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世嬉の一酒造

代表銘柄:せきのいち・スパークリング清酒

岩手県

IWATE

1918年創業

世嬉の一酒造の旧仕込蔵・酒母室
世嬉の一酒造の旧仕込蔵・酒母室(2019年撮影)「Sekinoichi sake breweries shikomikura.jpg」 — 写真:Ty19080914 / CC BY-SA 4.0縮小・WebP変換

1918年に初代佐藤徳蔵が前身となる「横屋酒造」を創業。皇族の閑院宮載仁親王が訪れた際に「世の人々が嬉しくなる一番の酒造りを」との言葉を賜り、後に「世嬉の一」を社名とした。奥羽山脈の伏流水や選び抜かれた酒米を原料とし、南部杜氏の伝統技術によって清酒「世嬉の一」などの酒造りを行っている。共同醸造の時期に、全国新酒鑑評会で金賞2回(平成17・19酒造年度)、南部杜氏自醸清酒鑑評会で優等賞などを受けた歴史を持つ。

1982年から約40年間は共同醸造で清酒を造っていたが、2023年に約40年ぶりとなる自社清酒醸造を復活させ、純米酒やスパークリング清酒などの製造・販売を開始した。

また、1995年からはクラフトビール「いわて蔵ビール」を展開し、ワールドビアカップなどの国際大会で評価を得ている。国の登録有形文化財に登録された歴史ある蔵群を活用し、郷土料理レストランや酒の民俗文化博物館を併設するなど地域文化の発信にも力を入れている。

世嬉の一酒造の歩み

世嬉の一酒造の創業は1918年(大正7年)です。この地には江戸時代から続く酒屋の熊文があり、それを初代の佐藤徳蔵が受け継いで「横屋酒造」として創立しました。皇室や靖国神社にも酒を奉納する蔵で、最盛期の醸造量は3,500石(約630キロリットル)に達し、岩手県内を二分する規模と言われ、「北の濱藤、南の横屋」と称されました。

蔵を訪れた皇族の閑院宮載仁親王から、世の人々が嬉しくなる一番の酒造りを目指しなさいという言葉を賜り、「世嬉の一」の名が生まれました。現在の社名である世嬉の一酒造株式会社としたのは1957年(昭和32年)です。それに先立つ1944年(昭和19年)には、国策によりこの地方の酒造会社14社と合併して両磐酒造を設立しており、1957年に分離独立して規模を縮小し、再出発しました。1947年のカスリーン台風と1948年のアイオン台風では裏手の磐井川が氾濫し、地域の人々が蔵の石蔵に避難して助かりました。

1960年(昭和35年)に二代目の佐藤正が社長に就き、純米酒を発売するなど本物を追求した酒を造りましたが、1982年(昭和57年)に二代目が急逝すると経営が行き詰まりました。三代目は蔵での醸造をやめ、他の酒蔵のタンクを借りて造る共同醸造に切り替えて事業を続けることを選びました。この間、清酒は自社の売店と通販でのみ販売していました。1986年(昭和61年)には使われなくなった酒蔵群を外観はそのままに博物館と郷土料理レストランへ改築しています。

バブル期には蔵を壊して大型施設を建てる話もありましたが、蔵を壊すのはもったいないと、事業が好調だった一関自動車学校を売却した資金で蔵の補修と保全を進めました。1995年にはいわて蔵ビールを設立して1996年に発売を始め、1999年(平成11年)には現存する7つの蔵が国の登録有形文化財に登録されました。

2011年の東日本大震災では蔵が倒壊し、経営も苦しくなりました。2012年には三代目の佐藤晄僖が会長に、四代目の佐藤航が社長に就いています。2015年には清酒「世嬉の一」のロンドンへの輸出を始めました。2018年の創業100周年を機に酒蔵復活プロジェクトが始まり、2022年にクラウドファンディングで支援を募って、同年11月に敷地内へ清酒工場を設けました。

2023年1月に試験醸造の酒母仕込みを始め、3月に最初のもろみを搾り、10月2日には「横屋」ブランドの純米酒とスパークリング清酒を発売して、約40年ぶりに自社醸造の清酒が復活しました。

受賞の大半は、蔵での醸造を休んでいた共同醸造の時期のものです。この時期も世嬉の一酒造の名義で鑑評会に出品を続け、全国新酒鑑評会では平成14・15・16酒造年度に3年続けて入賞し、平成17酒造年度と平成19酒造年度には金賞を受けています。平成14酒造年度以降に限ると入賞は5回で、うち金賞は2回です。蔵の発表では、仙台国税局の東北清酒鑑評会で平成12年度から15年度にかけて吟醸酒の部の優等賞を受け、平成14・15年度は純米酒の部でも優等賞でした。

