山口
代表銘柄:会州一・儀兵衛
福島県
FUKUSHIMA
1643年創業
寛永20年(1643年)創業。江戸時代には会津藩の御用酒屋を務めた歴史を持ち、会津で最も古い酒蔵とされる。銘柄名「会州一」は「会津で一番の酒」という由来を持ち、古くから地域で愛されてきた。
2005年に関連会社の経営悪化により蔵を手放す事態となり、2006年春に一時休業したが、存続を望む地元市民やファンの声に後押しされて2007年に酒造りを再開した。
再開に際し、かつて約1,500坪あった敷地から現在は約60坪という非常にコンパクトな酒蔵へと刷新。限られたスペースの中で計算し尽くされた動線と設備を取り入れ、小規模かつ丁寧な酒造りを行ってきた。酒米には「山田錦」「雄町」のほか地元の「夢の香」などを使用し、原料や酵母、精米歩合を一から徹底的に見直した結果、再開後も全国新酒鑑評会で金賞を受賞するなど高い評価を得ている。
2025年11月には、設備の老朽化と酒米価格の高騰により、その冬の仕込みを見送る方向であることが報じられた。
山口の歩み
山口は寛永20年(1643年)に創業した、会津でも屈指の古い歴史を持つ酒蔵です。初代の儀兵衛は、保科正之が会津に移封された際に一緒に会津へ入り、酒造りを始めました。以来、会津藩の酒造総取締の任を長く務め、江戸時代には会津藩御用の酒屋でした。銘柄の「会州一」は、「会津で一番の酒」という意味を込めた名前です。
蔵の説明では、昭和初期の全国清酒品評会で1位に輝いたことがあります。戦時中は企業統合を経験し、戦後に山口合名会社となりました。昭和30年代を最後に休んでいた吟醸造りはのちに再開されました。かつては1,500坪ほどの広い敷地があり、最盛期には11の蔵で醸造していました。旧蔵は平成10年に会津若松市の歴史的景観指定建造物に指定されました。
転機は平成17年(2005年)に訪れました。関連会社である温泉ホテルの経営が行き詰まり、担保になっていた蔵を手放すことになったのです。15代目の山口佳男さんは酒造りをやめるつもりですべてを整理し、蔵の解体もほぼ決まっていました。そこへ、歴史ある建物を残して酒造りも続けてほしいという地域の声が寄せられました。平成18年(2006年)春に一時休業となったのち、2007年秋に規模を縮小して事業を再開しました。2年ほどの休業をはさんで、敷地は約60坪にまで小さくなりました。
休業前から新酒鑑評会の入賞常連で、全国新酒鑑評会には平成14・15酒造年度に入賞し、平成17酒造年度には金賞を受けています。再開後は、平成21酒造年度の金賞を皮切りに、平成22・28酒造年度の入賞、平成23〜25酒造年度の3年連続金賞、令和4・5酒造年度の2年連続金賞と続きました。平成14酒造年度以降の入賞は計11回で、うち金賞は平成17・21・23・24・25酒造年度と令和4・5酒造年度の7回です。
再開から3年目の2010年には、全国新酒鑑評会(平成21酒造年度)の金賞に続いて福島県知事賞も受賞し、「会州一復活」は確かなものになりました。福島県の春季・秋季鑑評会では、平成24年9月に煌酵母の部で県知事賞、令和4年9月にも儀兵衛が煌酵母の部で県知事賞を受賞しました。金賞は、平成24年秋から令和7年春までに、吟醸酒の部・純米酒の部・煌酵母の部で計16点を受けています。東北清酒鑑評会(仙台国税局)では、平成25年の吟醸酒の部、平成26年の純米酒の部、令和4年の純米酒の部(儀兵衛)で優等賞に選ばれました。
東日本大震災や令和元年の台風19号による原料米の水没にも耐えて、酒造りを続けてきました。2025年11月時点では、設備の老朽化と酒米価格の高騰が重なり、その冬の仕込みを見送る方向でした。蔵は15代蔵元の山口佳男さんが妻と二人で営んでおり、来季の醸造は未定とされていました。
酒造りの特徴
再開にあたって蔵の敷地は約60坪になり、実際に酒造りに使う面積は事務所や駐車スペースを除いた45坪ほどです。スーパーマーケットの敷地内にある、一見すると倉庫のような蔵で、社長の山口さんは「福島県で一番、ひょっとすると、日本で一番小さな蔵かもしれません」と語っています。設備はすべて最小のものを選び、建築士と図面に向き合って動線を練り上げました。限られた広さに計算された配置で、2020年時点で約170石の酒を造っています。
酒造りは再開を機に一から見直されました。原料米や酵母、精米歩合を見直し、純米大吟醸の原料米は美山錦から山田錦に変更しました。2011年時点では、山田錦を40%まで精米して仕込む純米大吟醸は米の柔らかな味わいが伝わる辛口の酒で、うつくしま煌酵母を使った純米吟醸酒は柔らかなうまみとすっきりした切れが持ち味でした。定番の辛口酒も人気です。休業前は特定名称酒と普通アル添酒がおよそ半々でしたが、2020年時点では特定名称酒が約9割を占めています。
タンクの数に限りがあるため、いつ何を造るかを綿密に計画し、持ち越しを出さないようにしています。
福島県産の米や酵母を使うことにも積極的です。山口さんは、日本酒は地産地消が一番だと考え、福島県の酒造好適米「夢の香」やうつくしま煌酵母を取り入れてきました。会津産の夢の香と福島県オリジナル酵母を組み合わせた特別純米酒は、柔らかなうまみが特徴です。2020年時点では、在庫限りで販売を終える普通酒に代わる一本を福島の米で造りたいと、次は酒米「福乃香」への挑戦を語っていました。蔵の特別なブランドとしては「儀兵衛(ぎへい)」があり、雄町と山田錦それぞれを使った純米吟醸を醸しています。
2020年時点の杜氏、櫻井光治さんは米農家でもあります。その年に収穫した米を初めて仕込む初しぼりには、櫻井さんが育てた美山錦を使うことが毎年の習わしでした。
代表銘柄
会州一
「会津で一番の酒」を意味する、山口の代表銘柄です。会津産の美山錦を精米歩合50%で仕込んだ純米吟醸は、フルーティな香りとすっきりした辛口です。会津産の夢の香と福島県オリジナル酵母で醸す特別純米酒は、柔らかなうまみが持ち味で、冷やからぬる燗まで楽しめます。大吟醸もそろい、全国新酒鑑評会ではこの銘柄で平成17酒造年度から令和5酒造年度までに7回の金賞を受けています。
儀兵衛
蔵が「特別なブランド」と位置づける銘柄で、読みは「ぎへい」です。酒造好適米の雄町を使った純米吟醸はしっかりした味わいで、冷やか常温で楽しめ、山田錦を使った純米吟醸もあります。福島県の鑑評会では令和3年春から令和7年春までの純米酒の部で金賞を7回受け、令和4年秋には煌酵母の部で県知事賞、同年の東北清酒鑑評会でも純米酒の部で優等賞に選ばれました。
見学・購入
- 直売所
- 蔵で直接販売をしています。
- 補足
- 蔵見学は事前に問い合わせが必要です。試飲は行っていません。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 福島県会津若松市相生町7-17
- 創業
- 1643年
出典
fukunosake.com / sakenomy.jp / sakagura-press.com / f-sake.com / kennan-syuhan.co.jp / minpo.jp / aizusake.jp / gurutto-aizu.com / sake-fukushima.jp / nta.go.jp / nrib.go.jp / jizakeyakodama.com
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