中野酒造
代表銘柄:ちえびじん・智恵美人
大分県
OITA
1874年創業
明治7年(1874年)に創業された大分県杵築市の酒蔵です。代表銘柄の「智恵美人」は、初代女将「智恵」の名にあやかり命名されました。伝統的な「智恵美人」に加え、現代の6代目が特約店や海外向けに立ち上げたひらがな表記のブランド「ちえびじん」を展開しています。
仕込み水には、地下200mから組み上げる天然水(モンドセレクション最高金賞の受賞歴あり)を使用し、主に地元産のお米を用いた地産地消の酒造りを行っています。また、蔵内にはモーツァルトのクラシック音楽を流して発酵を見守るという特徴的な醸造環境を取り入れています。
2018年には、フランスで開催された日本酒コンクール「Kura Master 2018」において、「ちえびじん 純米酒」が全出品酒の頂点である最高賞(プレジデント賞)を受賞するなど、国内外で高い評価を得ています。
中野酒造の歩み
中野酒造は、現在の大分県杵築市にあたる地で明治7年(1874年)に創業しました。杵築は江戸時代に杵築藩の城下町として栄え、高台の武家屋敷と谷あいの商人町を組み合わせた「サンドイッチ型城下町」として知られる土地です。かつては杵築の町にも複数の酒蔵が軒を連ねていましたが、時代とともにその数は減り、現在この地で酒造りを続けているのは中野酒造だけとなっています。代表銘柄「智恵美人」は、初代女将「智恵」の名にちなんで名付けられました。
現在の代表取締役である6代目・中野淳之さんは1979年生まれで、奈良県橿原市の出身ですが杵築で育ちました。東京農業大学の醸造学科を卒業した後、大阪の酒類卸売会社で酒の商いを約5年間経験し、2007年に家業へ入りました。高度経済成長期以降の日本酒需要の落ち込みで蔵の経営は厳しく、平成に入ってからは紙パック酒「豊後の鬼ころし」をコンビニ向けに発売して一時的に立て直しましたが、大手との競争が激しくなり長くは続きませんでした。
中野さんが蔵に戻った当初は、どの酒が売れ、飲み手にどう評価されているのかもわからない状態が続いていました。
そこで中野さんは、問屋を介さず酒販店と直接取引する新ブランドとして、2009年ごろにひらがな表記の「ちえびじん」を立ち上げました。第一号は山田錦を使った純米吟醸酒で、販売実績のないところから一升瓶300本分という小さな仕込みで始まりました。首都圏の地酒販売店を一軒ずつ回ると、「100点満点で70点、まだまだだけどがんばれ」と励まされながら扱ってくれる店が見つかり、この300本は完売しました。知名度と売り上げは2~3年目から上向き、洗米や麹づくり、醪や搾りの温度管理を一つずつ見直しながら酒質を磨いていきました。
2015年、中野さんは代表取締役(6代目)に就任しています。
「ちえびじん」は2018年、フランスで開催された日本酒コンクール「Kura Master 2018」で大きな評価を受けます。257蔵・650銘柄が出品された中、精米歩合70%の「ちえびじん 純米酒」が、精米歩合50%以下の純米大吟醸酒を抑えて全出品酒の頂点であるプレジデント賞を受賞し、審査会場にはどよめきが広がりました。同じ年、「ちえびじん 純米大吟醸 山田錦」も純米大吟醸&純米吟醸酒部門でプラチナ賞を受けており、プレジデント賞は純米酒部門のプラチナ賞受賞酒の中からさらに選ばれる最高賞です。
また2018年には、ブリュッセル国際コンクールの日本酒部門として新設された「SAKE selection 2018」でも、純米大吟醸酒部門で「ちえびじん 純米大吟醸 山田錦」が、純米吟醸酒部門で「ちえびじん 純米吟醸 山田錦」がそれぞれゴールドを受賞しました。翌2019年のKura Masterでは「ちえびじん 純米酒」と「ちえびじん 純米吟醸山田錦」がそろって純米酒部門で金賞を受賞し、2020年と2021年にプラチナ賞、2022年にプラチナ賞と金賞を受けています。
2023年には日本酒の「ちえびじん 純米吟醸山田錦」と本格焼酎「ちえびじん本格焼酎」がそろって金賞となり、2024年には純米酒部門で、2026年には純米酒(66-100%)部門で金賞を受賞しました。この間の2016年には、著名なワイン評論家が約800種類の純米大吟醸・純米吟醸の中から選んだ78アイテムに「ちえびじん 純米吟醸 山田錦」が入り、パーカーポイント90点の評価を得ています。
「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」でも2022年と2024年にプレミアム純米部門で「ちえびじん 純米吟醸山田錦」が金賞を受賞しました。国際的な品評会ではIWC(インターナショナルワインチャレンジ)で2020年に「ちえびじん純米大吟醸山田錦」がシルバー、2025年に「ちえびじん 純米酒」がシルバー、2026年には同SAKE部門(純米酒)でトロフィー賞を受賞しています。