南部杜氏自醸清酒鑑評会では平成13・15・16年度に優等賞を受け、平成26年度(第96回)と平成28年度(第98回)にも優等賞でした。岩手県新酒鑑評会では、平成16年度に第一部で岩手県知事賞、平成17年度に純米の部で金賞を受けたと発表しています。自社醸造の復活後は、Kura Master 2025と2026の純米大吟醸酒(36-50%)部門で金賞を受け、2024年のミラノ酒チャレンジでは蔵の発表で特別純米酒がプラチナ賞、スパークリングがシルバー賞でした。

酒造りの特徴

清酒の自社醸造は、2022年に敷地内へ設けた清酒工場で行っています。四代目蔵元の佐藤航はもともとクラフトビールの醸造士で、工場は清酒醸造の良い部分とビール醸造設備の良い部分を合わせたつくりです。温度、酸素、圧力を管理でき、衛生的に、年間を通じて醸造できます。

杜氏は四代目の佐藤航が務め、基本は一人蔵人での醸造で、手が足りない時はビール部門や事務所のスタッフが手伝います。2023年1月の試験醸造では、三浦杜氏や工業技術センターの指導を受けながら、洗米から酒母仕込みまでを進めました。2026年1月にも、結の香を40%まで磨いた純米大吟醸の上槽を一人で行っています。

原料は岩手県産が軸です。「横屋」の純米酒は岩手県産の米と米麹、酵母で造られ、「世嬉の一」の特別純米酒は特約農家が育てる五百万石を60%まで磨き、酵母に「ゆうこの想い」、麹に「黎明平泉」を使います。スパークリングには岩手県産のいわてっこを60%まで磨いて使い、純米大吟醸には岩手県が開発した結の香を用います。蔵は「世嬉の一」を、奥羽山脈から湧き出る地下水と厳選した酒米を、吟醸造りに定評のある南部杜氏の技で醸す酒として打ち出してきました。

スパークリングは、タンク内で二次発酵させ、ろ過してから瓶詰めする方式で、ビール醸造の技術と設備を生かしています。ブランドは二つあり、「世嬉の一」はリブランドして品質を高め、国内だけでなく海外輸出も見据えて育てるブランドです。「横屋」は屋号に由来し、発売当初は取引先を岩手県内の酒販店に限って、大吟醸並みの醸造でリーズナブルに味わえる地酒として出荷されました。

代表銘柄

せきのいち

蔵の名を冠した看板ブランドで、2023年の自社醸造復活を機にリブランドされました。特別純米酒は五百万石を60%まで磨いた、料理に合うよう設計された一本です。純米吟醸には岩手県産の吟ぎんが、純米大吟醸には結の香を40%まで磨いて用います。純米大吟醸は復活後のKura Master 2025と2026の純米大吟醸酒(36-50%)部門で金賞を受けました。大吟醸の世嬉の一は、共同醸造の時期に全国新酒鑑評会で平成17・19酒造年度に金賞を受けています。

スパークリング清酒

タンク内二次発酵で自然な泡を生み出す、ビール醸造の設備と技術を生かしたスパークリング純米酒です。2023年10月2日に「横屋」のスパークリングが発売され、「世嬉の一」名義のスパークリングも造られています。スパークリング世嬉の一はいわてっこを60%まで磨いて使い、酵母は「ゆうこの想い」、日本酒度は-9で、しっかりした自然の炭酸が特徴です。ミラノ酒チャレンジ2024では、蔵の発表でシルバー賞でした。

見学・購入

蔵見学
あり(要事前確認)
直売所
酒の直売所「せきの市」(営業時間9時から18時)で清酒世嬉の一といわて蔵ビールを販売しており、清酒の試飲もできます。
補足
酒蔵ナイトツアーは17時30分からで要予約です。蔵元レストラン「せきのいち」では一関の郷土料理のもち膳などを味わえ、酒の民俗文化博物館(入館料あり)といちのせき文学の蔵が併設されています。ビール工場の見学プログラムもあります。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
岩手県一関市田村町5-42
創業
1918年
公式サイト
sekinoichi.co.jp

出典

japansake.or.jp / sekinoichi.co.jp / tanoshiiosake.jp / compalyze.co.jp / sekinoichi.com / sakeworld.jp / wikipedia.org / ichibushin.com / pref.iwate.jp / kuramaster.com / bunka.nii.ac.jp / nrib.go.jp / nanbutoji.jp / hands-on-local.com / mizu-navi.jp / gourmetpress.net

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