三和酒類
代表銘柄:和香牡丹
大分県
OITA
1958年創業
三和酒類株式会社は、1958年(昭和33年)に大分県宇佐市の地元の酒蔵3社が参加して清酒の共同瓶詰場として設立された総合醸造企業です(翌年さらに1社が加入し、1972年に4社が企業合同しました)。設立時に赤松本家酒造の既存銘柄を統一銘柄とした「和香牡丹(わかぼたん)」は、同社の酒造りの原点であり、八幡社の総本宮である宇佐神宮の御神酒としても用いられています。麦焼酎「いいちこ」の製造元として広く知られる一方、日本酒醸造部門である「虚空乃蔵(こくうのくら)」にて手造りを大切にした高品質な清酒製造を行っています。
地元宇佐産の食用米「ヒノヒカリ」や兵庫県産の「山田錦」などを原料米に使用し、食事に寄り添う旨味や米の個性を生かした酒造りが特徴です。国内外の品評会で高く評価されており、「全米日本酒歓評会」でのグランプリや金賞、「全国燗酒コンテスト」や「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」での最高金賞、「全国新酒鑑評会」での金賞受賞など、多数の受賞実績を持っています。
三和酒類の歩み
三和酒類は、1958年(昭和33年)9月5日に設立されました。もとは清酒の会社で、同年10月に清酒蔵置場(共同瓶詰場)の設置許可を受け、赤松本家酒造株式会社、熊埜御堂酒造場、和田酒造場の3社が参加しました。最初の清酒貯蔵庫が建てられたのは和田酒造場の敷地で、本社は宇佐郡駅川町大字山本に置かれました。4社はそれぞれ銘柄を持っていましたが、当時この界隈で最も知られていた赤松本家酒造の「和香牡丹」を統一銘柄としました。1959年9月に西酒造場が加わり、1972年10月に4社は企業合同しています。
和香牡丹は、八幡社の総本宮である宇佐神宮の御神酒としても振る舞われてきた酒で、三和酒類はそのお膝元で酒造りを続けています。本醸造の和香牡丹には、兵庫県の但馬杜氏の知識や経験を取り入れて醸された味わいが受け継がれています。1995年には、宇佐市安心院町の福貴野の滝をイメージした辛口の「福貴野」を発売し、地元で親しまれています。日本酒の蔵元として始まった同社は、1974年に果実酒「アジムワイン」、1979年2月に麦焼酎「いいちこ」を発売して、いまは本格麦焼酎が売り上げの中心です。
1989年4月には山本に日本酒醸造場を新設し、清酒・果実酒の製造免許を山本工場へ移転する許可を受けています。
2010年代には清酒蔵の改革が進みました。2014年に本社の清酒醸造場をリニューアルし、これを機に杜氏制を改めて、若手を含む全員で話し合って造る合議制に切り替えています。清酒部門の呼び名は「虚空乃蔵」で、本社のある宇佐市山本にかつてあった古代寺院、虚空蔵寺にちなみます。鑑評会での入賞を目標とする造りから、宇佐産のヒノヒカリや契約栽培の雄町を使い、地域に親しまれる酒を目指す方針に移り、以前は生産量の9割を本醸造と普通酒が占めていましたが、純米酒が約3割まで増えました(2019年時点)。
2020年3月には宇佐市が、全国で初めて清酒の製造体験を通じた地域活性化を図る「宇佐のうまい酒 製造体験特区」の認定を受け、2022年5月28日、旧本社跡地の宇佐市辛島に体験施設「辛島 虚空乃蔵」が開業しました。
全国新酒鑑評会には、平成14酒造年度以降だけで8回入賞しています。金賞は平成15・18・20・22・24の各酒造年度と令和6酒造年度の6回で、平成16・19酒造年度は入賞でした。入賞した酒の銘柄はいずれも「和香牡丹」です。熊本国税局の酒類鑑評会では、平成14年と15年は清酒の部で、平成20年は熊本酵母吟醸酒の部で入賞し、平成23・24・25・26・28・29・30年と令和2・4・5・6年の11回は、熊本酵母吟醸酒の部で優等賞に選ばれました。
国内外のコンテストでも評価されています。ワイングラスでおいしい日本酒アワードでは、2020年に「和香牡丹 純米吟醸 ヒノヒカリ50」がプレミアム純米部門で同社初の最高金賞を受け、2025年は「天衣 スパークリング」がプレミアムスパークリングSAKE部門で、2026年は「宵花」がプレミアム純米部門で最高金賞に選ばれました。全米日本酒歓評会では、2021年度に「山田錦50」が吟醸部門のグランプリに輝いています。
全国燗酒コンテストでは、本醸造和香牡丹が2020年にお値打ち熱燗部門で、「福貴野」が2024年にお値打ちぬる燗部門で最高金賞を受賞しました。フランスのKura Master 2022では、「純米雄町」と「純米福貴野」がプラチナ賞でした。ほかにワイングラスアワードで2019年から2021年と2024年に、全国燗酒コンテストで2019年と2024年に金賞を受けています。
酒造りの特徴