全国新酒鑑評会にも、法人名「有限会社中野酒造」の名義で古くから出品しています。「智恵美人」は平成15酒造年度に入賞し、平成16酒造年度から平成18酒造年度にかけては3年連続で金賞を受賞しています。その後、「ちえびじん」の名義でも平成29酒造年度、令和3酒造年度、令和5酒造年度に入賞しました。
酒造りの特徴
仕込み水には、蔵の地下200mから汲み上げる「六郷満山の御霊水」を使用しています。この水は国際的な品評機関モンドセレクションで3年連続最高金賞を受賞し、インターナショナル・ハイクオリティー・トロフィー(国際最高品質賞)も獲得しています。原料米は主に地元産のものを用い、なかでも杵築市山香町で栽培された米を中心に使っています。安心院地区の農家と協力し、学生が田植えから稲刈りまでを体験してその年の酒を仕込むイベントを、2019年時点で17年にわたり続けてきました。
「智恵美人」と「ちえびじん」は同じ蔵で醸されながら、目指す酒質を書き分けています。「智恵美人」は純米大吟醸から純米酒、貴醸酒まで揃い、地元の甘めの味付けの料理に合わせて、しっかりとした甘味と旨味を持たせた酒質に仕上げられ、冷やから熱燗まで幅広い温度で楽しめます。一方「ちえびじん」は、代表酒「ちえびじん 純米酒」が精米歩合70%であっても綺麗な酒質とキレのあるのど越しを目指すなど、柔らかくフルーティーな含み香を大切にした食中酒として造られています。ワイングラスで楽しんでもらうことを意識した酒質です。
「ちえびじん」には杜氏を置かず、中野さんと同級生の前原正晴さんの2人を中心に、若手の蔵人だけで醸造にあたっています。蔵の中では発酵中の酵母の働きを助けるとの考え方から、モーツァルトなどのクラシック音楽を24時間365日流しながら仕込みを見守っています。
日本酒に加えて焼酎やリキュールも手がけており、紅茶リキュールやレモンリキュールのほか、梅と紅茶を組み合わせた「紅茶梅酒」は海外で特に人気の高い商品です。酒粕を使った化粧品や食品の開発にも取り組み、出荷量の一部は台湾や中国、オーストラリア、アメリカ、フランスなど海外にも広がっています。
代表銘柄
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ちえびじん
6代目・中野淳之さんが問屋を介さず酒販店と直接取引する新ブランドとして、2009年ごろに立ち上げた銘柄です。代表酒「ちえびじん 純米酒」は地元杵築産のヒノヒカリを用い、精米歩合70%ながら綺麗な酒質とキレのあるのど越しを目指しています。純米大吟醸から純米酒まで幅広い商品があり、柔らかくフルーティーな含み香を大切にした食中酒として、ワイングラスでの提供を意識しています。2018年のKura Masterで最高賞のプレジデント賞を受賞して以降も、国内外の品評会で継続的に評価を受けています。
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明治7年の創業時、初代女将「智恵」の名にちなんで名付けられた、蔵に代々受け継がれる伝統銘柄です。純米大吟醸・純米吟醸・純米酒・貴醸酒まで揃い、なかでも精米歩合70%程度の純米酒は地元の甘めの味付けの料理に合わせたしっかりとした甘味と旨味が特徴です。落ち着いた香りで、冷やから熱燗まで幅広い温度で楽しめる、地元流通を担う食中酒です。2011年には「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」で純米吟醸が、2019年にはKura Masterで純米大吟醸が、それぞれ金賞を受賞しています。
見学・購入
- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 直売所
- 蔵の直売店で酒類を販売しています。営業時間は月曜から金曜と第1・第3土曜の9時から16時30分で、日曜・祝日と第1・第3以外の土曜は休業です(2025年7月1日改定)。
- 補足
- 蔵見学は完全予約制で、希望日の2営業日前までの連絡が必要です。見学時間は約15分で、繁忙期にあたる12月は基本的に受け付けていません。試飲を希望する場合は申し込み時に伝えることができます。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 大分県杵築市大字南杵築2487-1
- 創業
- 1874年
- 公式サイト
- chiebijin.com
出典
oita-sake.or.jp / sakenomy.jp / jizake.com / chiebijin.com / jetro.go.jp / sake-times.com / kuramaster.com / jozo.or.jp / kunisaki-usa-giahs.com / city.kitsuki.lg.jp / nrib.go.jp
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