口に含むと甘みを感じ、女性に人気があります。純米酒の「はね木搾り 萬勝」は、食事の邪魔をせず飲み飽きない、すっきり辛口のタイプです。

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見学・購入

蔵見学
あり(要事前確認)
直売所
酒蔵内に直売店があり、日本酒や百年甘酒を購入できます。蔵の営業時間は9時から17時で、毎週火曜が定休日です。敷地内には蔵カフェのcafe kULaもあり、こちらの営業時間と定休日は蔵とは別です。
補足
酒蔵の見学を受け付けており、事前の予約が必要です。明治から平成まで使われてきた蔵の雰囲気を味わえるほか、レトロな車やバイク、レコード機器の展示もあります。見学の相談は、蔵の電話0957-82-2032へお問い合わせください。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
長崎県南島原市有家町山川785
創業
1917年
公式サイト
bansho.info

出典

sakenomy.jp / pon.sh / oishii-minamishimabara.jp / bansho.info / sakagura-press.com / doyu.jp / stores.jp / kuramaster.com / nta.go.jp / nrib.go.jp / makuake.com / furunavi.jp / nagasaki-press.com / nagaoshi.pref.nagasaki.jp / saketime.jp / nagasaki-search.com

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