清酒の造りは、宇佐市山本の本社敷地にある清酒蔵「虚空乃蔵」で行っています。麹を極め、さらに上質な酒をつくりたいという思いから、人の感性や手仕事を基本とする酒造りの原点に立ち返り、温度や湿度のきめ細かな調整、衛生管理といった人の力だけでは難しい部分に最新設備を導入しました。設備は、効率化のためではなく、手をかけるためのものと位置づけられています。杜氏は置かず、チームで話し合いながら造ります。2019年時点では、製造チームは6人、清酒の生産量は約250石で、設備は2,000石を造れる規模でした。
このころには製麹機をやめて手作りの麹造りに切り替えており、吟醸と大吟醸の麹には衣装ケースに麹を入れて密閉し温度を上げる「ケース麹」を採用していました。洗米は一度に30kgから10kgに減らし、洗米後にシャワーで糠をすすぐ工程を加え、搾った酒は直接サーマルタンクへ移してマイナス5℃で保管していました。
主役の米は、宇佐産の食用米ヒノヒカリです。酒造用の米と違って心白がなく溶けにくいため、「和香牡丹 純米吟醸 ヒノヒカリ50」が理想とする酒質にたどり着くまでに約4年を要しました。決め手の一つは、他の蔵元に教わった、洗米後に糠を丁寧にシャワーで洗い流す工程です。酒米には兵庫県産の山田錦を使い、雄町は宇佐市で契約栽培しています。「宵花」には、宇佐市安心院町大見尾で契約栽培したヒノヒカリを使います。酵母は銘柄に合わせて使い分け、熊本酵母やきょうかい酵母のほか、自社で選抜した酵母も用います。
銘柄ごとに造りも違います。本醸造和香牡丹は、ヒノヒカリを65%まで精米し、麹は総ハゼに仕上げ、仕込水を少なめにして麹の酵素活性を高めます。約20日間発酵させ、搾ったあとも生酒の状態で30日以上タンクで貯蔵します。「福貴野」は、通常より長期間しっかり発酵させて後味のキレを出した純米酒です。「八蝶」のうち山田錦は、総破精気味の突き破精の麹で低温長期発酵させてアルコール度数15%で搾り、ヒノヒカリは力価の高い麹を使って酸味と甘味の均衡を引き出し、14%で搾ります。どちらも搾りたての原酒を瓶に詰めてから火入れします。
最高級ラインの「秘宝」では、「秘宝R」が山田錦を35%まで磨き、麹蓋で麹を造り、酒母と醪を低温で管理します。「秘宝E」は、白麹の酒母を加える四段仕込みと、酒粕をマイクロ波蒸留して得た吟醸香を含む醸造アルコールの添加で、濃厚な甘みと華やかな香りを両立させました。「天衣 スパークリング」は、リンゴ酸高生産酵母と焼酎造りで使う白麹で酸味をしっかり出し、瓶内二次発酵で泡立ちを整えます。
辛島 虚空乃蔵の清酒醸造場は、1回の仕込みが総米75kg、720mlで約160本という極小規模で、麹も酛も造りの工程もすべて手作業です。限定酒「和香牡丹 輪奏」として、原料や酵母、製法を変えたロットを四季を通じて醸しています。2023年には、自社で選抜した酵母を使った純米大吟醸と、山田錦100%の純米大吟醸を、袋吊りのしずくしぼりで数量限定発売しました。ここでの新商品開発の成果は、三和酒類全体の日本酒造りに還元していく方針です。
代表銘柄
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和香牡丹
和香牡丹は、1958年に清酒の共同瓶詰場が発足するにあたり、赤松本家酒造の銘柄を統一銘柄としたものです。宇佐神宮の御神酒としても振る舞われてきました。いまは虚空乃蔵が、ヒノヒカリの本醸造や福貴野、ヒノヒカリと山田錦で造り分ける八蝶、最高級ラインの秘宝、スパークリングの天衣、果実味の宵花などを醸し、ワイングラスでおいしい日本酒アワードの最高金賞も受けています。
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- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 直売所
- 辛島 虚空乃蔵の売店(大分県宇佐市辛島4-3)で、限定酒の和香牡丹 輪奏や三和酒類のお酒、おつまみを販売しています。併設の一角Barでは日本酒のきき酒を楽しめます。営業は10時から17時、定休日は毎週水曜日(祝日の場合は営業)、盆、年末年始です。
- 補足
- 辛島 虚空乃蔵の酒蔵見学は平日限定で、1日2組(1組5名まで)、無料です。清酒づくりの体験や、蔵塾のワークショップもあります。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 大分県宇佐市大字山本2231番地の1
- 創業
- 1958年
出典
oita-sake.or.jp / sanwa-shurui.co.jp / sake-times.com / sakenomy.jp / saketime.jp / prtimes.jp / sakejump.com / iichiko.co.jp / yamashiroya.biz / shokuhin.net / nrib.go.jp / nta.go.jp
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