藤市酒造
代表銘柄:菊鷹・尾州壽
愛知県
AICHI
1872年創業
1872年(明治5年)創業。愛知県稲沢市(旧美濃路の稲葉宿)に位置し、木曽川の良質な伏流水を仕込み水として使用した酒造りを行っています。代表銘柄は「尾州寿(びしゅうことぶき)」で、本みりん「瑞豊」の銘柄もあります。
2012年(平成24年)に杜氏として就任した山本克明氏のもと、休眠していた銘柄「菊鷹(きくたか)」を限定流通酒として復活させ、酸のある味わいで評判を呼びました。山本氏は平成30酒造年度をもって佐賀県小城市の光栄菊酒造へ移り、「菊鷹」の製造は終了しました。その後は蔵元が造りを担い、「尾州寿」などの酒造りを続けています。
藤市酒造の歩み
藤市酒造は1872年(明治5年)の創業で、現在の稲沢市稲葉にあたる地に蔵を構えています。この一帯は江戸時代に美濃路の宿場、稲葉宿として栄えた場所で、蔵は美濃路に面し、国道から一本入った古い町並みの一角にあります。稲沢市は国府宮神社の儺追神事、通称はだか祭りで知られ、蔵の「なおい」はこの神事にちなんで名付けられた銘柄です。蔵の看板には清酒のほか、焼酎、味醂、ポートワインの文字が並びます。本みりん「瑞豊」は愛知県酒造組合の蔵元紹介でも代表酒に挙がる銘柄で、味醂はかつて地元向けに盛んに造られていました。
蔵元は、味醂造りは昔のことだと話しています。清酒の代表酒は「尾州ことぶき」と「なおい」です。
大きな転機は2012年でした。当時専務を務めていた加藤豪氏が、山廃造りの経験がある杜氏を探していました。藤市酒造は以前から山廃の酒を手がけており、そこへ縁あって迎えられたのが、大阪の天野酒で知られる西條合資会社で頭を務めていた南部杜氏の山本克明氏です。山本氏は滋賀県の池本酒造で能登杜氏のもとで学び、大阪の蔵では南部杜氏のもとで技を磨いた人で、2004年には責任仕込みの「山本スペシャル」を世に出して熱心なファンを集めていました。山本氏は平成24酒造年度(2012〜13年)から杜氏を務めました。
山本氏が最初に手がけたのが、蔵がかつて使い、当時は休眠していた銘柄「菊鷹」の復活です。限定流通酒として平成24酒造年度に世に出た菊鷹は、山本氏の造る酸のある味わいが評判を呼び、日本酒好きの間で知られる存在になりました。最初の年には、無添加酵母仕込みの山廃本醸造「比翼」、K-7酵母の山廃純米おり絡み「雌伏」、静岡系酵母の山廃純米吟醸「雄飛」が造られました。初期の菊鷹は山廃酒母で仕込まれましたが、のちに速醸酒母へ切り替わった商品もあり、愛好家の間では山廃時代を惜しむ声が上がりました。
2014年2月の時点で、菊鷹の発売は2年目を迎えていました。
山本氏は平成30酒造年度(2018〜19年)の造りを最後に藤市酒造を離れ、2006年に廃業した後に復活した佐賀県小城市の光栄菊酒造へ杜氏として移りました。光栄菊酒造は2019年12月に復活第一弾の酒を出しています。藤市酒造では他の杜氏のもとで菊鷹を造る予定はなく、菊鷹の醸造は平成30酒造年度で終わりました。
山本氏が離れたあと、藤市酒造は「尾州壽」(尾州寿、尾州ことぶき)の造りを続けています。2023年ごろには、その期は酒を造る予定がなかったところに藤市酒造のファンが集まり、愛好家がボランティアで蔵人を務め、蔵元が杜氏を担って小仕込みのタンク2本を仕込みました。令和3酒造年度以降の尾州壽はこの流れの中で出回っており、令和5酒造年度、令和6酒造年度の酒も確認されています。
酒造りの特徴
蔵のある稲沢市は、木曽川・長良川・揖斐川がつくった濃尾平野に位置します。5メートルも掘れば砂地層に当たるという水の豊富な土地で、仕込みには木曽川の良質な伏流水を使っています。蔵には、頑丈な太い梁が見える、創業当時のものと伝わる建物があります。
2014年2月の時点で、菊鷹は山廃酒母で仕込まれていました。使う米は兵庫県産の山田錦(特等米)、富山県産の五百万石、兵庫県産の夢錦とフクノハナ、愛知県産の若水で、酵母は協会7号、静岡酵母、熊本酵母(協会9号)、協会8号を使い分けていました。この年は仕込み本数を増やし、菊鷹の石高は30石ほどでした。山本氏が来る前の蔵は火入れの酒しか造っていませんでしたが、前の年から生酒を造り始め、この年には氷温貯蔵できる冷蔵庫も設置しています。
平成30酒造年度には、雄山錦を70%まで磨いた山廃本醸造の無濾過生も造られました。
尾州壽は、令和3酒造年度以降、愛知県産の夢吟香を精米歩合65%で使い、アルコール度数17度に仕上げた純米無濾過生酒が出ています。協会7号酵母や金沢系の酵母による仕込みのほか、亀の尾を使った仕込みもあり、亀の尾や夢吟香を使った酒には酸度2.6の仕様のものがあります。
代表銘柄
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菊鷹
山本克明氏が平成24酒造年度から平成30酒造年度まで藤市酒造で醸した限定流通酒です。蔵がかつて使っていた銘柄を復活させたもので、山本氏の造る酸のある味わいが評判を呼びました。初期は山廃酒母で仕込まれ、平成25酒造年度には山田錦や若水など複数の米と、協会7号や8号、静岡酵母、熊本酵母を使い分けていました。のちに速醸酒母へ切り替わった商品もあります。平成30酒造年度を最後に醸造は終わっています。
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山本氏の着任前から藤市酒造で造られてきた地元の銘柄で、「尾州ことぶき」の名でも知られる蔵の代表酒です。令和3酒造年度以降は、愛知県産の夢吟香を精米歩合65%で使った純米無濾過生酒が出ており、アルコール度数は17度です。協会7号酵母や金沢系の酵母、亀の尾を使った仕込みがあり、酸度2.6の仕様の酒もあります。
見学・購入
- 直売所
- 蔵元(稲沢市稲葉3丁目4-30)
- 補足
- 蔵は旧美濃路に面した古い町並みの中にあります。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 愛知県稲沢市稲葉3-4-30
- 創業
- 1872年
出典
aichi-sake.or.jp / sake-times.com / akisada.jp / roman-atumi.com / ameblo.jp / saketime.jp / morohaku.jp / jp.sake-times.com / nobori-sake.com / kansai-u.ac.jp / kadoyasake.com / houjin-bangou.nta.go.jp / inazawa-kankou.jp / sake-sin.blog.ss-blog.jp / nta.go.jp / nrib.go.jp
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